IDC Japan、2006年国内インクジェットプリンター市場動向を発表
2006年国内インクジェットプリンター市場動向を発表
●2006年第4四半期におけるインクジェットMFPのシェアは67%に拡大、出荷台数では前年同期比減に
●ダイレクトフォト機能が一般化、2006年通年の出荷台数比率は約9割に
●小型フォトプリンターが躍進、2006年は前年比12%増
IT専門調査会社 IDC Japan株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、国内インクジェットプリンター市場に関する2006年第4四半期(10~12月期)および2006年通年の実績を発表しました。これによると、インクジェットMFP(インクジェットプリンターとコピーやスキャナを一体化した製品)の出荷台数が伸び、この第4四半期には前年同期比2%増の169万5,000台に達しました。一方、単機能製品、(以下インクジェットプリンター)は、前年同期比24%減の85万5,000台で、両者を合わせたインクジェット製品の総出荷台数は、前年同期比8%減の255万台となりました。インクジェット製品の総出荷台数に占めるインクジェットMFPの比率は67%と、2005年第4四半期の60%から7ポイント上昇しています。今後もMFPの出荷台数比の拡大傾向は変わらないものの、そのペースは次第に緩やかになり、2010年に75%近くに達するとIDCではみています。(注1)
2006年第1四半期以降、インクジェット製品の出荷台数は前年同期比で減少傾向が続いています。2006年通年(1~12月)の出荷台数は前年実績を10%下回りました。その要因は、消費が薄型テレビなどのデジタル家電に流れ、購買の優先順位が相対的に低下したことにあるとIDCでは分析しています。これに加え第4四半期は、Windows Vistaの発売を待つPCユーザーが新機種を買い控えたため、同時購入されることの多いインクジェット製品が影響を受けたことや、年賀状の発行枚数減少にみられるように、主な用途である年賀状作成への関心が薄れたことが、前年割れの出荷台数に終わった背景にあるとみています。
2006年全体の市場動向で注目されるのは、1)ダイレクトフォトプリント対応製品比率の増加、2)小型フォトプリンターの躍進です。ダイレクトフォトプリントとは、PCを介さず直接デジタルカメラやメモリーカード等のメディアから写真印刷を行う機能で、デジタルカメラの普及に伴い、プリンター、MFPに積極的に搭載されるようになりました。ベンダーが、価格をほぼ据え置いて機能を追加した新製品を販売したことや、デジタルカメラ市場の活況等が後押しし、2005年に79%だった総出荷台数に対する構成比は、2006年通年では85%に上昇しています(注1)。このことから、すでにダイレクトフォトプリント機能は、あれば便利なものではなく、インクジェット製品の定番機能として一般化したといえます。また上記以外の、ダイレクトフォトプリント機能が搭載された最大用紙サイズがA5判以下の小型インクジェットフォトプリンターは、操作が手軽なことからPCが苦手な年輩層や主婦層を中心に受け入れられています(注2)。2006年通期では、好調なデジタルカメラ需要を背景に、56万9,000台と前年比12%増まで出荷を伸ばしてその存在感を高めており、新たな成長の牽引役となることが期待されます。
IDC Japanプリンターリサーチアナリストの柳沼 綾は、「2007年は、Vistaの発売に誘引されたPCの買い換え需要に伴い市場は上向くが、インクジェット製品の普及率はすでに高く、製品の使用年数が長期化する傾向がみられることから、中、長期的には非常に緩やかな成長に止まるだろう。家電量販店やミニラボチェーン、オンライン上でのフォトプリントサービスが、使いやすい機能と価格で提供されており、ユーザーが利用する機会は増えている。今後ベンダー各社には、印刷速度やコストを改善すると共に、操作性の向上で利便性を高め、これらのサービスに対抗することが求められていく。また、薄型テレビや携帯電話、家庭用ゲーム機等、他のデジタル機器とのソリューションを強化することで、ユーザーにとり価値の高い機能や使い方を継続して提供していけるかが、今後の成長の鍵を握る」と述べています。
注1:最大用紙サイズA4判以上のインクジェットプリンター、MFPが対象。今回IDCが発行したレポート「国内プリンター市場 2006年第4四半期の分析と2007年~2011年の予測」(J7200301)、「国内MFP市場 2006年第4四半期の分析と2007年~2011年の予測」(J7210301)にその詳細が報告されています。本レポートでは、国内プリンターおよびMFP市場の動向を明らかにし、テクノロジーごとの出荷台数、出荷金額、平均出荷単価について、ベンダー別、販売チャネル別、ユーザーセグメント別などの実績データと、それにもとづく市場規模予測データを提供しています。
注2:最大用紙サイズA5判以下のインクジェットプリンターは、今回IDCが発行したレポート「国内フォトHCP市場 2006年第4四半期の分析と2007年~2011年の予測」(J7220301)にその詳細が報告されています。
(※レポートの詳細についてはIDC Japanへお問合せ下さい。)
(※本リリースは http://www.idcjapan.co.jp でもご覧いただけます。)
<参考資料>
国内インクジェットプリンターおよびインクジェットMFPの出荷台数構成比推移、2005年第4四半期~2006年第4四半期
(※ 関連資料を参照してください。)
【IDC社 概要】
IDCは、ITおよび通信分野に関する調査・分析、アドバイザリーサービス、イベントを提供するグローバル企業です。43年にわたり、IDCは、世界中の企業経営者、IT専門家、機関投資家に、テクノロジー導入や経営戦略策定などの意思決定を行う上で不可欠な、客観的な情報やコンサルティングを提供してきました。
現在、世界90か国以上で900人を超えるアナリストが、世界規模、地域別、国別での市場動向の調査・分析および市場予測を行っています。
IDCは世界をリードするテクノロジーメディア(出版)、調査会社、イベントを擁するIDG(インターナショナル・データ・グループ)の系列会社です。
*記載されている全ての会社名、製品名は各社の商標、または登録商標です。
■一般の方のお問合せ先
IDC Japan(株) セールス
Tel:03-3556-4761 Fax:03-3556-4771
E-Mail:jp-sales@idcjapan.co.jp
URL:http://www.idcjapan.co.jp