旭硝子、画期的な平坦化性能をもつ銅配線用CMPスラリー「アプラナドール」の開発に成功
画期的な平坦化性能をもつ銅配線用CMPスラリー(アプラナドール(R))の開発に成功
旭硝子株式会社(本社:東京、社長:門松正宏)は、半導体集積回路の銅配線製造工程において、銅(Cu)メッキ後の研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)によるディッシング(配線部のへこみ)が、ほとんど発生しない銅配線用CMPスラリー(商品名:アプラナドール(R))の開発に成功しました。従来の製品は、研磨工程時に500Å(オングストローム)程度のディッシングが発生してしまうため、配線厚を維持するために銅メッキを厚く製膜しなけれならず、またディッシングそのものが歩留まりを大きく低下させる要因となり、これらが製造コストを引き上げる結果となっていました。今回の開発により、銅メッキ膜厚を従来よりも薄くすることができ、製膜及びCMPの時間短縮が可能となること、また、ディッシングの減少により歩留まりの大幅な向上が見込まれることから、半導体集積回路の製造コストの画期的な低減につながると期待されます。
マイクロプロセッサ、メモリーなどの高性能半導体集積回路は、プロセスの微細化に伴い、配線抵抗値が大きくなる傾向があり、これが発熱問題の主要因となり、歩留まりの低下、動作周波数の向上を妨げています。このため、配線用素材については、現在主流のアルミニウム(Al)から、より抵抗の低い銅(Cu)への切替が加速的に進んでおり、それに伴い、銅配線用CMPスラリーの市場規模は2005年の約400億円から、年率20%の成長を続けています。
当社は、1993年より100%子会社であるセイミケミカル株式会社(本社:神奈川、社長:安藤豊)にて独自の砥粒製造技術を用いたセリア(CeO2)を材料としたSTI用CMPスラリーを製造、販売し、現在、材料からの一貫生産を武器に世界各国のお客様に広くご採用頂いています。一方、シリカ(SiO2)を材料とした銅配線用CMPスラリーについては、2004年に最初の製品を上市し、その後も中期経営計画“JIKKO-2007”において第3の柱として位置づけているエレクトロニクス&エネルギー事業の中でも大きな成長を期待する製品として、開発を継続してきた結果、今回、画期的な平坦化性能を実現するアプラナドール(R)の開発に成功しました。
今後は、2006年12月より、アプラナドール(R)のサンプル提供を行い、2007年には量産開始を予定しています。また、2010年に銅配線用CMPスラリー市場で世界シェア25%以上獲得を目指し、まずは販売を強化するために現在の日本、欧米、上海、シンガポールの拠点に加え、台湾に営業拠点を新設します。また、製造拠点についてもグローバル展開を図っていきます。
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