カルピス、「カゼイン酵素分解物」が血管内皮機能を改善など研究成果を発表
国際高血圧学会(10/18)にて発表
血圧降下作用のある『カゼイン酵素分解物』が
メタボリックシンドローム、高血圧などとの関連が注目される“血管内皮機能”を改善
-血管内皮機能の低下は、動脈硬化などを引き起こす要因-
カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:石渡 總平)基礎研究フロンティアラボラトリーは、当社独自の素材で食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドであるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を含む『カゼイン酵素分解物』を使用した研究を実施し、『カゼイン酵素分解物』が血管内皮機能を改善することを確認しました。この研究成果は、福岡で開催されている国際高血圧学会で18日に発表します。この研究は、国立循環器病センターの内科心臓血管部門の北風政史部長らとの共同研究です。
血管の最も内側(内膜)にある血管内皮は、全ての血管に存在し、血管機能を正常に保つ役割を担っています。メタボリックシンドロームや高血圧、高脂血症などの外的要因によって血管内皮が障害され血管機能が低下すると、動脈硬化などの循環器病の発症リスクが高まることが明らかになっています。今回の研究は、(高血圧などの生活習慣病や動脈硬化と関係の深い)“血管内皮機能”に着目し、血圧降下作用のある『カゼイン酵素分解物』を用いて、血管拡張性を指標に、低下した血管内皮機能の改善作用を観察しました。
軽症高血圧者を対象に試験した結果、VPP・IPPを含む『カゼイン酵素分解物』の摂取により、血管の拡張性が改善したことが明らかになりました。その拡張性は、血管内皮に依存することが示唆されたことから、『カゼイン酵素分解物』には、低下した血管内皮機能への改善作用があることが明らかになりました。
以上の結果、『カゼイン酵素分解物』は、血管内皮機能の改善を通して、動脈硬化などの循環器病(生活習慣病)の予防に有用である可能性が示されました。
【背景】
当社は、発酵乳「カルピス酸乳」(*1)の生理機能研究を70年代に本格的に開始し、血圧降下作用などを実証してきました。血圧降下の研究では、「カルピス酸乳」の発酵過程で、乳たんぱく質のカゼインから得られるVal-Pro-Pro(VPP)、Ile-Pro-Pro(IPP)の2種類のペプチドが、血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する作用があることがわかり、「ラクトトリペプチド」と名づけました。現在まで、正常高値血圧者、軽症および中等症高血圧者への血圧降下作用や安全性などの研究で成果をあげています。
今回研究で使用した『カゼイン酵素分解物』は、乳タンパクの一種であるカゼインを酵素で直接分解することで「ラクトトリペプチド」を効率良く製造できる新技術を活用して作ったものです。
研究対象となった“血管内皮機能”は、生活習慣病の予防に重要な役割を担っています。血管内皮は、一酸化窒素(NO)などの血管調節因子を産出し、血管の拡張や筋肉の弛緩、血液の線溶、血流のコントロールをすることで血管機能を維持し調節します。高血圧や高脂血症などによって障害を受けると血管内皮機能が低下し、動脈硬化をはじめとする循環器病の発症リスクが高まることが明らかになっています。このたび、VPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を含む『カゼイン酵素分解物』の血管へ及ぼす影響として、高血圧とも深い関係のある“血管内皮機能”に着目し研究しました。
※ 以下、詳細は関連資料を参照して下さい。
【参照】
(*1)「カルピス酸乳」の研究
「カルピス」の製造前段階の発酵乳「カルピス酸乳」の生理機能研究を1970年代より本格的に開始し、寿命延長効果、抗ガン作用を1980年に発表し、その後、血圧降下作用、腎障害防止効果、疲労回復効果、免疫賦活効果など多くの生理機能を実証してきました。血圧降下作用および疲労回復効果は、ヒトでの試験でも成果を実証しています。