鹿島、「ウォータースクリーン」を土木分野に初めて適用
「ウォータースクリーン」を土木分野に初の適用
★シールドマシン解体作業時の仮設備として適用
★解体作業から発生する煙の拡散を最大で約8割低減
鹿島(社長;中村満義)は、このたび「ウォータースクリーン」をシールドマシン解体作業時の仮設備として、土木分野としては初めて、愛知県内で施工中の春日井共同溝瑞穂工事(発注者 国土交通省中部地方整備局)に適用しました。
ウォータースクリーンは、特殊なノズルをライン上に設置し、微細な水粒子を放水することで、水の幕を形成する技術であり、熱や煙を遮断する効果があります。今回は、煙の遮断効果に着目し、シールドマシン解体時に発生する煙の拡散を防止することで、作業環境の改善や周辺環境への影響低減効果を期待して適用したものです。
トンネル構築後のシールドマシンは、組立時とは異なり、細かく解体され、到達立坑から搬出する方法が主流となっています。マシンは鋼製部材で製作されているため、ガスにより切断する方法(ガス溶断)が用いられます。ガス溶断は火気作業となるので、事前にシールドマシン内部の作動油を抜き取り、燃焼による煙の発生などを防止しています。
しかし、カッターモーター内の潤滑油については、完全に除去することができないため、解体作業時には、火花が残存潤滑油に着火し、燃焼することで大量の煙が発生することが問題となっています。また、黒っぽい煤まじりの煙になることもあります。この問題に対して、これまで簡易的な集塵機等を利用して排煙しながら作業を行なうことが一般的ですが、トンネル内に煙が充満することによる作業環境の悪化や発生した煙が地上開口部より排出されることが課題となっています。
そこで、解体作業から発生する煙の拡散を抑えるために、シールドマシン解体場所の前後に水の幕(ウォータースクリーン)を仮設備として設置しました。
その結果、拡散する煙量の減少、燃焼に伴う匂いの減少など、仮設備としても十分有効であることが確認できました。また、同時に地上開口部にて煙濃度を測定したところ、ウォータースクリーンを使用することにより開口部から排出される煙量を最大で約8割低減することが確認できました。これは、水の幕(ウォータースクリーン)を構成する約200μm(ミクロン)の微細な水粒子が、シールドマシン内部の潤滑油が燃焼する際に発生する煙粒子を捕捉し、洗い落とすことで、拡散する煙量を減少させる効果を発揮できることが確認できたことになります。
今後、当社では、建築物、道路構造物、鉄道構造物などの防火区画技術だけでなく、シールドマシン解体工事などの仮設分野までも視野に入れ、様々な分野において「ウォータースクリーン」を積極的に提案していく考えです。
「ウォータースクリーン」は、鹿島とホーチキ(株)(社長; 藤本二郎)が共同で開発したもので、約200μm(ミクロン)の微細な水粒子を噴出する特殊なスパイラルヘッドをライン上に連続配列することで、水の幕を形成する技術です。この水の幕(ウォータースクリーン)を用いて火災が発生したゾーンを区画化し、熱・煙の拡散を抑制、有害浮遊粒子を捕捉・洗浄することによって被災者の安全を確保するとともに、構造物の被害を極小化することが可能です。
なお、2005年2月に特定防火設備として国土交通省の一般認定(認定番号EA-0157)を取得しており、東京ビル(東京都千代田区)などに採用されています。
参考:「ウォータースリーン」が一般認定取得(2005.5.24付プレスリリース)
http://www.kajima.co.jp/news/press/200505/24a1fo-j.htm