日本精工、低騒音の長寿命アイドラ用軸受を開発
長寿命アイドラ用軸受の開発
~長寿命化、低温時の音響改善を達成~
日本精工株式会社(本社/東京都品川区、取締役代表執行役社長 朝香聖一、以下NSK)は、自動車電装用アイドラ(*1)の使用環境多様化に対応し、優れた耐久性と低温環境での低騒音を実現した長寿命アイドラ用軸受の開発に成功しました。
(*1) アイドラ・・・自動車エンジン補機ベルトの張力やレイアウトを自在に調整する部品
<開発の背景>
従来、アイドラ用軸受の評価は、試験後の判断基準としてスムーズな回転確保に着目し、高速、耐水、防塵等の各種試験を実施してきました。
しかし自動車における使用環境の多様化、またエンジンの低騒音要求に伴い、市場からは、実際の使用環境に近い水やダストを与えながらの長期に渡るサイクリック試験による軸受機能の確認や、低温環境下において低騒音を可能とした軸受が望まれてきています。
<開発の効果>
今回NSKは、市場におけるエンジン回り環境のシミュレートを可能にした試験装置を新たに設置し、様々な仕様のアイドラ用軸受における性能確認試験データを積み重ねた結果、本用途に最適な仕様として、異物浸入及びグリースもれ抑制に有効な高密封DGシールを開発するとともに、軸受焼付き寿命改善に有効なHT1グリースを組み合わせた長寿命アイドラ軸受を開発しました。また保持器形状を新しくすることでボールの潤滑不足を改善し、低温環境下における低騒音化を可能としました。
<長寿命アイドラ用軸受の特長>
(1) 異物浸入防止に高い効果を発揮するDGシール
・シール摺動部に3つのシールリップを形成し、一般の軸受内輪シール溝よりも深く形成された内輪と組み合わせることで、軸受内部のグリース保持性、外部からの異物浸入防止に優れる。
(2) 高温における焼付き性を2倍に向上させた新開発のHT1グリース
・潤滑剤として、高温で蒸発しにくく高温条件下での長期使用でも硬度変化を抑えた流動性の良いグリースを開発することにより焼付き寿命を当社従来比2倍を達成。
・当グリースは、環境負荷物質(NaNO2)フリーのエコロジー指向。
(3) 低温時に異音を発生させない新開発のT1XL保持器
・低温環境下でのグリースの流動性低下に伴い、ボールと軌道輪(内輪、外輪)間の摩擦が増大し、プーリの振動による騒音を発生させることになる。この問題を解決するために、ボールを均等に配置させる役割を持つ保持器に、グリース溜まりを形成させることによって潤滑不足を改善し、低騒音を実現。
NSKはアイドラ市場で、2年後に年間20億円の売上増を目指します。
以上