サーチナ、中国消費者のデジカメに対する意識調査結果を発表
サーチナ総合研究所:中国消費者のデジカメに対する意識調査を実施
-人気は「ソニー」「キヤノン」に集中、中国メーカーは苦戦-
中国に特化したシンクタンクである「サーチナ総合研究所」(所在地:東京都中央区、所長:有田直矢、以下サーチナ総研)は、2006年9月13日~20日にかけて中国消費者のデジタルカメラ(以下、デジカメ)に対する意識調査を実施し、北京市、上海市、広東省を中心とする中国全土のモニター1500人から有効回答を得ました。サーチナ総研は同調査を半年に1回実施しており、今回は第6回目となります。
■デジカメ普及率85%、高所得者を中心に複数台所有も
デジカメを所有しているかを尋ねたところ、所有していると回答したのは全体の84.7%で、前回2006年3月の調査より1ポイント減少した。所有台数で最も多いのは「1台」(67.1%)で、続いて「2台」(15.5%)、「3台以上」(2.1%)となった。複数台を所有している消費者が多かったのは、地域別では北京市と上海市で、どちらも全体の2割以上となった。
また、月収別では「4000-5999元」で25.7%、「6000元以上」で35.2%となるなど、高所得層ほど複数台所有者の比率が高くなる傾向が明らかになった。(図1参照)
所有しているデジタルカメラのタイプでは、「通常のデジタルカメラ」が73.6%で最も多く、以下「デジタルビデオカメラ」(18.4%)、「一眼レフデジタルカメラ」(7.8%)となった。通常タイプのデジカメ所有者をみると、世代別では「10代」が63.9%となっており、唯一7割を下回っている。一方、デジタルビデオカメラの所有者は「10代」が29.4%で最も多く、こちらは世代が高くなるにつれて減少する傾向にある。また、「一眼レフデジタルカメラ」は世代別では50代以上、月収別では4000元以上で10%を上回っており、高所得の中高年層を中心に支持を集めている。(図2参照)
図1 デジタルカメラの所有台数
図2 所有するデジタルカメラの種類(複数所有者は最もよく使うもの)
※添付資料を参照
■所有するデジカメ:「ソニー」「キヤノン」に人気集中
デジタルカメラを所有する消費者にそのメーカーを尋ねたところ、前回2006年3月の調査と同様、「ソニー」が29.7%でトップとなった。第2位も前回同様「キヤノン」(22.1%)となっており、この2社が全体の過半数を占める結果となった。(図3参照)
第1位の「ソニー」から第3位の「コダック」(8.7%)までの順位は前回と変わらないが、前回第5位の「サムスン」が2.1ポイント増の7.9%で第4位となっている。トップの「ソニー」は、地域、世代、性別を問わず幅広い支持を集めており、世代別では「10代」(42.2%)、月収別では「999元以下」(37.6%)で特に高い数字となった。
第2位の「キヤノン」は、月収別では「2001-2999元」(24.2%)、「6000元以上」(24.0%)の回答が多く、また世代別では「30代」(24.4%)で「ソニー」(23.1%)を上回り、トップとなっている。
前回と同じ第3位となった「コダック」は、8月には上海のデジタルカメラ生産拠点をシンガポールの偉創力(FLEXTRONICS)社に譲渡すると報じられており、先行きが不透明な状況が続いている。今回の調査でも前回より1.3ポイント減と、中国市場で苦戦する同社の状況がそのまま数字となって表れた格好だ。
他のIT製品では健闘している中国ブランドも、デジタルカメラでは不振が続いており、中国ブランドはトップの「聯想(レノボ)」でも1.9%、日系ブランドへの挑戦を表明している「愛国者」が1.1%など、各社とも低迷している。また、所有するデジカメの購入時期を聞いたところ、「2005年」が42.1%で圧倒的に多く、以下「2004年」(26.0%)、「2006年」(17.9%)、「2003年」(9.2%)となっている。03年以降の購入者が全体の95%以上、06年になってからの購入者が2割近くとなっており、各メーカーが発表する新製品に対し、一般消費者の購買意欲が依然として衰えていないことを示す結果となった。
図3 所有するデジタルカメラのメーカー(ブランド)
※添付資料を参照
■デジカメ購入:検討中が75%も、時期は未定が多数
デジカメの新規購入や買い替えを検討しているかと尋ねたところ、前回2006年3月の調査同様、約75%が積極的に検討していることが明らかになった。
デジタルカメラの新規購入や買い替えを検討しているかとの問いに対し、「大変そう思う」は28.5%、「そう思う」は46.3%で、積極派が全体の約75%に達した。
