米サン、JavaテクノロジーをGPLv2ライセンスに基づくフリーソフトとして提供開始
米国サンがJavaプラットフォームをオープンソース化、
GPLライセンスに基づきNetBeansとJava.netのコミュニティを通じてソースコードを公開
-NetBeansとOpenSolarisの成功を生かして
Javaテクノロジーの新しいオープンソース開発コミュニティを設置-
米国サン・マイクロシステムズ社(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO:ジョナサン・シュワルツ、以下サン)は、Java(TM)テクノロジーをGNU General Public Licenseバージョン2(GPLv2)ライセンスに基づくフリーソフトウェアとしてリリースすることを発表しました。リリースされるJava Platform Standard Edition(Java SE)のサンによるインプリメンテーションとJava Platform Micro Edition(Java ME)のビルド可能なインプリメンテーションのソースコードの第一弾は、本日から入手可能となります。詳細はhttp://www.sun.com/opensource/java でご参照いただけます。このほかサンは、Java Platform Enterprise Edition(Java EE)についても新たにGPLv2ライセンスに基づいて提供を開始する予定です。Java EEはすでに1年以上にわたりProject GlassFish(TM)( http://glassfish.dev.java.net )を通じてCommonDevelopment and Distribution License(CDDL)ベースで提供されています。
これは、GPLライセンス(GNU/Linuxオペレーティング・システムでも採用されているライセンス方式)に基づくソースコード提供としては最も大規模な部類に属します。これにより、業界に広く浸透している重要なソフトウェア・プラットフォームの1つがオープンソース化されることになります。Javaは爆発的な成長を遂げつつあり、Javaテクノロジー対応機器は38億台を超えるほか、さまざまな場面で広く用いられています。Javaは携帯電話からICカード、エンタープライズ・アプリケーション、スーパーコンピュータに至るまであらゆるプラットフォームを統合し、ソフトウェアのイノベーションを支えています。お客様に提供する商用製品を損なうことなくJavaソフトウェアをオープンソース化することで、Javaテクノロジーの普及はさらに進むとサンは見ています。
サンのリッチ・グリーン(Executive Vice President of Software)は次のように述べています。
「Javaテクノロジーのインプリメンテーションをオープンソース化することにより、NetBeans(TM) Integrated Development Environment(IDE)を通じた開発者同士の新たなコラボレーションとイノベーションを推進し、Javaプラットフォームを次世代のインターネットやデスクトップ、モバイル機器、エンタープライズ・アプリケーションなどの基本インフラとすることができます。Java Development Kit(JDK(TM))をGPLに基づくフリーソフトウェアとしてリリースすることで、サンはGNU/Linuxオペレーティング・システムのディストリビューターと緊密に協力し、GNU/Linuxディストリビューションに通常含まれるオープンソース・リポジトリの一部にJDKを組み入れることが可能となります。
O'Reilly MediaのCEO、ティム・オライリー氏は次のように話しています。
「サンがいつかJavaをオープンソース化するだろうとは皆予想していましたが、GPLで提供してくれるとは思いもよりませんでした。この大胆な一手によって、サンと無償のオープンソース・ソフトウェア分野には大きな機会が開けるでしょう」
【Java SE】
Java SEのオープンソース・インプリメンテーションをJava.netコミュニティを通じて開発するためのソフトウェア・コンポーネントとして、JavaHotSpot(TM)、Javaプログラミング言語コンパイラ(javac(TM))、JavaHelp(TM)の3つをリリースします。また、仮想マシンと関連ライブラリを合わせてライセンスするフリーソフトウェア・コミュニティの慣行に従い、ビルド可能なJDKを2007年第1四半期にリリースする予定です。Java HotSpotテクノロジーとjavacは、Java SEの最も重要な要素に数えられます。Java HotSpotテクノロジーはJava Virtual Machine(JVM(TM))のインプリメンテーションで、Javaソフトウェアをどのプラットフォーム上でも実行可能とするJava Runtime Environment(JRE(TM))の中核をなすコンポーネントです。javacはJavaソースコードが正しく書かれているかどうかを解析し、適正な実行用バイトコードを生成するコンパイラです。JavaHelpソフトウェアはJDKを補完するドキュメンテーション・システムです。
