日立化成、光配線用のフィルム型光導波路材料を開発
光配線用のフィルム型光導波路材料を開発
-次世代伝送技術の実用化を推進し、数年以内の量産化を目指す-
日立化成工業株式会社(本社:東京、執行役社長:長瀬寧次、資本金:154億円)は、情報処理機器や携帯端末機器の高性能化に伴う次世代の高速大容量情報伝送技術として実用化が進められている、光配線用のフィルム型光導波路材料を開発しました。
近年、FTTH(Fiber To The Home)や無線LANの普及、携帯電話の多機能化、さらには地上デジタルテレビ放送の開始など、情報技術の劇的な進歩を背景とし、取り扱う通信データ量が急激に増大しています。これに伴い、情報処理機器や携帯端末機器には処理能力の一層の向上が求められていますが、従来の電気配線による信号伝送では、プリント配線板における伝送高速化や高密度化、大容量化が限界に近づきつつあります。そこで、電気配線に比べ、信号遅延、電磁ノイズの問題が少なく、高速伝送が可能な光配線を一部に導入する動きが強まっており、その配線方式として高密度・多層配線が可能で機器の小型化に有利なポリマ光導波路の技術が注目を集めています。しかしながら、光配線の実用化にあたっては、1)電気配線と同等の信頼性を確保できること、2)低消費電力化が図れること、3)簡易な実装方式により既存の製造プロセスに適合可能であること等が課題とされてきました。
今般、当社が開発したフィルム型光導波路材料は、長年培ってきたフィルム技術を基礎とし、芳香族分子の導入など分子設計を最適化することにより、従来、光導波路材料として両立が困難であった耐熱性と透明性を共に実用レベルまで向上させることに成功しました。これにより、1)表面素子実装の主流である鉛フリーはんだリフロー実装に対応した高い信頼性と、2)波長域850nm(ナノメートル)において0.1dB(デシベル)/cm(センチメートル)以下の低光損失を実現しました。また、感光性機能の付与により、露光・現像によるサイズ数十ミクロンのコア形成を可能にし、3)プリント配線板のような既存の製造プロセスに適合するシンプルな加工性を実現しました。これらの特徴から、高性能化が進む情報処理機器や携帯端末機器での光配線の普及に大きく寄与できる材料として製品化を進めてまいります。また、良好な屈曲特性を併せ持つことから、フレキシブルタイプの光導波路としても適用が可能となります。
当社では、光導波路材料のみならず、配線板材料、実装材料までも含めた幅広い分野でのソリューションを視野に入れ、市場、顧客のニーズに対応しながら量産技術の早期確立に注力し、フィルム型光導波路材料の数年以内の量産化を目指してまいります。
なお、今回のフィルム型光導波路材料については、第8回プリント配線板EXPO(会期:1/17(水)~1/19(金)、場所:東京ビックサイト(東2ホール,ブースNO17-18))に出展する予定です。
以上
<ご参考>
■光導波路作製例
※添付資料を参照