その一方、「あまり思わない」が8.2%、「全く思わない」が0%と消極派は全体の8.2%に過ぎず、「どちらともいえない」の中立派は前回調査とほぼ同様の17.1%だった。(図4参照)
また購入予定のメーカーを挙げてもらったところ、所有状況の調査同様、「ソニー」が56.5%でトップとなった。「キヤノン」(49.5%)、「オリンパス」(27.5%)、「サムスン」(24.9%)、「ニコン」(24.3%)までが上位5社となっており、所有状況の調査で第3位だった「コダック」は18.9%で第6位となった。(図5参照)
トップの「ソニー」は、世代、地域、所得を問わず、ほぼ過半数を上回っているが、中でも性別では「女性」、月収別では
「4000-5999元」、世代別では「10代」と「40代」で6割以上の高い支持を集めている。第2位の「キヤノン」は、地域別では「北京市」(53.3%) 、月収別では「2000-2999元」(53.9%)で「ソニー」を上回りトップとなっている。
図4 デジタルカメラの買い替え・新規購入をしたいと思うか
※添付資料を参照
■デジカメ購入予算:高まる高額製品への関心
デジタルカメラの購入を予定している消費者にその購入予定価格を尋ねたところ、前回2006年3月の調査同様、200-3999元の価格帯が全体の約半数を占めた。また、2割以上の回答者が5000元以上と答えており、高額製品へのニーズが高まっていることも明らかになった。
最も多かったのは「2000-2999元」で25.9%、「3000-3999元」で22.5%となっており、二つの回答が全体の約半数を占める結果となった。続いて、「4000-4999元」(12.2%)、「1500-2000元」(10.3%)と、人気の価格帯が集中していることが明らかになった。(図6参照)
一方、5000元以上の価格帯を選んだのは全体の22.4%で前回調査から1.3ポイント増となっている。地域別では「上海市」(26.0%)、世代別では「40代」(27.6%)で他よりも高くなっている。月収別でみると、「3000-3999元」で27.1%、「4000-5999元」で32.7%、「6000元以上」で35.8%と、高所得者ほど高額製品を好む傾向にあることがはっきりと表れた。
購入予定場所を尋ねたところ、「大型量販店」(62.5%)が最も多く、続いて「メーカー専門店」(27.3%)、「通常の家電販売店」(6.2%)となった。「オンラインショップは前回調査から3.1ポイント減の3.5%となっており、消費者が依然として対面販売による直接購入を望んでいることを示す結果となった。(図7参照)
図6 デジタルカメラの購入予算
図7 デジタルカメラの購入予定場所
※添付資料を参照
■デジカメのブランドイメージ:「ソニー」「キヤノン」が2強
中国の消費者にデジタルカメラメーカーで、最もブランドイメージがよく、ステータスが高いと思われるものを挙げてもらったところ、前回2006年3月の調査同様、「ソニー」が32.7%でトップとなり、第2位も前回同様「キヤノン」(24.9%)となった。他のメーカーは軒並み10%以下となっており、デジタルカメラ業界における両社の優位を改めて示す結果となった。(図8参照)
「ソニー」と「キヤノン」の回答を性別でみると、「ソニー」は女性から支持が高く、「キヤノン」は男性からの支持が高い。また、地域別では「ソニー」が上海市で高い数字となっているのに対し、「キヤノン」は北京市で「ソニー」を上回ってトップとなっている。このほか「ソニー」支持が目立つのは、世代別では「10代」、月収別では「4000-5999元」であるのに対し、「キヤノン」は世代別では「20代」、月収別では「2000-2999元」の数字が目立っており、両社の支持層の違いが明確に表れている。
第3位は「オリンパス」(9.9%)、第4位は「サムスン」(8.2%)、第5位は「ニコン」(7.3%)となっており、上位5社は購入予定の調査と同じ顔ぶれとなった。「オリンパス」「ニコン」ともに「50代以上」で約13%の支持を集めており、中高年層の両社に対するブランドイメージの高さを示している。
中国系メーカーでは、「聯想(レノボ)」が前回より0.4ポイント減の2.1%で第8位、「愛国者」が前回より0.8ポイント減の0.8%で第11位となっている。パソコン(PC)分野ではトップブランドの仲間入りを果たした聯想だが、デジカメ分野では、依然として苦戦を強いられている。また、昨年から話題を提供してきた「愛国者」も、まだ消費者から高評価を得るまでには至っていないようだ。
図8 最もブランドイメージがよいメーカー(ブランド)
※添付資料を参照
※詳細はオリジナルリリースを参照