三菱商事と聖マリアンナ医科大、「フラーレン」を用いた変形性関節症治療薬で研究成果を発表
フラーレンを用いた変形性関節症の治療薬に関する研究結果について
三菱商事株式会社(東京都千代田区、社長:小島順彦)と学校法人聖マリアンナ医科大学(神奈川県川崎市、理事長:明石 勝也)は過去1年半に亘る共同研究により、ナノカーボン素材であるフラーレンが、加齢に伴う変形性関節症の治療に優れた薬効を有するとの発見を得ました。本研究成果の一部は、12月9日よりチェコのプラハで開催される国際変形性関節症学会で聖マリアンナ医科大学の遊道講師より発表される予定です。
高齢化社会の到来とともに、国内患者数が1000万人とも言われる変形性関節症の対策が社会的な課題となっています。しかし、治療法としては、日常生活動作の改善指導や消炎鎮痛剤による対症療法が中心となっているのが現状です。これまで、変形性関節症発症の原因は良く分かっていませんでした。しかしながら、最近になって、酸化ストレスが関節構成細胞の活性・寿命の低下や機能の低下に関連していることが明らかとなっており、聖マリアンナ医科大学では、疾患成立に関与する酸化ストレスを抑制することができれば、変形性関節症に対する新しい治療薬が開発出来るものと考え、3年前に独自に細胞レベルでの研究に着手しました。
その結果、強い抗酸化作用を持つ様々な物質の中で、フラーレンが酸化ストレス抑制に最も優れていることを確認し、その後、三菱商事と共同で水溶性フラーレンを用いた動物実験を行い、生体での変形性関節症に対し高い薬効を持つことを確認しました。
三菱商事は、フラーレンの物質特許の独占ライセンスを有し、フラーレンの用途開発に積極的に取組んでいます。ライフサイエンス向けのフラーレン用途開発に関しては、100%出資のビタミンC60バイオリサーチ株式会社(東京都中央区京橋、社長:宍戸潔)を中心に研究開発を行い、既に化粧品原料としてのフラーレンの商業化を行っています。今回、聖マリアンナ医科大学が実験に用いたフラーレンは、ビタミンC60バイオリサーチで開発した生体向けバイオフラーレンを水溶化したものを使用しています。
三菱商事と聖マリアンナ医科大学は、本研究結果をもとに、製剤化に向けて必要となる追加研究・試験を実施した上で、事業化やライセンスを含めた検討を進めて参ります。
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