MM総研、「2006年度上期国内携帯電話端末出荷概況」調査結果を発表
2006年度上期国内携帯電話端末出荷概況
■06年度上期出荷台数は4.4%増の2,223万台
■シャープがさらに勢いを増しシェア19%へ
■複数事業者への納入メーカーがシェア上位を占める傾向
MM総研は、2006年度上期(06年4月~06年9月)の国内携帯電話出荷状況を調査し、結果を発表した。
総出荷台数は、前年同期比4.4%増の2,223万台で、05年度上期から3期連続のプラス成長となった。ただし当期においては、流通在庫量が増えたために各事業者が調達を抑えており、端末市場の成長は鈍化している。また、10月下旬にはナンバーポータビリティ制度が開始され、事業者間の移動による端末需要拡大が期待されるが、当初見込まれていたほどのインパクトはなく、年間で数百万台レベルの需要拡大に留まるため、06年度の総出荷は5,000万台には到達しないと予測した。
携帯電話サービスの加入者数は06年9月末時点で9,381万件、対人口普及率は73%を越えている。今年度末には9,560万件となり、対人口普及率は約75%に達する見込みだ。このうち、FOMAやCDMA2000 1Xなどの第3世代(3G)サービス加入者数は約6,860万件と見込まれ、全体の71.8%を占める。08年度末には総加入者数が1億件を突破し、対人口普及率で約8割程度、3Gサービスの占める割合は93%に達する見通しだ。
06年度上期の携帯電話端末出荷台数シェアは、昨年度に引き続き激しい順位の変動が見られた。05年度上期に初のシェア1位となったシャープは、昨年度下期に3位に転落したものの、今年度上期は再びシェア1位に返り咲き、2位との差を7ポイントも引き離した。
MM総研の調査で、過去4位が最高だった東芝が、他社の凋落に影響される形で2位の座を獲得した。NECは05年度下期の2位から3位に転落、05年度下期に1位だったパナソニックはNECと僅差ながら4位へと転落した。特にNTTドコモの調達量が減少しているため、NTTドコモ向けの比率が高いNEC、パナソニック、三菱電機といったメーカーが軒並みシェアを落とした。
■さらに激しさを増す中堅メーカーのシェア争い
5位富士通に僅差で迫っているのが6位の三洋電機で、前年同期比30.3%増と盛り返している。NTTドコモ向けのGPS機能付きキッズケータイSA800iに加えてSA702iが加わり機種数が増加したこと、au向けの端末機種数も4機種となり、それぞれが一定のヒット商品となったことで、一時期の低迷から脱却する兆しを見せている。
ソニー・エリクソンも、前年同期比27.3%増でシェアを1.5ポイント上げ、富士通、三洋電機と激しいシェア争いを演じている。au向け端末に加えて、NTTドコモ向けのFOMA端末投入も本格化し、徐々に存在感を増している。
「その他」のメーカーではランキング圏外となった三菱電機はD902iなどのヒット商品はあったが、NTTドコモの調達総数が減少したため、1機種だけでは浮上することが出来ず、前年割れとなった。この他、カシオがau向けの端末W41CAで大ヒットを記録し、上位メーカーに迫る勢いを見せている他、日立、京セラなどのau向け端末も好調だ。
06年度上期の特徴として、au向けメーカーが総じて好調だったこと、NTTドコモへの依存度が高いメーカーが低迷したこと、ソフトバンクモバイル向け端末で独走するシャープが好調だったことが挙げられる。今後しばらくは、複数の事業者向けに端末を納入するメーカーが上位に食い込むことになりそうだ。
■ナンバーポータビリティ制度の影響は限定的か
06年度の携帯電話市場は、前年度比6.2%増の4,910万台と予測される。03年度以来、3年ぶりの5,000万台突破が期待されたが、上期に発生した流通在庫増大の影響とナンバーポータビリティの利用者が当初の見込みを下回りそうなため、大幅な上積みは望めそうにない。
MM総研の調査結果ではナンバーポータビリティの利用希望者が6月に11%台だったが、手数料などがかかることに加えて、事業者の囲い込み施策が歯止めをかけているため、今後半年間の利用者は一桁台に落ち着く見通しだ。したがって、06年度は前年を上回るものの、5,000万台には到達せず、07年度以降に5,000万台市場への回復があると予想した。