NTTと東大、リモコン端末でネット上の情報や機器を簡単操作できる会議支援システムを開発
ucodeを用いた会議支援システム
「Conference@ID(カンファレンスエイド)」を開発
~リモコン端末でネットワーク上の情報や機器を簡単操作~
日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区、代表取締役社長:和田 紀夫)と国立大学法人東京大学(以下東京大学、東京都文京区、総長:小宮山 宏)は、ucode(ユーコード)(*1)を用いてネットワーク上の情報や機器をリモートコントローラ端末(以下リモコン端末)で簡単に操作可能な会議支援システム「Conference@ID(カンファレンスエイド)」(別紙)を開発しました。本システムは、リアルな機器とネット上にある情報をucodeを使ってセキュアに対応付けたことに加え、ビデオデッキ等の基本機能と同じリモコン操作モデルを採用したことにより、誰にでも簡単に安心してご利用いただけます。
また、NTTと東京大学は、これを機にucodeによる情報と機器の対応付けによるユーザビリティの更なる向上を目指し、ネットワーク社会における新たなサービスの実現に向け、共同研究開発を推進していきます。
1.背景と目的
会議の席上において、PC、プロジェクタ等、情報機器を利用する事が一般的になっています。しかし、電子化された情報を近隣の出席者と共有したり受け渡すことや、プロジェクタ画面をプリントアウトすることが意外と面倒であったりします。これは、機器同士の接続や設定、また情報と機器の対応付けに手間がかかるといった、煩雑な操作手順を必要とするためです。
そこで、NTTサイバーソリューション研究所(以下NTT研究所)と東京大学・坂村健研究室は、<1>リモコン端末での簡易な操作モデル<2>電子化された情報(バーチャル)と、目の前に存在する情報機器(リアル)の融合<3>情報機器とリモコン端末、およびそれらと協調して動作するサーバ群で構成することにより、誰にでも簡単に安心してご利用いただけるシステムを実現しました。
2.本システムの特徴
下記の実現方法を採用している点が特徴です。
<1>簡易なリモコン状の小型端末で全ての操作が完結します。
<2>リモコン端末内には、情報やファイルそのものを持たないため、セキュアな構成となっています。
<3>リモコン端末と機器とのやりとりは、企業内ネットワークや家庭内ネットワークでそのまま使用できるプロトコル(HTTP等)で構成されています。
3.技術のポイント
(1)5基本操作モデルによるユーザインタフェース技術
多くの人々が慣れ親しんでいるVHS、DVD、HDDレコーダ等の基本操作である、再生・録画・早送り・巻き戻し・停止/一時停止の5動作である点に着目し、本技術も5つの基本動作に絞る事により、下記のように抽象化した簡易なユーザインタフェースを実現しました。
・[PLAY]:情報などの処理・実行の指示を抽象化したもの
・[STOP]:情報の処理や実行、操作の停止の指示を抽象化したもの
・[FIND]:情報やコンテンツの検索の指示を抽象化したもの
・[STORE]:情報の蓄積の指示を抽象化したもの
・[MOVE]:情報の移動の指示を抽象化したもの
このような基本操作モデルを規定することにより、複雑になりがちな情報機器の操作をシンプルに提供することができます。
(2)セキュリティ技術
リモコン端末内に情報やファイルそのものを取り扱わない構成になっていることで、端末の紛失による情報漏洩が防止できます。また、リモコン端末を利用する際には、操作者の認証を行うと共に、情報やファイルそのものは、暗号化して通信していますので、安心して利用できます。
(3)プロトコル技術
ucodeと機器を結びつけるサーバ群と、ucodeを用いて情報や機器を検索・操作するリモコン端末、さらにリモコン端末の指令を受けて情報をサーバから取得し処理をする機器から構成されています。また、その機器間の通信は、HTTPをベースとしたプロトコルで通信され、その電文内容はXMLにより記述されています。これにより、既存の企業内ネットワークでも、ネットワーク構成を大きく変更する必要が無いため、利用しやすくなっています。
4.今後の展開
両者は、共同研究にて、ucodeによるサービス構成方法、ucodeによるネット上に存在する情報と実空間に存在する機器の連携方法、および、抽象化された5基本操作の有効性を検証することにより、ネットワーク社会において、「誰でも」「安心して」「簡単に」情報を操作できる世界を実現できるよう研究開発を推進していきます。
[用語解説]
(*1)ucode
T-Engineフォーラム(代表:坂村健東京大学教授)が提唱するユビキタス・コンピューティングのためのID体系で使用されるコードのことです。このucodeは、非常に広いアドレス空間(最小構成で128bit)を有するメタコード体系であり、既存のIDとの親和性も非常に高い点が特徴です。また、ucodeの封入する媒体のバラエティも豊富です。
T-EngineフォーラムURL http://www.t-engine.org/index.html
・別紙 会議支援システム「Conference@ID(カンファレンスエイド)」
*添付資料をご参照ください。