アナログ・デバイセズ、3GとWiMAX基地局向けデュアル14ビットA/Dコンバータ「AD9640」を発表
アナログ・デバイセズ、3GとWiMAX基地局向け
デュアル14ビットA/Dコンバータ「AD9640」を発表
WiMAXを含むすべてのワイヤレス規格のサンプリング・レート要求仕様に適合する
サンプリング・レート150MSPSのデュアル14ビットADC
アナログ・デバイセズ社(ニューヨーク証券取引所:ADI)は、本日、150メガサンプル/秒(MSPS)の性能を実現する初のデュアル14ビットA/Dコンバータ(ADC)「AD9640」を発表しました。AD9640は、W-CDMA、CDMA2000、TD-SCDMAを含むすべての第3世代(3G)基地局のワイヤレス規格に適応し、かつWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)規格に求められる135MSPS以上というサンプリング・レートをも達成する唯一のデュアル14ビットADCです。
これまで、135MSPS以上のサンプリング・レートを実現するためには、複数のシングル・チャンネルADCを用いるしかありませんでした。しかし、このAD9640により、基地局設計者は1個のデュアルADCでこれまで以上に高いサンプリング・レートを実現し、基盤スペースを50%削減できるようになります。またAD9640では、ADC前段に必要となるアナログ・フィルタリングの点数と消費電力の両方を低減するので、マルチキャリア・ワイヤレス・インフラストラクチャ・システムの設計を簡素化できます。
アナログ・デバイセズ社高速信号処理グループのプロダクト・ライン・ディレクター、ケビン・カットマン(Kevin Kattmann)は、次のように述べています。「今日、基地局メーカーは、コスト低減に注力しつつ、WiMAX規格だけでなく様々な3Gワイヤレス規格に対応した機器を設計するという課題に直面しています。AD9640は、これらの規格に要求される性能とサンプル・レートに加え、システム全体のコスト削減をもたらす低消費電力、小型化、デジタル機能を提供し、このような設計上の課題を解決する製品です」
低消費電力と高性能をあわせて提供
AD9640は、チャンネル当たりわずか390mWという消費電力と、クラス最高の性能をあわせて提供します。AD9640は、70MHzの中間周波数(IF)で、72.7dBFSのS/N比と85dBcのSFDR(スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ)を実現します。さらに450MHzという高いIFまでサポートするので、WiMAX装置設計者は、従来の2段のダウン・コンバージョン・ステージの代わりに、単一ダウン・コンバージョン・ステージの受信回路を設計に用いることができます。なお、ADIの低歪み差動アンプ「AD8352」と組み合わせて駆動することで、性能を最適化することが可能です。
AD9640は、入力クロックを1から8の間の整数で分周するので、システムの複雑さを軽減し、さらにクロック・ジッタの改善が可能となります。基地局の送信回路では、ADIの「AD9779」のようなD/Aコンバータ(DAC)を使用した、より高いクロック・レートを用いておりますが、これを分周してADCの所要クロック・レートに合わせることができます。なお、AD9640はクロック分周回路をオンチップ搭載しているので、外付けの分周器は不要です。さらに、クロック・ソースの位相ノイズが、分周比に比例して低減されます。
システム・コストを低減するデジタル機能
AD9640は、受信回路における自動ゲイン制御(AGC)の簡略化により、システム・コストを低減できるというデジタル機能を内蔵しています。AD9640は、入ってくる信号のパワーをモニターし、受信回路のゲインを増減する必要があるかどうかを指示するブロックを含む、デジタル機能を集積した業界初のADCです。AD9640では、この信号モニター・ブロックが受信回路のゲインを変えるためのスロー・メカニズムとして機能する一方、内蔵された高速検出(FD)モードにより、設計者は入力オーバーレンジ状態を2クロックという短いサイクルで検出し、ゲインをすばやく制御することができるので、アナログ・フロント・エンドのオーバー・ドライブを避けることができます。FDビットは、このクリッピング情報提供の機能だけでなく、スレッショールドがプログラマブルになっているので、受信回路のAGCループを最適化するのに役立ちます。
供給と価格について
AD9640は現在サンプル出荷中で、量産出荷は2007年4月の予定です。サンプル・レートが80、105、125、150MSPSで、分解能が12ビットと14ビットの製品を提供しています。出力はCMOSとLVDSモードをサポートしています。単価は、1,000個受注時で、14ビットADCが37.50ドルから87.50ドル、12ビットADCが25.05ドルから47.97ドルです。(いずれも米国における参考価格です)両バージョンとも、9mm×9mmの64ピンLFCSP(リードフレーム・チップ・スケール・パッケージ)パッケージで供給しています。詳細情報およびこの製品のビヘイビア・デザイン・モデル「ADIsimADC(TM)」のダウンロードについては、ウェブサイトwww.analog.com/pr/AD9640をご覧下さい。
ADIのワイヤレス・インフラストラクチャ・ソリューションについて
ADIは、個別ICから完全なソリューションまで、業界でも最も広範囲なワイヤレス・インフラストラクチャIC製品を提供しています。
2G/3G/4G携帯電話、WiMAX、マイクロ波、リピータ(中継器回路)、シングルまたはマルチ・キャリア向け衛星通信、ダイレクト・コンバージョン、IFサンプリングまたはスーパーヘテロダイン無線回路設計に対応した何百点もの製品をADIは提供しています。この広範な製品の中には、RFとIFビルディング・ブロック部品、RFサブシステム、データ・コンバータ、クロック分配用IC、熱および電力管理製品、電力検出IC、TigerSHARC(R)プロセッサに基づくデジタル信号処理システム(DSP)などがあります。ADIは、ワイヤレス・インフラストラクチャ市場をソリューション全体の視点でとらえ、技術リソースやパッケージング、モジュール技術、シミュレーション・ツールを投入し、同市場における世界的なリーディング企業としての地位を築いています。詳細情報については、ウェブサイトhttp://www.analog.com/WIFRをご覧下さい。
アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズ(ADI)は、技術革新、高性能、そして卓越した技術力を企業文化として継承し、半導体市場において長期にわたり高い成長を示してきました。
ADIは、データ・コンバージョンとシグナル・コンディショニング技術の世界的リーディング企業として業界で高い評価を得ており、あらゆる種類の電子機器分野を取り扱う世界各国60,000社以上の顧客に製品を提供しています。アナログおよびデジタル信号処理アプリケーションに用いられる高性能集積回路の世界的なリーディング・メーカーとして、40年以上の歴史を誇るADIは、本社をマサチューセッツ州ノーウッドに構え、全世界で約8,900人の従業員を擁します。製造工場は、マサチューセッツ、カリフォルニア、ノース・カロライナ、アイルランド、フィリピンにあります。アナログ・デバイセズはニューヨーク証券取引所に上場しており(ティッカ-:ADI)、ADIはS&P500インデックスに挙げられています。
※ADIsimADC(TM)はアナログ・デバイセズ社の商標、
TigerSHARC(R)は同社の登録商標です。
ここに挙げたその他の商標はすべて、それぞれの所有者の財産です。
製品に関する読者からのお問い合わせ先
アナログ・デバイセズ株式会社
ホリゾンタル・セグメント・マーケティング・グループ
電話 03-5402-8128