日本TI、音声圧縮規格「HE-AAC」向けエンコーダを開発
日本TI、音声圧縮規格「HE-AAC」向けエンコーダを開発
世界初の最大25倍速リッピングを実現
~同時に最大44倍速MP3エンコーダも発表、いずれも日本TI筑波テクノロジー・センターで開発~
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は、ワンセグや携帯電話向け音楽配信サービスなどに使用されている音声圧縮規格「HE- AAC」向けの符号化技術(エンコーダ)・ライブラリを発表しました。音楽CDからオーディオ機器へのリッピング(注1)を、世界初の最大25倍速で実現します。なお日本TIでは同時に、MP3の超高速エンコーダ・ライブラリ(最大44倍速)も発表しました。
2つのエンコーダ・ライブラリはいずれも、日本TI筑波テクノロジー・センターで開発されました。符号化に要する内部処理をすべて32ビット浮動小数点で演算し、最高の音質を提供します。いずれもTIの高性能オーディオDSPプラットフォームであるAureus(TM) (読み:オーリアス)のDSP製品に搭載し、ミニコンポや車載オーディオ機器等の各種アプリケーションでのリッピング用途に使用します。Aureus(TM)ファミリーは、車載向けに設計されており、自動車環境の厳しい要求条件を満たす高品質のDSPです。
「HE-AAC」の普及を推進する高速エンコーダ
HE-AAC(high-efficiency advanced audio coding)は現在、地上デジタル放送のワンセグサービスや、携帯電話向け音楽ダウンロード・サービスなどで使用されている音声圧縮規格です。
同規格はMPEG-4 AAC(以下AAC)の拡張仕様であり、AACやMP3などの他の規格と比べて圧縮効率が高いのが特長です(対MP3で2.7倍*注2)。技術的には、AACにSpectral Band Replication(SBR)技術を組み込むことで再生帯域を拡大し、主に低ビットレートでの圧縮効率を大幅に向上しています。同規格を採用した場合、より少ない格納容量でより多くの楽曲を高音質で保存できるため、NANDフラッシュやHDDを使用したオーディオ機器でのさらなる採用などが期待されています。
しかしながら、これまで同規格の符号化処理には高いCPU負荷を要するため、設計上・価格上での制限が課題となっていました。そこで日本TIでは、CPU負荷を低く抑えつつ高速リッピングが行える独自の符号化処理用プログラム(エンコーダ)を新たに開発しました。
マルチタスク処理を可能にする処理性能
今回発表した2つのエンコーダを始めとするTIの超高速エンコーダ・ソリューションは、CPUの処理能力全体の5分の1以下で実行可能です。従って機器開発者は、残りの処理能力をCDリッピングの際の「追っかけ再生」や、MP3のCDリッピングとAACファイル再生の同時実行、イコライザやバスマネージメント、プロロジック2などの処理の組み合わせと同時実行など、製品の付加価値向上につながるような機能に割り当てることができます。
※添付資料を参照
現行のライブラリと上位互換性を確保
今回発表された2つのライブラリは、いずれもTIのTMS320TM DSPアルゴリズムスタンダード (注3)に準拠しています。従って、現在TIのDSPとTMS320TM DSPアルゴリズムスタンダード準拠のTI製コーデックを使用しているお客様は、既存のライブラリを今回発表の新しいライブラリと置き換えるだけで、より高速処理へと簡単に移行できます。
ご参考:各エンコーダのエンコード・スピード・ベンチマーク
※添付資料を参照
※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します
テキサス・インスツルメンツおよび日本テキサス・インスツルメンツについて
テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称: TI)は、グローバルな半導体企業であり、デジタル家電、ワイヤレス市場などに向けたDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)とアナログICを中核とするトータル・ソリューションを提供しています。そのほか、E&PS(教育関連)事業を展開、世界25ヶ国以上に製造・販売拠点を持っています。
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は、テキサス・インスツルメンツの子会社で日本市場における大手の外資系半導体サプライヤです。資本金は362億5,000万円です。大分県日出、茨城県美浦に生産工場があり、茨城県つくばと神奈川県厚木にテクノロジー・センターがあります。
TIに関する情報はインターネットでも発信しています。(http://www.tij.co.jp)
読者向けお問い合わせ先
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)
FAX:(0120)81-0036 URL: http://www.tij.co.jp/pic/
以上