住友電工、10GbE規格に準拠したSFP+光トランシーバーを量産開始
10ギガビットイーサネット規格に準拠したSFP+光トランシーバの量産を開始
~ 従来比50%の小型・省電力化を実現 ~
住友電気工業株式会社は、10ギガビットイーサネット(10GbE)規格準拠のSFP+(エス・エフ・ピー・プラス)(*1)光トランシーバ「SPP5000シリーズ」を開発し、本年3月より量産を開始しました。
近年、情報伝送量が飛躍的に増大し、Local Area Network(LAN)やアクセス網の末端にまでギガビットイーサネットが適用され始めています。更に、急速に増大するトラフィックへの対応と、これらLANやアクセス網との親和性を売り物に、Metropolitan Area Network(MAN)やWide Area Network(WAN)などコアネットワークへの10GbEの導入も進展しつつあります。
新世代のネットワーク機器においては、10GbEポートの高密度化とトラフィックの処理能力の向上をより低コストで実現することが期待され、基幹部品である10GbE用の光トランシーバには、低価格化に加えて小型化と低消費電力化が要求されています。また、施設や保守の観点からも使いやすい形態であることが求められています。
当社はこれまで、IEEE802.3で標準化された10GbE規格及びSDH(*2)/SONET(*3)の光伝送仕様に準拠するプラガブル10Gbit/s光トランシーバ「X2」及び「XFP」を供給してきましたが、今回、新たにSFP+光トランシーバ「SPP5000シリーズ」を開発し、量産を開始しました。SFP+は現在、SFF Committee(*4)でSFF-8431(*5)として標準化(MSA(*6))の作業が進められておりX2、XFPにつづく次世代のフォームファクタとして注目されています。SFP+は本年5月には、MSAとして標準化が完了する見込みです。
SFP+光トランシーバ「SPP5000シリーズ」の特長は次の通りです。
(1)従来比約50%の小型化を実現
従来の10Gbit/s光トランシーバXENPAK、X2、XFPでは搭載されているCDR(*7)、EDC(*8)といった波形整形回路を光トランシーバ本体から分離することで、4Gbit/s以下の伝送速度で使用されているSFP光トランシーバとの互換性を実現し、従来のXFPと比べて約50%の小型化を実現しました。
(サイズ(mm):56.0(D)×13.4(W)×12.0(H))
(2)従来比約50%の低消費電力化を実現
波形整形回路を分離することで、従来のXFPと比べて約50%の低消費電力化を実現しました。(消費電力:1ワット以下)
(3)装置内での高密度実装を実現
小型化、低消費電力化を実現したことにより、ラインカードに48ポートという高密度実装が可能になりました。これにより、装置メーカーはbit当たりのコストを削減できます。
当社は、今後SFP+光トランシーバが、10GbE市場の主流になると考えており、2007年度に5万個の出荷を見込んでいます。
なお、3月27日(火)より米国カリフォルニア州アナハイムで開催されるOFC/NFOEC(*9) 2007の当社グループ会社、エクセライトコミュニケーション(Excelight communication,Inc.)ブース(#2340)において、本製品を用いた伝送実験の動態展示を実施する予定です。また、ホストICベンダ各社による結合実験展示も行われる予定です。
以 上
■SFP+光トランシーバ「SPP5000シリーズ」ラインアップ
(1)SPP5101SR(IEEE802.3ae(*10) 10GBASE-SRに準拠 850nm MMF 300m)
(2)SPP5101LM(IEEE802.3aq(*11) 10GBASE-LRMに準拠 1310nm MMF 220m)
(3)SPP5101LR(IEEE802.3ae 10GBASE-LRに準拠 1310nm SMF 10km)
■用語解説
*1 SFP+:8.5 and 10 Gbit/s Small Form Factor Pluggable modules.
*2 SDH:Synchronous Digital Hierarchy ITU-T で定められたデジタル同期網の国際標準
*3 SONET:Synchronous Optical Network 1985年にANSI(American National Standards Institute:米国規格協会)により標準化された同期光伝送網
*4 SFF Committee:ストレージデバイスの業界団体。標準化機関への提案活動を行なっている。
*5 SFF-8431:Specifications for Enhanced 8.5 and 10 Gigabit Small Form Factor Pluggable Module ”SFP+”,SFF Comittee
*6 CDR:Clock Data Recovery クロック・データ再生機能
*7 EDC:Electric Dispersion Compensation 電気的分散補償
*8 MSA:Multi-source Agreement 製品のパッケージサイズ、ピン配置を初めとするスペックを複数のベンダ/ユーザ間で共通化することで、製品の安定した供給体制を確立する手法。
*9 OFC/NFOEC:Optical Fiber Communications Conference and the National Fiber Optic Engineers Conference
*10 IEEE 802.3ae:IEEE(米国電気電子学会)でLAN技術の標準を策定している802委員会が制定した10GbE規格。
*11 IEEE 802.3aq:IEEE(米国電気電子学会)でLAN技術の標準を策定している802委員会が制定したマルチモード・ファイバ向け10GbE規格。