富士経済、電池および電池材料市場調査結果を発表
世界の電池および電池材料市場調査を実施
-ニッケル乾電池は2010年に250億円予測(対05年比 227%)-
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、2006年4月~7月にかけて一次電池、二次電池、次世代電池の市場動向を中心に電池材料、電池応用製品、電池メーカーのワールドワイド市場の調査を行った。その結果を報告書「2006 電池関連市場実態総調査」にまとめた。
<調査結果の概要>
1.電池市場
電池種別 2005年 2010年予測 対05年比
一次電池 1兆 345億円 1兆 893億円 105%
二次電池 2兆 24億円 2兆1,673億円 108%
合計 3兆 368億円 3兆2,566億円 107%
一次電池市場は微増から横ばいで推移している。大容量を必要とする機器が増加しており、長時間使用していくうちに電圧が低下するマンガン乾電池から電圧維持精度の高いアルカリマンガン乾電池への移行が進んでいる。アルカリマンガン乾電池は2005年には金額ベースで一次電池の67%を占めている。またニッケル乾電池では、2004年4月に新型電池として松下電池工業が「オキシライド乾電池」を発売した。「オキシライド乾電池」は、世界統一デザインで従来製品よりパワフル、長持ちするという特徴がある。2006年4月には更に「新オキシライド乾電池」を発売開始しており市場の更なる拡大が見込まれる。ニッケル乾電池市場は2010年には250億円に達すると予測される。
二次電池市場は、リチウムイオン二次電池の使用可能機器が増加したことや、海外での二次電池の需要・生産が拡大したことで、2005年に2兆24億円となった。密閉型ニカド電池、ニッケル水素電池からの代替が進行しているリチウムイオン二次電池、安全性に優れ、軽量・薄型が可能なリチウムイオンポリマー二次電池、小型・長寿命、安定電圧、高信頼性などの特徴を持つリチウム二次電池(コイン)が市場を拡大している。
2.電池材料市場
概要 2005年 2010年予測 対05年比
リチウムイオン電池用部材 1,563億円 2,330億円 149%
ニッケル水素電池用部材 347億円 522億円 150%
合計 1,910億円 2,852億円 149%
2005年のリチウム系二次電池とニッケル水素電池の主要構成部材12品目の電池材料市場は1,910億円となった。市場は電池セル市場の動向に大きく影響を受けるが、リチウム系二次電池とニッケル水素電池市場が拡大基調であることを受けて市場は拡大している。しかし、セル単価が低価格化傾向にあり、それに伴う部材コストの押し下げ圧力は、材料メーカーにとって引き続き厳しい状況にある。
3.応用機器市場
携帯電話、ノートパソコン、デジタルスチルカメラなどポータブルな情報機器製品の電源はリチウムイオン二次電池が主体となっている。更なる長時間駆動、高容量化が要求されている。デジタルオーディオプレーヤー、携帯ゲームなどのポータブルAV機器製品はアルカリ系二次電池から、より軽量・薄型が可能であるリチウム系二次電池へシフトしている。輸送機器系製品では、鉛蓄電池が中心ではあるが、注目はハイブリッド自動車向けの大型二次電池である。ニッケル水素電池が中心であるものの、軽量化などからリチウムイオン二次電池採用の動きもあり、今後はリチウムイオン二次電池に代替されることが予測される。一次電池の主用途の一つである電動シェーバーなどヘルスケア・汎用品は、高機能機種を中心に二次電池搭載製品の増加が目立っている。業務用・産業用機器は充電式電動工具を中心にニカド電池からニッケル水素電池やリチウム系二次電池へのシフトが加速している。
<注目電池>
■ニッケル乾電池 2005年 110億円 2010年予測 250億円(対05年比 227%)
東芝電池が2002年3月「ギガエナジー」を発売し、その後松下電池工業がニッケルマンガン電池を開発し販売した。松下電池工業では「オキシライド乾電池」を2004年4月より発売した。さらに2006年4月より従来製品よりパワフルで長持ちの新製品「新オキシライド乾電池」を発売している。ニッケル乾電池は、現在の主用途であるデジタルスチルカメラのみならず、大電流を必要とする電動シェーバー、ポータブルMD・CDプレーヤー、携帯ゲーム機などにも使用が拡大していくものと予想される。アルカリマンガン乾電池からの代替も合わせて市場は順調に拡大すると予測される。
