トリンプ・インターナショナル、ヒューマノイド・タイプのインナーウエア用フィッティング・トルソーを開発
世界初
本物のバストとまるで同じ触感!!
ヒューマノイド・タイプのインナーウエア用フィッティング・トルソー
「ソフトボディ」(特許出願中)が完成!!!
骨格構造・皮下弾力性・皮膚の伸縮までこだわったリアルボディ
「寄せ上げ効果」も「皮膚へのくい込み」も、"トルソーでリアルチェック"が実現
トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社(本社:東京都大田区平和島6-1-1、代表取締役:クリスチャン・トーマ、資本金:26億円)では、このほどインナーウエアの商品開発用としては世界初となる、ヒューマノイド・タイプ(人体と同じ質感、弾力性、伸縮性を持ち、外的な力に対しての筋肉や皮下脂肪の移動が可能)のフィッティング・トルソー、『ソフトボディ』(特許出願中)の開発に成功しました。
これにより、定期的に女性モデルを手配して行っていたブラジャーのフィッティング・テストを、同トルソーを用いて、時間的な制約やモデル手配のコストがかからず、効率的に実施することが可能となります。
※トルソー
彫刻などによくある頭や手足のない像のこと。胴体のみのマネキンもこう呼ばれます。
液状素材(高混率の高分子オイル)を含む樹脂の成型に成功
本物の女性モデルのサイズを、骨格から再現
『ソフトボディ』の基本素材は、スチレン系熱可塑性エラストマー(以下エラストマー)。実物大の人工ボディ素材としては、今までもシリコーンなどの樹脂素材を使ったものはありましたが、見た目は本物そっくりであっても、肌の質感などリアルな触感の実現までは至っていませんでした。
今回、トリンプでは、医療用ロボットや人工皮膚を製作する企業との共同開発を行い、このエラストマーに、初めて高混率の高分子オイルを調合し、成型することに成功。人体の皮膚や筋肉の柔らかさ、弾力性、反発力をより忠実に再現する世界初のインナーウエア用フィッティング・トルソーが完成しました。
製作にあたっては、通常のフィッティングの基準サイズであるブラジャーサイズ「B75」のモデルを使い、計測ラボにてボディラインのデジタルスキャンを行って数値化し、これをもとにボディの原型を作りました。
また成型に際して、スチール製の補強柱に、FRP(ファイバー強化プラスティック)で「骨格」を取り付け、これに肉づけとしてエラストマーを成型するという、きわめて人体の構造に似せており、フィッティングでは骨格への影響まで検証することができるよう工夫されています。最も微妙な効果検証が必要なバストは、エラストマーによる全体成型の後、さらに部分的に特別な充填材を封入することでバスト独特の量感、柔らかさ、弾力性を再現しています。
~ フィッティングテストにおけるソフトボディ使用によるメリット ~
(1)24時間フィッティングテストが可能 → 利便性アップ
(2)男性開発者もフィッティングチェックへの立ち会いが可能
→ 融通性アップ
(3)モデルの場合に起こりうる体型変化がない → 正確性アップ
(4)モデル手配のコストをカット → 経済性アップ
※熱可塑性エラストマー
Elastic Polymer(エラスティックポリマー)からできているゴム上の弾性体のこと。
プラスチックのように加熱して容易に成形できるのが特徴。
フィッティング・トルソーの素材として使用されるのは世界初。
開発期間3年 開発コスト3000万円!!
インナーウエアメーカーだからこそのこだわりで完成したリアルボディ
トリンプが『ソフトボディ』の開発に着手したのは2004年春。
現在インナーウエア業界では、ブラジャーなどの商品開発において、「ブラジャーのカップ容量にバストが適切に収まるか」、「(身体の動きに応じて)バストが横に流れないか」、「左右のバストトップ間の距離が適切か」、「(バストを中心に寄せる、などの)ブラジャーが持つ機能による効果が発揮されるか」などのフィッティング・チェックを定期的に女性モデルを手配して行っています。しかし商品開発のサイクルが年々短縮される中、こうした女性モデルの起用には、「必要な時に必要なサイズのモデルを手配することが困難」「男性開発者が直接チェックしづらい」「年月とともにモデルの体型が変化してしまう」など人材確保の問題が常につきまとい、より効率的で精度が高く、省力化・コスト削減を図ることができるフィッティング・チェックの実現が長年の課題となっていました。その問題を解決すべく、モデルの代わりにフィッティング・チェックを行なうことができるヒューマノイド・タイプのトルソーの製作を目指しました。
そこで注目したのがスチレン系熱可塑性エラストマーという素材だったのです。
この素材は女性の肉体を、見えない筋肉の質感から再現できる特殊素材でしたが、その弾力性をそのままに人体に成型するには、20体以上の試作成型テストと3年の歳月がかかりました。水分(油分)90%以上の人体構造を忠実に再現・成型することは、非常に困難を極める作業だったのです。
今回の『ソフトボディ』の完成により、女性モデルを起用しなくても、バストの寄せ上げ効果、谷間がキレイにできているかなど機能性検証の他に、背中部分やストラップが皮膚にくい込んでいないか、バスト以外の部分に過度な負担がかかっていないか、うつ伏せ/仰向けの状態の時にブラジャーを着用したバストの動きがどのように変わるかなど、より精度の高いチェックが可能となります。
トリンプでは、この『ソフトボディ』を活用したフィッティング・チェックを2007年秋冬シーズン向け新製品の開発から導入し、インナーウエアの品質をさらに向上させていく計画です。また将来的には、人工皮膚表面に着圧センサーなど計測装置を埋め込み、より精密なフィット性のチェックを追及していきます。
■『ソフトボディ』(特許出願中)基本仕様
・重量:17kg
・大きさ:上半身のみ 57cm(台座含む)
・素材 支柱・・・スチール製
骨格・・・FRP素材
本体・・・スチレン系熱可塑性エラストマーと高分子オイルの調合
・開発期間:2004年~2007年(約3年間)
・開発コスト:約3000万円