NECエレクトロニクス、USBホストコントローラー内蔵のカーオーディオ向けLSIを発売
USBホストコントローラ内蔵カーオーディオ用LSIの発売について
~USBメモリ、iPod®の音楽データの再生も可能~
NECエレクトロニクスはこのたび、USBホストコントローラを内蔵したカーオーディオ用LSIを業界で初めて製品化し、「μPD63901」の名称で本日からサンプル出荷を開始いたしました。
新製品は、(1)USB2.0(フルスピード12Mbps)対応のホストコントローラ、MP3、Windows Media(TM)(以下、WMA)、AAC(注1)の3つの形式で記録された音楽データを伸張(デコード)するためのデジタルシグナルプロセッサ(DSP)およびUSBを制御するためのCPUを世界で初めて1チップ上に集積していること、(2)基本的なシステム制御に必要なソフトウェアを搭載していること、(3)業界で初めてUSB経由でiPodの音楽データ再生が可能であること、などが大きな特長となっております。
ユーザーは新製品を採用することで、USBメモリやiPodからUSB経由で音楽データを取り込み、再生するカーオーディオの開発期間を短縮することが可能になります。
新製品のサンプル価格は、1,500円/個となっており、量産の開始時期は本年8月、量産規模は2007年度末に月産100万個を計画しております。
近年、自動車のカーオーディオ製品の分野において、従来のコンパクトディスクやミニディスクに加え、運転者や同乗者がiPodをはじめとするUSB対応のディジタルミュージックプレーヤーなどにMP3、WMA、AACといった圧縮音楽データで保存されたファイルの再生機能の搭載が求められるようになってきました。現在、このようなニーズに対応するカーオーディオ製品を実現するには、USBホストコントローラやそれぞれのデータ形式に対応したデータ伸張LSIを組み合わせてシステムを構築するのが一般的であります。しかしながら、搭乗者が車内でより快適に過ごすためのスペースを確保するために、カーオーディオの分野においても省スペース化が進展し、ユーザーからは、システムを構築する部品点数の削減を求める声が高まっております。またシステムの多機能化により、複雑化するソフトウェア開発に対しても開発期間の短縮が課題となっております。
当社はカーオーディオ市場に向けて、1970年代半ばから積極的に事業を展開し、現在では、チューナ、CD用LSI、制御用マイコンを中心にその技術を蓄積し、2006年度には400億円規模となる事業に育成してまいりました。また、USBの分野においては、1996年より、最初の規格であるUSB1.0の規格策定に参加するなど積極的な活動を行い、USB2.0の分野においても2000年4月の量産出荷開始以来、約1億個という業界最高の製品出荷数を達成(2004年6月末現在)するなど、拡販活動を精力的に展開しております。
新製品はこのような事業分野において当社が培った技術を結集し開発されたもので、カーオーディオ分野の省スペース化および開発期間の短縮というユーザーニーズに対応した優れた製品となっております。
新製品の主な特長は次の通りです。
1.USB対応のカーオーディオに必要な3つの機能を1チップ化
従来は、3チップまたは2チップで構成されていたUSBホストコントローラ、圧縮された音楽データをデコードするためのDSP、USBを制御するCPUといったカーオーディオのUSB対応化に必要な機能を、業界で初めて1チップ上に集積している。
2.基本ソフトウェアを搭載
従来はユーザーが開発していたLSIを駆動するUSB制御およびMP3/WMA/AACデコードなどの基本的なソフトウェアを搭載している。これにより、カーオーディオメーカーは、システムを設計する上で、コマンド制御を伴うアプリケーションなどを開発するだけで済み、ソフトウェア開発期間を大幅に短縮することができる。
3.USB経由でiPodの再生が可能
業界で初めてUSB経由でiPodの音楽データ再生を実現することができる。
当社では、新製品がUSB対応というカーオーディオ市場における新たな付加価値をもたらす先駆的な製品であると考えており、これらを必要とする応用分野に向けて積極的な販売活動を展開するとともに、今後も開発を続け、製品拡充を図る所存です。
なお当社では、本年5月16日~5月18日、東京ビッグサイトにて開催される「第10回組込みシステム開発技術展(ESEC)」において新製品の展示を行う予定であります。
新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
(注1)MP3、Windows Media、AAC
●MP3:動画規格MPEG-1で規定しているオーディオ圧縮技術の一つ。CD同等の品質の音声ファイルをこの方式で圧縮した場合1/10から1/12程度になる。
●Windows Media:米国Microsoft社の開発した音声圧縮フォーマット。Windows Mediaは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
●AAC:Advanced Audio Codingの略称で、ISOの作業部会によって標準化されたMPEG-2/MPEG-4のオーディオ圧縮技術。MP3よりも1.4倍ほど圧縮率が高く、音質はほぼ同じになる。
(備考1)言及した製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
(備考2)iPodは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
(※ 「μPD63901」の主な仕様は関連資料を参照してください。)