ナリス化粧品、肌老化加速新因子と影響抑制物質を発見
ナリス化粧品、肌老化加速新因子と影響抑制物質を発見
身近なアクロレインが肌老化を加速
株式会社ナリス化粧品(本社:大阪市、社長:村岡弘義)は環境中に存在しその身体への毒性が注目されているアクロレインが肌の老化をも加速させていることを見出し、トラップ効果をもつ有効成分の特許出願を行いました。本成果は、2006年 IFSCC大阪大会(IFSCC:国際化粧品技術者会連盟 2006年10月16日~19日、大阪市)において、ポスターセッションの発表を行います。
(研究背景)
●アクロレインは身近な環境中に存在する毒性の高い化学物質で、タバコの煙や排気ガスの中には特に高濃度に存在します。また油の酸化でも発生し、古くなった天ぷら油の臭いで気分が悪くなったりするのは、このアクロレインが原因のひとつだとも言われています。
●近年、アクロレインの臓器への害についての研究は進んでいますが、皮膚に対する影響はほとんど研究されていませんでした。
今回、このアクロレインの皮膚に対する影響の研究を行い、肌老化にも悪影響を及ぼすことを見出しました。更に、各種植物エキスのスクリーニングにより、アクロレインのトラップ(捕獲)効果を有する植物エキスを複数発見し、特許を申請するに至りました。
(研究結果)
1.皮膚細胞への有毒性の確認
アクロレインの皮膚細胞への有毒性を確認したところ、約1.5ppmの濃度で細胞毒性を有することが判明しました。これは、通常の環境下で存在し得るアクロレイン濃度でも十分皮膚に対して影響を与えることが示唆されています。
2.コラーゲン変性の確認
皮膚内にあるコラーゲンは年齢と共に変性が進み、肌のハリ・弾力が低下する一因となっています。アクロレインによるコラーゲン変性の試験を行ったところ、約6ppmの濃度で無添加の場合と比較してコラーゲンが30%まで減少していることが分かりました。この6ppmという濃度は一本のタバコから出る煙に含まれる量で、老化を早める可能性があることを示唆しています。
3.活性酸素消去物質(SOD)の活性への影響
身の回りに発生する活性酸素は、人体へ様々な悪影響を及ぼすことが知られていますが、ヒトはこの活性酸素を消去する酵素(=SOD)を体内に持っています。しかし、このSODの活性は年齢と共に減少していきます。アクロレインのSOD活性に及ぼす影響の試験を行ったところ、約1.5ppmの濃度で急激に活性が減少し、その活性量は老化した肌と同程度しかないということが分かりました。
4.アクロレインをトラップする植物成分の検索
低濃度でも肌の老化を加速させてしまうアクロレインをトラップする成分を探して、各種植物エキスのスクリーニングを行いました。その結果マジョラム、刺梨、ローズヒップ、金水引、サラシア、バラ子房等にトラップ効果が認められました。これらのエキスを配合した化粧品を開発することで、アクロレインの影響から肌を守れる可能性があります。
今後当社ではこの結果を生かし、化粧品の開発を行う予定です。
(参考資料)
●(株)ナリス化粧品 ホームページ http://www.naris.co.jp/
●IFSCC大阪大会ホームページ http://www.ifscc-congress06.org/
●化粧品技術者会 ホームページ http://www.sccj-ifscc.com/