清水建設、「緊急地震速報」を活用した「総合地震防災システム」を販売開始
「緊急地震速報」を活用した「総合地震防災システム」を販売開始
―多数の建物の地震被災度を予測し、的確・迅速な震災対応が可能に―
清水建設(株)<社長 野村哲也>はこのほど、8月1日から気象庁が運用を開始した「緊急地震速報」を活用した「総合地震防災システム」の開発を完了、9月1日から販売を開始します。本システムを導入すれば、地震発生時にさまざまなツールを用いて警報を発して身の安全確保を促すことは勿論、大地震発生直後には多数の建物の地震被災度を数分で予測し、的確・迅速な震災対応策を講じることが可能です。
当社は2004年から、「緊急地震速報」を活用した「地震情報直前伝達・警報システム」や生産ライン等の制御を行う「機器・設備制御システム」を開発し、本・支店などでの活用を展開。また一部の企業にシステムの試験提供を行ってきました。
これらのシステムに加えて、今回新たに当社は、広範囲に事業展開している企業の建物群の被災度を即時に予測する「地震被災度予測システム」を開発して組み込み、本システムを完成。このように、建物の被害まで予測するのは、本システムが初めてです。
当社が開発・販売する「総合地震防災システム」は、サーバーを含めたハードウエアとソフトウェアのパッケージで、以下の3つのサブシステムで構成されます。
1.「即時情報伝達・警報システム」
「緊急地震速報」から提供される地震情報に基づき、さまざまな伝達ツールを使い警報を発令します。強い揺れが来る前に、社員へ地震情報を伝達して身の安全確保や火災などの二次災害防止への対応を促します。
2.「地震被災度予測システム」
「緊急地震速報」から提供される地震情報に基づき、事前にデータ入力した建物に関する所在地、構造及び地盤条件などの諸情報をもとに、建物の被災度を3段階で予測し、地図上で表示します。どの建物にどのような被害の可能性があるかを地震発生後数分で把握できるため、被害に関する情報が入手しにくい地震発生直後にあっても、支援計画の策定や対策組織の立ち上げを迅速に行うことが可能です。※1
3.「機器・設備制御システム」
「緊急地震速報」から提供される地震情報に基づき、強い揺れが予想される場合に、エレベータやセキュリティシステム、設備機器の制御を行うほか、生産施設やプラント等における緊急停止などを行います。
今後当社は本システムを、多数の建物・施設を所有する金融機関、物流企業及びメーカー向けに提供し、地震による被害軽減やBCP支援に役立ててもらう考えです。
本システムの販売価格は、400万円。※2 当面の売上げ目標は年間1億円で、全国の顧客に対して提案するべく、エンジニアリング事業本部情報ソリューション本部を中心として全社的に取り組んでいきます。
また将来は、当社が開発・提供を行っているビル管理システム(BECSS)との接続により、地震時対応機能を強化した建物総合管理システムの開発も行っていく予定です。
以 上
※1:「地震被災度予測システム」は、兵庫県南部地震など様々な地震に関する被害調査を通じて開発した建物の被害予測モデルを、「緊急地震速報」と結びつけて完成させたものです。被災度予測の結果は、2004年新潟県中越地震などの実被害と対照させることによって、既にその妥当性を確認済みです。
※2:個別設備などへの接続工事は別途
【 「総合地震防災システム」の構成 】
1.即時情報伝達・警報システム
●電子メール:事前に登録されているアドレスへ地震情報(震源情報、震度情報など)がメール配信される。
●メッセージングソフト:緊急地震速報の受信と同時に地震情報がPC端末に表示される。
●警報システム:強い揺れが予想される場合に警報灯などにより音と光で地震来襲の警報を発する。
●自動構内放送システム:強い揺れが予想される場合に地震来襲の構内放送を流す。
2.地震被災度予測システム
●緊急地震速報の震源情報を基に即時に震度分布を予測する。併せて、予め登録された建物データベースに基づいて各建物の被災度を予測し、GIS(地図情報システム)を用いて端末画面上に震度と建物被災度予測結果を重ねて表示する。
3.機器・設備制御システム:
●強い揺れが予想される場合に、エレベータ、セキュリティシステム、設備機器の制御や、生産施設やプラント等における緊急停止などを行う。
添付資料:総合地震防災システム 概要図
地震被災度予測イメージ