アステラス製薬、2010年度までの新中期経営計画を策定
新中期経営計画策定のお知らせ
アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森雅郁、以下「アステラス製薬」)は、本日開催された取締役会において、2010年度(2011年3月期)を最終年度とする5ヶ年の新しい中期経営計画(以下「中計」)を決定しましたので、お知らせします。
アステラス製薬は、その存在意義として「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを掲げ、「企業価値の持続的向上」を使命として、グローバルに事業を展開しております。現在2007年度を最終年度とする3ヶ年の中計が進行中ですが、現行中計はアステラス製薬発足前の2004年11月に策定されたものであることから、アステラス製薬発足後の各面での取組みの成果を踏まえた中計を新たに策定することにしたものです。
2006年度より2010年度までを対象とする新中計期間中、アステラス製薬は、免疫抑制剤「プログラフ」、排尿障害改善剤「ハルナール」という主力両製品の特許切れの影響を受けるなど厳しい状況下にありますが、「成長基盤を着実に強化し、ステークホルダーの期待に応えていく」という方針のもと、収益の大きな柱である国内営業の基盤強化をはじめ、欧米アジアの事業を拡大するとともに、積極的なコスト構造の改革を通じて、売上・利益の両面での継続成長を目指します。さらに、開発後期にある期待の新薬の自社によるグローバル開発を迅速かつ着実に進め、グローバル製薬企業として2011年度以降2015年度に向けて更なる成長につなげていきます。また、企業価値向上のため、高水準の株主還元を目指すことなどを通じて、資本の効率化に積極的に取り組んでいきます。
今回策定しました中期経営計画の概要は以下の通りです。より詳細な情報については添付資料を参照下さい。
[記]
1.売上・利益に関する数値目標
2010年度売上高1兆600億円、営業利益2,800億円を目指します。
. 一株当たり純利益(EPS)は2006年度水準より年平均10%台半ばで伸長する見込みです。
. コスト構造の改革を全社的に推し進めることで費用の増加抑制に努め、2010年度における原価・販売管理費の対売上高比率を、2006年度に比べ約4ポイントの低減を目指します。
. 研究開発費については、ポテンシャルの高い新製品の積極的な開発と自社品を補完する製品導入に引き続き取り組んでいくことから、2010年度において1,700億円、対売上高比率16%を想定しています。
. 現行中計においては、従来最終年度である2007年度の計数目標として医療用医薬品売上高1兆円、営業利益2,500億円としていました。新中計では、現行中計公表当時からの環境変化を織り込み、営業利益の目標は2,500億円を変更しませんが、売上高については今回9,600億円に修正しました。
2.日米欧グローバル事業の展開
. グローバルフランチャイズ領域である泌尿器領域を引き続き拡大するとともに、移植領域の維持を目指します。
. 日米欧アジアそれぞれにおいて、地域の特性に応じた成長戦略を実施していきます。
・日本は、循環器・泌尿器をはじめとする主要6領域の育成を通じシェアNo.1に挑戦します。
・北米は過活動膀胱治療剤「ベシケア」の大幅増加や複数の新製品発売を受け、事業規模の拡大を目指します。
・欧州は「ベシケア」など新製品の先行投資の回収期にあたることから、順調な成長と安定した事業基盤を築きます。
・アジアは、「プログラフ」「ハルナール」の継続的な拡大により、中計期間中日米欧アジアの中で最大の成長率が期待できます。
3.研究開発
. 高い製品ポテンシャルを有する開発化合物(YM150、YM155、YM311、YM060など)をグローバルで自社開発していくことに最優先に取組んでいきます。
. 自社開発品を補完するものとして、引き続き導入活動を積極的に行ないます。
. 創薬研究に関しては、既存薬の満足度と将来の治療動向を踏まえたアンメットメディカルニーズ、市場性、及び当社としての研究実行可能性を考慮し、研究重点領域として、泌尿器、炎症・免疫、中枢・疼痛、糖尿病、感染症(ウイルス)、癌を設定しました。また、ゲノム技術を活用した低分子化合物、醗酵天然物中心の創薬に加え、抗体医薬などの新規基盤技術の構築も検討していきます。
. 研究の生産性向上を目指し、筑波地区の新棟建設をはじめ、国内外の研究拠点の集約化を進めます。
4.生産体制
製造原価の一層の低減ならびに製品の安定供給、製剤・包装技術の向上を図るため、生産体制の再編成を進め、現在18ある生産拠点(国内9、海外9)を2010年度までに10拠点程度に集約する予定です。
5.人的資源の活用
.人材の充実を競争優位確立の最重要課題と位置づけ、意欲的な取り組みと投資を実施します。
. 機動的で生産性の高い組織構造と要員の適正化により、筋肉質の組織を実現します。要員については2006年6月要員約14,600人から、2010年度末において13,500人体制を目指します。
6.資本の効率化と株主還元の強化
自己資金を積極的に事業投資のために活用するという基本方針に変わりはありませんが、株主還元の強化にも従来以上に努めるとともに、企業価値向上のために資本効率を積極的に向上します。
. 資本効率に関する経営指標として、2010年度株主資本収益率(ROE)18%を目指します。(2005年度実績8.8%)
. 株主還元については、2010年度株主資本配当率(DOE)8%を目指します。(2005年度実績3.2%)
なお、当社は、資本効率を改善し、株主還元水準のさらなる向上を図るため、本日開催された取締役会において、2006年10月5日から2007年2月28日までの間に、3,000万株(1,500億円)を上限とする自己株式取得を決定しております。
以上