OpenJDK(TM)プロジェクトの先駆けとなるこれらのコンポーネントを通じて、開発者はコンパイラの実験や新しい言語機能のテスト、世界水準の仮想マシンの仕組みの学習、新しいハードウェア・アーキテクチャやOSへのJVMのポーティング、バグの修復、新機能の投入などを進めることができます。OpenJDKプロジェクトに参加する開発者は、JDKインプリメンテーションの未来に直接的な影響を及ぼし、仲間と共にオープン・コミュニティに参加してJavaテクノロジーの新しい可能性を切り開くことができます。
【Java ME】
フィーチャーフォン用Java MEインプリメンテーションのソースコードは、Java.netコミュニティで本日から提供を開始しています。これは、すでに15億台を超える携帯端末上で多様なモバイルデータサービスを実現しているプラットフォームの次世代版です。このほか、新しい先進的な電話セグメントに向けたJava MEのインプリメンテーションと、サンのJava ME互換性テストの基盤をなすJava MEテストおよび互換性キットのフレームワークも提供します。さらに、Java Device Test Suiteのフレームワークその他のソースコードも今年中に追加リリースする予定です。
サンはこれらのテクノロジーをフリーソフトウェアの形でリリースし、JavaMEエコシステム全般にわたってプラットフォームの開発と進化を加速するとともに、細分化を抑制して開発コストを引き下げます。さらに、最新版Java MEプラットフォーム技術へのアクセスが容易になるため、初めてJava MEコミュニティ全体がこうした技術をフォローして開発に参加できるようになります。
【Java EE】
サンは二重のオープンソース・ライセンスを採用し、Project GlassFish(GlassFish Communityの一部)にもソースコードをリリースします。2007年第1四半期には、CDDLに加えてProject GlassFishでもGPLv2に基づく入手が可能となります。第2のライセンスを加えることで、GlassFishのコードを他のGPLライセンス・コミュニ ティと組み合わせて配布することが容易になります。Javaプラットフォームを共通ライセンスの下で提供することにより、開発者はJava SEやJava EE、Java MEのアップデート版をまとめてより簡単に配布できるようになります。
【NetBeansとサンの開発ツール】
NetBeans IDEでは、オープンソースのコンポーネントがすでにNetBeansプロジェクトとして構成されているため、きわめて容易にJDK開発に着手することができます。まずソースコードをダウンロードしてNetBeans IDE内でこれを開き、Build Projectコマンドを使用すればビルドが可能です。詳細情報と懇切丁寧なチュートリアルは http://nb-openjdk.netbeans.org に掲載されています。さらに、Mobile&Embeddedコミュニティ内にはアプリケーション開発プロジェクトも用意されており、NetBeans Mobility PackやJava MEオーサリングツールなどのリソースへのリンクも設けられているので、高度な画面デザインがドラッグ・アンド・ドロップ操作で簡単に実行できます。また、Java HotSpot仮想マシン内でプラットフォーム別のネイティブコード開発に用いられる世界トップクラスのSun Studio開発環境も提供する予定です。
最近発表されたNetBeans 5.5には、Java Persistence API、JAX WS 2.0生産性向上ツール、Subversionのサポート、NetBeans GUI Builder(旧ProjectMatisse)の拡張ほか、各種の新機能が含まれています。NetBeans 5.5はJava EE5を包括的にサポートする最初でしかも唯一の無償IDEです。Java EE 5は、ポータブルで堅牢かつスケーラブルでセキュアなサーバサイドJavaアプリケーションを開発するための業界標準です。
【開発者へのサポートとサービス】
サンはJavaテクノロジーとSolaris(TM)オペレーティング・システムを利用する開発者に対し、ヘルプや製品サポート、アップデート、トレーニングなどを提供し、サンのDeveloper Serviceプログラム(http://developers.sun.com/services )を通じて開発から運用に至るアプリケーション・ライフサイクル全般の作業時間短縮とリスク軽減を支援します。開発者の皆様は、Sun Developer Network Programに無料で参加することができます。登録は http://developers.sun.com/register からオンラインで行えます。
本資料は、米国にて11月13日(現地時間)に発表されたプレスリリースの抄訳です。原文は以下のURLでご覧いただけます。
http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/2006-11/sunflash.20061113.1.xml
●Sun、Sun Microsystems、サンのロゴマーク、Java、NetBeans、OpenSolaris、GlassFish、Java HotSpot、JavaHelp、javac、JDK、JVM、JRE、OpenJDK、Solarisは、米国Sun Microsystems,Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標です。