NECシステムテクノロジー、次世代システムLSI設計ツール群「CyberWorkBench」を発売
次世代システムLSI設計ツール群「CyberWorkBench」を発売
~C言語ベースのLSI設計ツールで業界標準獲得を狙う~
NECシステムテクノロジー株式会社はこのたび、システムLSIの設計効率を飛躍的に向上する設計ツール群「CyberWorkBench」(サイバーワークベンチ、以下「CWB」)を製品化し、本日から販売活動を開始します。
このたび製品化する「CWB」は、ソフトウェアのプログラミングでデファクトとなっているC言語をシステムLSI設計に採用した設計ツール群で、 NEC中央研究所が長年研究開発を行ってきたものです。
「CWB」は、従来のLSI設計手法と比べ、設計時のプログラム記述量を 7分の1に削減し、動作検証時間を100分の1に短縮します。これにより、LSI開発にかかる期間を大幅に短縮し、システムLSI設計を革新することができます。
近年、システムLSIの大規模化が進む一方で、システムLSI設計手法の改善が追いつかず、設計にかかる期間が長期化しています。また、ソフトウェアの開発量が年々急増し、開発コストや品質問題の対策が急務とされるなか、ハードウェア設計と並行してソフトウェア設計を行う協調設計の必要性が指摘されています。C言語設計は、LSIのハード・ソフト双方の設計に一貫してC言語を用いることで設計生産性を向上し、LSIの開発期間の短縮、開発工数の削減、さらに設計品質の向上を実現するものとして期待されています。
「CWB」はLSI設計全般をC言語で行うという「All-in-C」コンセプト(注1)に基づいた設計ツール群で、主な特長は以下の通りです。
(1)記述量の大幅削減
従来の論理合成ツールで利用されるRTL(注2)記述に比べて抽象度が高いC言語で記述することで、プログラムの記述量を7分の1に削減し、システムLSI設計を効率化。
(2)検証の効率化
動作レベルのシミュレーション速度がRTLシミュレーションに比べて数百倍高速であるため、C言語で動作レベルの設計をすることにより、検証効率を飛躍的に改善。
(3)チップ全体の設計が可能
一般のC言語設計では不向きとされていた制御系回路の設計も容易で、制御系・データ処理系回路の両方を含むチップ全体をC言語で設計可能。
NECでは、「CWB」の前身にあたるC言語設計ツール群を、2001年から松下電器産業株式会社 パナソニック システムソリューションズ社(当時は 松下通信工業株式会社)に提供しています。
同社はこのC言語設計ツール群をASICやFPGA(注3)の開発に適用しています。この適用により、アルゴリズム開発からLSI開発への移行がスムーズになり、検証の主体もRTレベルからCレベルに移行するなど、開発期間の短縮を実現しています。また、高位合成を前提とした設計資産のライブラリ化により、今後、同社のさらなる開発期間短縮に貢献するものと期待されています。
このたび発売する「CWB」の製品ラインナップおよび出荷開始時期は以下の通りです。なお、以下の製品版の出荷に先立ち、7月24日から、評価版の出荷を開始します。
※機能概要などは参考表参照
NECシステムテクノロジーは、次世代システムLSI設計ツール群「CWB」が、今後のシステムLSI設計市場においてデファクトを狙えるものと考え、本製品の販売を強く推し進めていきます。
新製品の詳細については、別紙をご参照下さい。
・ 各製品の特長
・ 各製品の関連図
なお、両社は「CWB」を、7月23日から28日まで米国サンフランシスコで開催される世界最大のシステムLSI設計の国際会議「Design Automation Conference 2006(DAC 2006)」に出展します。
以上
※ 「CyberWorkBench」はNECの日本国内における登録商標です。
(注1) 「All-in-C」コンセプト: 「ハードウェアを構成するあらゆるモジュールの設計をC言語で行う(all modules in C)」、「設計も検証もC言語で行う(all processes in C)」という、二つの局面により成り立つ。
(注2) RTL:Register Transfer Level
LSIなど回路をフリップフロップ+組み合わせ論理回路で表現したレベルのこと。従来のLSI設計はこのレベルで行われていたが、C言語と比べ、より詳細な表記が必要となるため、設計対象の大規模化によって設計効率が悪化するという課題があった。
(注3) FPGA:Field Programmable Gate Array
プログラミングが可能なLSI。
<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC 研究企画部 企画戦略グループ
http://www.sw.nec.co.jp/contact/
NECシステムテクノロジー CWB事業推進室
電 話:(044)435-5630(直通)
