超高感度DNAチップついに実用化
- 新たに開発した高性能オリゴプローブを搭載 -
株式会社DNAチップ研究所(神奈川県横浜市、社長:松原 謙一、以下「DNA研」)と東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)は、この度、超高感度DNAチップ“3D-Gene”(酵母全遺伝子型チップ)を完成させ、本格的な販売を開始致しました(詳細は http://www.3d-gene.com/ に掲載)。
DNA研は、本製品を次世代向け高感度全遺伝子型DNAチップの最初の製品と位置づけ、今後、ヒト遺伝子を搭載した全遺伝子型チップや、ある特定の遺伝子群に着目した目的別チップ、診断チップ等を順次製品化していく計画です。
本開発のDNAチップの基板は、微細凹凸樹脂基板、ビーズを使って検体溶液を攪拌させる反応促進などの東レの独創的技術を駆使することにより、超高感度化(ガラス平板による従来型DNAチップに比べて最高で約百倍)を実現しています。
また、このDNAチップに搭載したオリゴヌクレオチドプローブ(以下「オリゴプローブ」という)は、DNA研が新たに開発した“ProbeBank(TM)”を用いています。これまでも多くのDNAチップが開発されていますが、その中でも遺伝子検出の中心を担うオリゴプローブの開発が立ち遅れていました。例えば、検出に用いるオリゴプローブ配列の標的遺伝子への特異性、合成されたオリゴプローブの品質ならびに基板への結合効率も、感度低下の一因となっていました。
“ProbeBank(TM)”は、独立行政法人産業技術総合研究所ゲノムファクトリー研究部門(小松康雄・核酸工学研究グループリーダー)と共同で開発した、オリゴプローブの基板への反応効率と純度を上げる新規なオリゴ修飾試薬、及び東京大学大学院新領域創生科学研究科森下真一教授と共同で開発した、遺伝子特異的な領域をデザインするための配列設計技術を組み合わせ、DNAチップに搭載されるプローブ自体を独自技術で高性能化したものです。
本製品により、従来のDNAチップでは解析できなかった発現量が少なく微弱な変化を示している遺伝子についても解析が可能となりました。
今回の商品は、東レの基板技術とDNA研の酵母オリゴプローブを組み合わせた酵母全遺伝子型チップです。
現在、わが国のDNAチップ市場は、その殆どが酵母やヒトの全遺伝子を搭載した「研究用途」ですが、今後臨床機関における検証により、「診断用途」への展開が期待されております。東レでは既にヒトの全遺伝子(約2万5千種類)を搭載可能なチップ技術の開発に、またDNA研は“ProbeBank(TM)”によるヒトオリゴプローブの設計に目処を得ており、試作段階に入っております。将来的には、癌診断チップや各種検査チップ等への展開を視野に入れながら、本開発のチップで高感度性能をはじめとして再現性や定量性などの実績を積み、半年以内を目処にヒトの遺伝子を搭載したチップの販売を開始する予定です。
なお、本件は平成18年3月期決算短信で発表しました次期の見通しに折込済みであります。
以上