NECエレクトロニクス、リチウムイオン二次電池向けパワーMOSFETを発売
現行機種に比べてチップ面積あたりの性能を約3割向上させたリチウムイオン二次電池向けパワーMOSFETの発売について
~設計ルール0.25μmの最新プロセス「UMOS5」を投入~
NECエレクトロニクスは、携帯電話、デジタルスチルカメラ、携帯型ゲーム機器などのバッテリー保護用途に用いられるパワーMOSFET(金属酸化膜電界効果トランジスタ)の品揃え拡充として、チップ面積当たりの性能を現行機種に比べて約3割向上させた新機種を製品化し、「μPA2450C」の名称でサンプル出荷を開始することにいたしました。
新製品は、電源電圧20ボルトの低耐圧領域を対象とした製品であり、リチウムイオン二次電池のパッケージ内に搭載され、充電および放電の際のスイッチ機能を実現し、過電流による発熱や爆発などを防止する用途で用いられるものであります。
設計ルール 0.25ミクロン(μm)の最新プロセス「UMOS5」を採用した今回の新製品を用いると、電池メーカーは、発熱による温度上昇を防止しながら電流の大容量化ができる高性能な製品を、小型かつ低コストで作成することが可能となります。また、電池のパッケージサイズを大型化することなく高性能な製品を実現することができます。
新製品のサンプル価格は50円であります。当社では新製品に関する量産体制を既に整えており、月産3千万個の規模での量産を行う計画であります。
ゲート電極と同サイズの絶縁膜を実現でき、同一トランジスタ面積あたりの電極面積を倍増させられる「UMOS5」を採用した新製品により、次のことが可能となります。
(1)小型で高性能なバッテリーを容易に構築できる
現行プロセスである「UMOS4」を用いた現行機種に比べて、単一トランジスタ(セル)面積あたりに流せる電流(チャネル電流)を最大で倍増させることができ、チップの性能を約3割向上させることができる。
これにより、[1]高性能な電池を小型かつ低コストで実現すること、[2]同一サイズのパッケージで高性能な製品を実現すること、などが可能となる。
(2)業界最高のオン抵抗値(注)性能を実現
現行機種に比べて約3割低い、リチウムイオン電池向けMOSFETとしては業界で最小クラスとなる1mm平方あたり5.3ミリオームの抵抗値を実現でき、発熱を防止しながら大電流を流すことができる。
リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いことから、小型・軽量・長時間動作を要求される携帯型機器に最適な電源として広く使用されており、2006年以降においても年率20%を超える高成長が見込まれる製品であります(数値は当社独自調査による)。
このリチウムイオン二次電池を用いた携帯電話、デジタルスチルカメラ、携帯型ゲームなどにおいては近年、テレビ放送の受信機能、大容量の動画コンテンツの録画/再生機能、高精細な大画面の搭載による高度な表示への対応機能など、高機能化による消費電力の増大が急速に進んでおり、電池メーカーからは、高性能と携帯型機器向けに最適な小型を両立した低価格な製品を求める声が強まっております。
当社は1992年にリチウムイオン二次電池向けMOSFETの分野に参入して以来、積極的な製品展開をはかっており、現在では台数ベースで6割以上の世界シェアを有しております。当社ではこれまでに蓄積したノウハウを活かし、MOSFET用としては最先端となる0.25μmの「UMOS5」を用いることで、上記のような電池メーカーの課題に対応するために今回の製品を発売いたしました。
当社では、新製品が、電池メーカーの開発負荷を低減し、エンドユーザーの快適な利用環境を実現するものと考えており、今後も積極的に製品開発を継続し、DC/DCコンバータ向けMOSFETを製品化するなどの品揃えの拡充を行う計画であります。
以上
(注)オン抵抗値:
MOSFETがオン状態で動作した場合の抵抗値のこと。抵抗が少なくなればなるほど損失を低減でき、大きな電流を流すことができる。