古河電工、故障復旧・切替工事向け「光ドロップケーブル識別機」を開発
「光ドロップケーブル識別機」を開発
古河電気工業は、加入者宅内に引き込まれた光ファイバケーブルの故障復旧・切替工事で使用する光ドロップケーブル識別機ID-Eを開発しました。近年のFTTHの普及と共に、光ドロップケーブルの断線事故・支障移転工事(注1)が増加しており、その工事の際、輻輳した光ドロップケーブルの中から目的のケーブルを特定する必要があります。本製品を使用することにより、光ドロップケーブルの特定を確実かつ迅速に行うことができます。
本製品は2006年8月より販売開始し、標準価格は60,000円/セットを予定しています。また、販売数量は年間1000セットを見込んでいます。
■開発の背景
FTTHの普及に伴い、光通信サービスの加入者が増加しています。光ファイバを加入者宅へ引き込む場合、光ドロップケーブルをクロージャから電柱を介して各加入者宅へ引き込みますが、昨今の加入者の増加に伴い、多数の光ドロップケーブルが電柱間で束状に輻輳した状態で敷設されるケースが増加しています。一方、光ドロップケーブルは、クマゼミ(注2)等の虫害によりケーブル内の光ファイバが切断される被害や大型乗用車によるケーブル断線事故が発生しており、光ドロップケーブルの撤去・張り替えを行う復旧工事も増加しています。また、道路工事等の影響により、電柱の移設・ケーブルのルート変更等が必要となる支障移転工事も増加しています。これらの工事においては、輻輳した光ドロップケーブルの中から、目的の光ドロップケーブルを特定する必要があります。しかし、目的のケーブルを外観から特定することは困難であり、復旧工事・支障移転工事に時間がかかってしまう問題があります。
本製品は、輻輳した光ドロップケーブルの中から特定のケーブルを選別することが可能な施工ツールであり、目的の光ドロップケーブルの特定を確実かつ迅速に行うことができます。また、映像多重サービス等へのサービス変更工事に伴う、光ドロップケーブルの特定作業においても有効に活用することも可能です。
■製品の特長・データスペック
加入者宅の軒下等から光ドロップケーブルの支持線(注3)に送信機(写真右側)を用いて電気信号を印加し、電柱上で受信機(写真左側)を用いて電気信号を受信することにより、輻輳した光ドロップケーブルの中から特定の光ドロップケーブルを識別するツールです。
主な特徴は次のようになります。
・ 光ドロップケーブルを受信機に挟むだけで、確実・迅速にケーブル識別することができます
・ 受信強度のLEDレベルメータ表示と識別判定のブザー鳴動により、確実な識別ができます
・ 送信機・受信機共に電源は単四乾電池(充電池も可)×2本を使用し、15時間以上の駆動が可能です
・ 寸法、重量:95×75×30mm、110g(送信機)、200×34×30mm、100g(受信機)
なお、本製品の標準価格は60,000円/セットを予定しており、販売数量は年間1000セットを見込んでいます。
■備考
本製品は2006年8月より販売開始する予定です。
■用語解説
※1 支障移転
道路工事等、外的要因の影響により、やむを得ずケーブル・電柱等の通信設備を移設することです。
※2 クマゼミ
体長6~7cmの日本最大のセミで、温暖な地域の平野部に生息し、シャアシャアと鳴きます。木の枝と間違えて、産卵管を光ドロップケーブルに突き刺し、内部の光ファイバを傷つける事例が報告されています。
※3 支持線
光ドロップケーブル内に配置された鋼線であり、ケーブル敷設時の張力を主として受ける部分です。
