JFEエンジニアリング、汚水処理施設での汚泥発生抑制システムを本格営業
汚水処理施設の汚泥発生抑制システムの本格営業開始
JFEエンジニアリング株式会社(以下"JFEエンジ")は、有機性汚泥の発生を抑制するシステム(商標:ハーフ&ハーフ(注))の本格的な営業活動を開始しました。このシステムは、JFEエンジとJFE技研株式会社が共同で開発したもので、下水処理場等の汚水処理施設から発生する汚泥を大幅に抑制することができます。
下水道普及率の向上に伴って、有機性汚泥発生量は年々増加しており、汚泥処理費用の増大が大きな問題となっています。また、産廃埋立処分場の残余容量の減少と受入費用の増加がそれに拍車をかけており、地方自治体の大きな財政圧迫要因となっています。民間排水処理場においても同様の問題が顕在化しています。JFEエンジでは自治体や民間排水処理施設が抱えている汚泥処理処分の課題の解決に積極的に貢献して行く目的で新システムの開発に取り組んでまいりました。
今回開発したシステムでは、嫌気性状態下で常温可溶化菌を用いて汚泥を溶解した後、曝気槽に戻して分解し、減量化を図る技術を適用しています。自然界に存在する可溶化菌を使い、熱や曝気エネルギーや特殊な薬品を必要とせず、低コストで維持管理が容易なことを最大の特徴とするシステムです。
処理プロセスとしては、処理場から発生する余剰汚泥に少量の苛性ソーダを添加し、可溶化菌を優勢にした反応槽で可溶化し、曝気槽に戻します。反応槽では汚泥中の有機物の30%以上が溶解して低分子化され、炭素分の一部はCO2にまで完全分解されます。したがって、曝気槽に戻された溶解汚泥が水処理系に与える負荷も軽減され、また、無機化した汚泥の一部が水処理系を循環することで固液分離性能が向上し、水質や運転性能が安定します。既存の汚水処理設備に付設するだけで汚泥の減量化が可能になります。
2002年度から新潟県阿賀町の津川水質浄化センター(計画流入汚水量 933m3/日のOD法による下水処理場)で実証実験を行った結果、目標の汚泥削減量を実証し、2005年3月に実装置を納入しました。また、2004年秋からは滋賀県東近江市南部地区農業集落排水処理施設(計画共用人口 1330人)に実機規模の装置を設置し、実証運転を継続しています。
これらの成果を受けて、2006年7月には産業廃棄物処理会社から民需施設を初受注しました。また、JFEエンジは、水分野において大手ゼネコンの鹿島建設(株)との間で2000年にアライアンス協定を結んでいますが、今回開発したハーフ&ハーフに関してこの度、技術供与契約を締結いたしました。JFEエンジでは、鹿島建設(株)とのアライアンスを更に進め、自社単独の案件だけではなく、両社共同で新規の汚水処理施設、公募提案案件、新規事業の開拓等に積極的に対応してまいります。
また、日本と同様に国土が狭く、人口密度が高いシンガポールや台湾等の海外でも近い将来、汚泥の処理処分の問題が顕在してくる可能性があります。低コストで維持管理が容易なハーフ&ハーフを水処理事業の海外展開にも適用すべく検討してまいります。
以 上
(注)ハーフ&ハーフ:
JFEの汚泥発生抑制システムの商標で、「発生汚泥量を半分以下に、可能ならさらに半分に」という意味を込めたものです。