中外製薬、抗悪性腫瘍剤「アバスチン」の製造販売承認を取得
抗悪性腫瘍剤「アバスチン(R)」の製造販売承認の取得について
中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山治](以下、中外製薬)は、抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン(R)点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』(以下、「アバスチン(R)」)が、2007年4月18日に厚生労働省より「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の治療薬として、製造販売承認を取得したことをお知らせします。
「アバスチン(R)」は、2005年7月に開催された第5回未承認薬使用問題検討会議の要請を受け、国内第I相臨床試験、海外第II相および海外第III相臨床試験に基づき、2006年4月21日に製造販売承認申請を行っておりました。
国内で実施された臨床試験は、第I相臨床試験(5-FU/.-LVに「アバスチン(R)」を併用)、および安全性確認試験(FOLFOX4療法に「アバスチン(R)」を併用)で、日本人における薬物動態および忍容性が確認され、これら国内2試験の成績と海外臨床試験の成績を基に本邦での承認に至りました。
「アバスチン(R)」は、血管新生を阻害するという新しい作用機序を持つ薬剤です。承認条件として、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」が付与されております。
そのため、患者さんの安全性確保ならびに「アバスチン(R)」の適正使用推進を最優先とし、発売後一定期間は、がん化学療法に精通し、かつ消化管穿孔、出血等の副作用への緊急対応が可能であり、全例調査に協力いただける医療機関にのみお取り扱いいただくこととなります。
結腸・直腸がんは、最も患者数の多いがんの一つであり、日本では、2005年の年間新規結腸・直腸がん罹患患者数として115,000人が推計されています(*)。
このような状況の下、中外製薬では「アバスチン(R)」が国内で承認されたことにより、結腸・直腸がんの治療に一層の貢献ができるものと考えています。また、「アバスチン(R)」が投与される患者さんの安全を最優先に考え、徹底して適正使用に係る情報の収集・伝達に努めて参ります。
以上
*:大島・黒石・田島「がん・統計白書-罹患/死亡/予後-2004」(篠原出版新社)
【ご参考】
販売名:アバスチン(R)点滴静注用100mg/4mL
アバスチン(R)点滴静注用400mg/16mL
一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
用法・用量:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブとして1回5mg/kg(体重)又は10mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。
投与間隔は2週間以上とする。
■「アバスチン(R)」の全例調査について:
全例調査は2,500例の集積を目標とし、調査期間として18カ月を予定しておりますが、国内における安全性が確認されるまでは継続実施する予定です。2,500例を収集した段階で、得られた結果を評価し、全例調査の継続や実施方法・内容の変更の必要性について検討した上で慎重に終了について判断する予定です。
また、本調査の解析結果については、規制当局への報告のみならず、関連学術集会、学会などで、公表していく予定です。
■「アバスチン(R)」について:
「アバスチン(R)」は、血管新生(がん組織に栄養と酸素を供給する血管網の伸長)を阻害する初めての治療薬です。「アバスチン(R)」は、血管新生における重要な因子であるVEGF(血管内皮増殖因子)と呼ばれる生体内の蛋白質を標的として、がんの増殖と全身への転移に不可欠な血液供給を遮断します。「Avastin(R)」は2006年7月現在、米国および欧州など88カ国で承認されています。
「アバスチン(R)」は、ジェネンテック社(アメリカ)の登録商標です。