野村総研、M&Aに関する従業員意識調査結果を発表
「M&Aに関する従業員意識調査」を実施
~M&A経験者は未経験者より敵対的買収に肯定的~
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、2006年11月に企業の従業員を対象にインターネット上で実施した「M&Aに関する従業員意識調査」の分析結果をまとめました。それによると、回答者のうちM&A経験者の方が、M&A未経験者よりも、敵対的買収を仕掛けられる可能性を強く感じていると同時に、敵対的買収に対して肯定的であることが明らかになりました。
【M&A経験者は未経験者より高い現実感】
今年予定されている「三角合併の解禁」などで、今後、国境を越えたM&Aが活発になる可能性がありますが、今回の調査結果では、M&A経験者と未経験者で、M&Aに対する意識に違いが見られました。
自分が働いている業界で、今後、M&Aが活発になると考えている人(「現在活発であり、この傾向は将来も続く」、または「今後活発になっている」と回答)の割合は、M&A経験者で70.1%、未経験者では35.6%でした(図1)。また、敵対的買収を仕掛けられる可能性を感じている割合(「十分に感じている」または「感じている」と回答)についても、M&A経験者が44.7%だったのに対し、未経験者は9.9%でした(図2)。
【敵対的買収に対する拒絶感は低い】
同調査では、自分が働いている会社が敵対的買収を仕掛けられることに対して「肯定的」と回答した人の割合は、M&A経験者の13.7%を占め、未経験者の3.7%を上回っています。一方、敵対的買収を「否定的」にとらえている人の割合は、M&A経験者の27.4%で、未経験者の38.9%より少ないことがわかりました(図3)。
M&A経験者で敵対的買収に「肯定的」と回答した人にその理由を聞いたところ、最も多くの人が挙げたのは「現状の経営陣の世代交代が必要だから」(52.0%)でした。また、「出資後の条件や相手先しだい」と回答した人に、どのような条件が満たされれば賛成するかを聞いたところ、「出資後に社員の処遇・待遇がよくなる」(60.5%)、「出資後も社員の雇用は維持される」(54.4%)が過半数を占めました。
さらに、敵対的買収を仕掛けられるとしたら望ましい相手先として、M&A経験者の53.7%、未経験者の49.9%が「同業種の会社」を挙げました。
【M&A経験者の約6割が肯定的感想と高い達成感】
M&A経験者に、自社のM&A発表時の感想を聞いたところ、56.6%が「肯定的」または「どちらかというと肯定的」と回答(図4)。M&Aの目的に対しての達成度についても、59.7%が「期待以上に達成した」または「期待通り達成した」と感じており(図5)、その理由として最も回答が多かったのが「短時間で統合作業を達成した」(36.0%)、次いで「トップのリーダーシップが発揮された」(31.2%)が挙がりました。一方、達成度が「期待以下であった」と回答した人にその理由を聞いたところ、最も多く挙がったのが「トップのリーダーシップが不十分であった」(41.1%)でした。トップのリーダーシップがM&Aの成否を分ける重要なポイントの一つになっていることがうかがえます。
【ご参考】
※ 関連資料 参照