米GM、シボレー・ボルトに搭載する2代目電気駆動システムを公開
GM、シボレー・ボルトに搭載する2代目電気駆動システムを公開
水素燃料電池「E-Flex」システムの開発により、電気自動車社会への移行を促進
上海発-米ゼネラルモーターズ(以下GM)は現在、ガソリンの使用量を削減し、エネルギー源の多様化を促進する交通輸送手段の開発に積極的に取り組んでいる。上海オートショーでGMは、最も燃費性能に優れた最新の水素燃料電池システムで構成された、2代目の「E-Flex」電気駆動システムを公開した。
新型のE-Flexシステムは、最新の第5世代燃料電池推進システムとリチウムイオンバッテリーを使用。ガソリンを使用せず、排出ガスを発生させない電気駆動システムにより、最長300マイル(約483km)の走行を実現する。「E-Flex」水素燃料システムは、真のゼロ・エミッション車両(ZEV)であり、水素燃料電池から生成された電気および外部電源を使って、電気のみで駆動する。コンセントにプラグを差し込み充電するプラグイン方式を採用し、充電するたびに20マイル(約34km)の延長走行が可能で、給油回数がさらに削減できる。
E-Flexシステムは、電気のみで車両を駆動させるという、フレキシビリティに優れた電気駆動システムであり、さまざまなエネルギー源の中から電気を生成することができる。E-Flexシステムは、1月に行われた北米国際自動車ショーで、コンセプトカーのシボレー・ボルトに搭載し初公開された。シボレー・ボルトはバッテリー駆動式の電気自動車で、電気のみで40マイル(約64km)を走行、さらにジェネレーターの付いた小型のバイオ燃料エンジンが搭載され、最長640マイル(約1,030km)を走行することができる。
GM研究開発・企画担当副社長、ラリー・バーンズは次のように語る。「E-Flex戦略は、各地域のエネルギー事情に合わせ、多様な推進システムを同じ空間内に収められることに利点がある。E-Flexは、風力、太陽熱、地熱、水力、そしてバイオ燃料や、天然ガス、精炭、原子力さらにはガソリンといった従来の燃料資源と、さまざまな再生可能燃料から水素や電気を得ることができるという点で、エネルギー源の多様化に対し優れたフレキシビリティを提供する。
このE-Flexが提供するフレキシビリティには二通りあり、ひとつは電気駆動システムが使用できること。もうひとつは商用化が可能であり、市場でガソリンに対抗でき、そして持続可能な方法で、全世界における交通輸送手段の成長に応じられるようなエネルギー源を活用できることにある」
第三者機関の調査によると、水素燃料車両は、ガソリンで駆動する内燃式エンジンに比べ、エネルギー生成および自動でのエネルギー使用の両面において燃費効率に優れ、温室効果ガスの発生量も少ないという。
GMの第5世代燃料電池システムは、先代システムからサイズが半分に縮小されたにもかかわらず、先代と同じパワーと性能を実現する。第4世代システムは現在、シボレー・シークエル・コンセプトに搭載されており、同車は8kgの水素を搭載し、300マイル(約483km)を走行する。一方、シボレー・ボルトは300マイル走行するのに水素はわずか4kgしか必要としない(1kgあたり75マイル走行)。
こうしたGMの最新技術車両は、現在の燃料電池技術が、サイズ、性能、耐久性、そしてコスト面においても、従来の内燃エンジンに取って代わる、有力な選択肢となる可能性を示している。
ラリー・バーンズは、「開発を進めてきたことで、GMの燃料電池推進システムが自動車の技術として競争力を持つものになるであろうという確信が、さらに高まりつつある。しかし、この技術が広く認識されるためには、まず、各国政府や世界中のエネルギー供給企業、あるいはインフラ企業が、GMをはじめとする自動車業界と協力し、燃料電池自動車および水素燃料市場の発展に取り組む必要がある」と語る。
さまざまな最新技術と軽量素材も、シボレー・ボルトの燃費効率に貢献している。ボルトの車両重量は推定3,500ポンド(約1,588kg)と、シークエルに比べ、30%の軽量化が図られている。また、燃料電池推進システムはエンジンフード下に収められているため、オートマチック・トランスミッション仕様の4気筒エンジンに匹敵するコンパクト化を実現している。そして、もうひとつの特徴が、部材へのGE製プラスチックパネルの採用である。フェンダー、ウィンドウグレージング、インストルメントパネル、ステアリングホイールにGE製プラスチックを採用した結果、各部品あたり30%から50%の軽量化に成功した。
このほかE-Flexシステムは、GMの第3世代ホイール・ハブモーターにも使用されている。このホイール・ハブモーターはリアホイール内側にパッケージングされ、すべての車輪に十分なトルクを提供する。新開発のコアレスモーターは、2003年に発表された初代仕様に比べ、コンパクトでありながらより優れたパワーを実現する。
以 上