ファンケル、青汁原料「ケール」からアレルギー性疾患に有効な成分など研究成果を発表
花粉症に有効なケールの成分を特定!
ファンケル総合研究所が日本薬学会で発表
株式会社ファンケル(本社:横浜市中区、代表取締役社長執行役員:宮島和美)は、総合研究所での基礎研究を通じ、当社が販売している青汁の原料であるケールから、花粉症などのアレルギー性疾患に有効な成分「フラボノール配糖体」を特定しました。この研究結果を本年3月28-30日に富山県で開催された日本薬学会第127年会で発表しております。
当社のこれまでの研究で、ケールから花粉症緩和の有効成分として「糖脂質」を特定しており、今回の「フラボノール配糖体」の発見とあわせ、有効成分を複合的に含むケール青汁を摂取することによって、花粉症の症状改善効果が期待されます。当社では、今後もケールのさまざまな機能性を探索すべく、研究を継続的に行って参ります。
【花粉症緩和のメカニズム】
日本人の国民病ともいわれる花粉症は、5~6人に1人が罹患しているとも言われています。
これまでの当社の研究で、健康維持を目的として飲用されている青汁の原料ケール(1)に、花粉症のつらい症状を和らげる働きがあることが分かり、有効成分の一つとして糖脂質(2)を特定しました。
花粉は、鼻や喉の粘膜から侵入すると、アレルギー誘因因子インターロイキン4(IL-4)(3)がつくられ、異物(花粉)を排除しようと攻撃準備が始まります(図1:右)。
このアレルギー症状が起きるまでの一連の流れを断ち切れば花粉症の症状を緩和することが期待できます。そこで、ケールに含まれるどのような成分がどのようなメカニズムで関与しているのか調べました。
●図1 花粉症のメカニズム
(※ 関連資料を参照してください。)
【花粉症緩和に有効な成分を特定!】
実験では、ケール抽出エキスを免疫細胞に添加することによって、細胞から産生されるIL-4量が、顕著に減少することが分かりました。
その中でもIL-4の産生量を顕著に抑制する成分として、今回、新たにポリフェノールの一種であるフラボノール配糖体(4)(ケルセチン配糖体とケンフェロール配糖体)を特定しました(図2:左)。
これまでの研究で、ケールの有効成分の一つとして糖脂質を特定していることからも、これら成分を複合的に含むケール青汁が花粉症の症状改善に有用な食品であることが期待されます。
●図2 ケール由来有効成分の細胞での抗アレルギー評価
(※ 関連資料を参照してください。)
-用語説明-
1)ケール
キャベツやブロッコリーの原種で、原産地は南ヨーロッパです。緑黄色野菜の中でも特にビタミンやミネラルなどの必須栄養素をバランスよく含み、抗酸化活性も高く、様々な機能性成分を含むことから“野菜の王様”ともいわれています。
2)糖脂質
糖を含む脂質のことで、様々な動植物に含まれており、細胞膜を構成する成分として知られています。糖脂質は、他の成分とともに動植物が生存するうえで細胞膜の安定化に重要な働きを持つものです。これまでに、糖脂質には、抗コレステロール作用などが報告されています。
3)インターロイキン4(IL-4)
花粉症などのアレルギー性疾患を誘因する因子。花粉が鼻や喉から侵入すると、アレルギー反応の初期の段階で免疫担当細胞にてつくられます。花粉症においては、IL-4の働きを抑えることは、アレルギー反応を抑制する手段の一つとして有効だと考えられます。
4)フラボノール配糖体
フラボノールとは、ポリフェノールの1種であり、フラボノール類の代表的な成分としては、ケンフェロールやケルセチンがあります。ポリフェノールには、抗酸化作用をはじめとして、抗アレルギー作用、血糖値上昇抑制作用など様々な効果が知られています。フラボノール配糖体は、分子内に糖を含んだもので、植物中では下図に示すように、配糖体として存在しています。
●フラボノール配糖体の化学構造式の一例
(※ 関連資料を参照してください。)
(※ 図1、図2、フラボノール配糖体の化学構造式の一例は関連資料を参照してください。)