IDC Japan、国内セキュリティサービス市場動向を発表
国内セキュリティサービス市場動向を発表
・システムインテグレーターが提供する2005年の国内セキュリティサービス市場の売上は、前年比8.4%増の2,372億円
・通信事業者が提供する同市場の売上は、前年比20.4%増の1,520億円
・企業のセキュリティ導入意欲は今後も継続し、セキュアシステム構築サービス、セキュリティシステム、運用管理サービスを中心に市場が拡大する見込み
IT専門調査会社 IDC Japan株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、国内セキュリティサービス市場動向および予測を発表しました。これによると、2005年のセキュリティサービス(注)売上は、システムインテグレーターが提供する市場で2,372億円、通信事業者が提供する市場は1,520億円でした。2004年から継続して外部脅威に対するセキュリティ対策および情報漏洩対策の需要が拡大し、セキュアシステム構築サービスおよびセキュリティシステム管理サービスが成長しています。
システムインテグレーターは、自社クライアントに対してセキュリティシステムのコンサルティング、システム構築、運用管理サービスを一貫して提供するケースが多いものの、売上の中心はシステム構築となっています。2005年のセキュリティサービス売上実績2,372億円の中で、セキュアシステム構築サービスの売上が66.6%を占め、セキュリティシステム運用管理サービスが26.9%、その他セキュリティコンサルティング、セキュリティ教育/トレーニングとなっています。コンサルティングや教育はシステム構築の付帯サービスとなる場合も多く、売上全体に占めるシェアに変化は見られません。これに対し、セキュリティシステム運用管理サービスのシェアはわずかながら増加しています。企業では多様なセキュリティ対策の導入によってシステムが複雑化し、この結果、セキュリティ担当者不足が顕在化して、運用管理をアウトソーシングする機会が徐々に増加すると考えられます。
システムインテグレーターの提供するセキュリティサービスの売上は、2005年~2010年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)9.2%で成長し、2005年の2,372億円から2010年には3,679億円まで拡大する見込みです。サービス分野別では、セキュリティシステム運用管理サービスのCAGRが最も高いと予測しています。企業のセキュリティ対策導入が継続して活発であることから、セキュアシステム構築の需要も増加しますが、システム運用管理の需要の伸びがそれを上回るとIDCではみています。特に中堅以下の企業によるシステム運用管理サービス利用率が2007年以降伸びると予測しています。
一方、通信事業者は、自社の通信網を利用した通信サービスの一環として、大規模システム向けのファイアウォール/VPNの構築、および監視を中心としたセキュリティサービスを展開しています。通信事業者の提供するセキュリティサービス市場の2005年売上は前年比20.4%増の1,520億円であり、2004年の成長率18.3%と比較して2.1ポイント増加しました。通信事業者のセキュリティサービスは、セキュリティシステム運用管理サービスの提供が中心ですが、セキュアシステム構築やコンサルティングの需要も堅調に推移したため、すべてのセキュリティサービス分野において平均的に市場が拡大しているのが特徴です。
通信事業者の提供するセキュリティサービスの売上予測として、2005年~2010年のCAGRは25.3%で、2005年の1,520億円から2010年には4,697億円まで拡大するとIDCでは見ています。各サービス分野共に成長率の伸びは高く、市場全体が順調に成長するとみています。サービス分野別では、セキュリティコンサルティング、セキュアシステム構築が最も伸びるとみています。この要因は、多くの通信事業者でセキュリティサービス市場を一層拡大させるため、内製によりコンサルティングビジネスを充実させる意向を持っており、情報セキュリティ関連資格の取得を積極的に支援することで、セキュリティ専門の人材育成を積極的におこなっていることが揚げられます。
IDC Japan セキュリティ リサーチマネージャーの塚本卓郎は、「セキュリティサービス市場においては、企業からの様々なセキュリティ対策の要請によって新しいセキュリティソリューションが登場し、システム構築サービスの需要が堅調に伸びている。システム運用管理市場はIT管理要員の不足を補うために中小企業の利用率が高くなるであろう。また、内部統制の対策としてセキュリティシステム監査、ISMSなどの認証資格取得支援などがコンサルティング需要を押し上げる要因となる」と、述べています。
(注)IDCではセキュリティサービス市場を、セキュリティコンサルティング、セキュアシステム構築、セキュリティシステム運用管理、セキュリティ教育/トレーニング、の4つのサービス分野に分類している。またサービスベンダーを事業形態別に、システムインテグレーター、通信事業者、セキュリティ専業ベンダー、の3つのグループに分類しています。
今回の国内セキュリティ市場の予測は、IDCが発行したレポート「2006年 国内セキュリティサービス市場動向:セキュリティ運用管理サービスのアウトソーシング」(J6200107)にその詳細が報告されています。本レポートでは、事業形態別に、2003年~2005年における国内セキュリティサービス市場の売上実績とベンダーシェア、セキュリティサービスベンダーの動向、ビジネス戦略の分析、2006年~2010年の予測を提供しています。
(※レポートの詳細については IDC Japan へお問合せ下さい。)
<参考資料>
システムインテグレーターの国内セキュリティサービス市場の売上高と成長率予測、2005年~2010年
※ 関連資料 参照
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