■アルカリマンガン乾電池
2005年 6,960億円 2010年予測 8,050億円(対05年比 116%)
アルカリマンガン乾電池は、使用推奨期限の延長により、日本国内では2年だったものが5年になった。米国では7年である。日本国内では、電子辞書やMP3プレーヤー、リモコンなどで単4型形の需要が拡大した。デジタルスチルカメラでの使用では、頻繁に交換が必要であり、堅調に需要が拡大している。日本国内では2004年から2005年にかけて天災が続いたため、防災機器での需要が拡大した。最近では、携帯電話充電器での採用も増加している。参入電池メーカーでは、高価格製品の販売構成比をアップすることで、収益性の確保を図っている。
■二酸化マンガンリチウム電池(コイン)
2005年 440億円 2010年予測 510億円(対05年比 116%)
二酸化マンガンリチウム電池は、高エネルギー密度、耐環境性に優れるなどの特徴を持つ。10年保存しても使用できるという、他の水溶液系の電池にはない特徴を備えている。小型電子機器の主電源、マイコンのバックアップ用など幅広く採用されている。2004年頃よりスーパーマーケット向けのプライスラベルでの需要が拡大しており、サイズはφ20mm、φ24mmが多い。今後有望な用途としては、プライスラベルの他にタイヤ空気圧センサ電源が挙げられる。
■リチウムイオン二次電池(シリンダ)
2005年 1,230億円 2010年予測 1,690億円(対05年比 137%)
1990年にソニーが製品化して以来、体積エネルギー密度の向上により小型化が進展し、モバイル機器の小型化に貢献した。リチウムイオン二次電池は、シリンダ形・角形ともに規格が設定されておらず、機器メーカーへのカスタマイズ供給となっている。主用途であるノートパソコンの生産数量が順調に拡大しており、市場も拡大傾向である。また電動工具、デジタルスチルカメラ向けなどで密閉型ニカド電池、ニッケル水素電池からの代替が進行している。リチウムイオン二次電池は、日系メーカーの高付加価値製品と海外メーカーの低価格製品に二極化している。
■電気二重層キャパシタ 2005年 260億円 2010年予測 500億円(対05年比 192%)
電気二重層キャパシタは、電極と電解液との間に生じる電気二重層の電荷を利用して蓄電する製品である。正極、負極ともに活性炭を使用し、電解液は有機系や硫黄水溶液系の電解液を使用している。これら構成材料が金属を使用していないため環境負荷が少ない。劣化が少なく数百万サイクルの充放電が可能となっており、出力密度が高く急速・大電流放電が可能などの特徴がある。形状は電池と同様のコイン形、シリンダ形、角形とに分けられる。コイン形は、携帯電話やデジタルスチルカメラのメモリバックアップ、リアルタイムクロック用として採用されている。シリンダ形は、携帯ゲーム機、玩具、OA機器などの主電源、アシスト電源として採用されている。角型は自動車、UPSなどに採用されはじめている。
2004年頃より、中・大容量タイプ製品の開発が活発になり、市場の急拡大が期待されている。これらのタイプは複写機、UPS、瞬時電圧低下補償装置への採用が進行しており、さらに自動車、新エネルギーへの採用も検討されている。小容量タイプは、メモリバックアップ用、リアルタイムクロック用として引き続き採用されている。
<調査対象>
* 関連資料 参照
<調査方法>
富士経済専門調査員によるヒアリング調査
<調査期間>
2006年4月~2006年7月
以上
資料タイトル:「2006 電池関連市場実態総調査」
体裁 :A4判 252頁
価格 :97,000円(税込み 101,850円)
調査・編集 :富士経済 大阪マーケティング本部 第一事業統括部
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発行所 :株式会社 富士経済
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