富士経済、一般用医薬品市場(胃腸薬・目薬・外皮用薬など21品目)の調査結果を発表
一般用医薬品市場(胃腸薬・目薬・外皮用薬など21品目)の調査結果を報告
―2007年の注目市場―
●整腸薬 大腸訴求とノロウイルス効能効果で市場を活性化 104億円(06年比104%)
●中高年向け点眼薬 睡眠時使用や、効き目持続などにより 49億円(06年比109%)
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、一般用医薬品(大衆薬)市場と、医薬部外品について医薬品規制緩和で活性化が図られた04年から06年までのデータを基に07年から2010年までの動向を予測した。その結果を報告書「一般用医薬品データブック2007(No.1)」にまとめた。
06年6月の薬事法の一部改正によるリスク分類及び登録販売者制度の導入は、今後の医薬品販売に大きな影響を与えるものとして注目される。07年4月には「一般用医薬品の成分リスト」としてリスク分類区分が確定された。09年から始まる新医薬品販売制度の本格稼動に向けて土台整備が動き始めメーカー、流通サイドは今後本格的な取り組みを要請される。
この調査報告書は初めて各分野の主要医薬品をリスク分類して表示し制度の本格稼働時の要請に備えた。
<調査結果の概要>
今回の調査では整腸薬が注目市場として挙げられる。05年の新範囲医薬部外品の指定によって既存の武田薬品工業「ビオフェルミンS」などが医薬部外品となり、医薬品としての整腸薬市場の先行きが心配された。しかし大腸訴求の「ザ・ガードコーワ整腸錠」(興和新薬)、「パンシロンN10」(ロート製薬)、そして07年からは「太田胃散整腸薬」(太田胃散)が参入し、整腸薬市場における新カテゴリーを生み出して市場の拡大が見込まれる。また、医薬部外品となっても依然として「新ビオフェルミンS」は薬局・薬店での取り扱いが増え、乳酸菌商品のひとつとして整腸効果を訴求する健康食品からの需要も取り込んでおり、医薬品、医薬部外品双方の市場が活性化している。"保健薬"から"健康食品"へ移行しても、品質面において医薬品扱いであることが優位となることを示した。将来は便秘薬などを含めてより広範囲の腸内環境訴求商品の新しい提案が期待される。
1.腸内環境訴求医薬品市場(一般用医薬品+医薬部外品)
07年見込み 336億円(06年比99%)
腸内の環境を整えるまたは腸の諸症状を改善する医薬品である整腸薬、便秘薬、止瀉薬を対象とする。これまで腸内環境をトータル訴求した提案を行わず、単一効能ごとに展開してきた。
整腸薬は05年の医薬部外品への移行によって医薬部外品の割合が高くなったが、非医薬品扱いによって店頭の取り扱いが減少した。しかし、その一方で医薬品では、大腸に特化した新薬が、医薬部外品の減少を穴埋めして店頭での取扱いが拡大しており、今後の拡大が期待される。便秘薬は06年に佐藤製薬「サトラックスビオファイブ」、07年にはゼリア新薬工業「ウィズワンエル」など乳酸菌を配合して整腸を意識した商品が登場しており、今後、腸内環境を訴求する本格的な展開が期待される。
便秘薬は、美容・ダイエットのニーズに、さらに乳酸菌配合の新商品も登場して便秘症状の改善と整腸効果を訴求している。乳酸菌を配合することでシリーズ化し、幅広い需要を取り込むことが期待される。
止瀉薬は、腸内環境訴求商品の中では腹痛という緊急性を帯びたものであり大腸訴求の整腸薬の取扱い増加によって縮小すると見られる。
今後、腸内環境訴求商品としてカテゴリー提案をすれば各市場単独では取り込みが困難であるケアニーズの開拓が期待される。とくにヨーグルト商品による特定保健用食品や、乳酸菌を配合して整腸効果を訴求する健康食品は日々の健康増進アイテムとしてケアニーズを取り込んでおり、こうした需要を新規に取り込むことが期待される。
●整腸薬(一般用医薬品+医薬部外品)
07年見込み 104億円 (06年比104%)
整腸薬市場は、完全に保健薬化した市場で、特定保健用食品の整腸効果訴求商品をはじめとする一般食品と競合して04年の医薬部外品への移行まで市場は停滞が続いていた。04年から05年にかけて単なる整腸訴求から大腸に特化して訴求した「ザ・ガードコーワ整腸錠」(興和新薬)、「パンシロンN10」(ロート製薬)などが登場して新カテゴリーが創出された。医薬部外品は06年、ノロウイルス対策に有効として取り上げられた「新ビオフェルミンS」の特需も重なって前年比10%と一躍拡大し100億円に達した。新カテゴリーの登場を追い風にして整腸薬への注目が高まったこと、さらに07年以降も医薬部外品の整腸薬が、医薬品扱いだったことによる高品質を武器に健康食品(乳酸菌商品)との競合でも攻勢に転じると予測される。今後は整腸効果を訴求した健康食品を含めた市場での拡大が期待される。
医薬品と医薬部外品を合わせた整腸薬市場では、「ビオフェルミン」ブランドを展開する武田薬品工業が63%(05年)と圧倒的なシェアを保持した。医薬品の整腸薬には、同社「ビオフェルミンVC」が06年2月に投入され、ビタミンC配合が高齢者層のビタミン補給ニーズに合致して順調にブランドシェアを上げている。興和新薬は、「ザ・ガードコーワ整腸錠」の大腸訴求によって整腸薬(一般用医薬品+医薬部外品)市場に新たなカテゴリーを提案し、先発品として06年は前年の10%から15%へシェアを拡大した。
2.目薬市場(一般用医薬品)
07年見込み 401億円 (06年比100%)
一般用点眼薬、抗菌性点眼薬、人工涙液、アレルギー用点眼薬等の点眼薬と、点眼薬とは一線を画した洗眼薬の5分野を対象とした。
目薬市場全体は、一般用点眼薬を中心とした価格訴求の動きにより市場の伸びは停滞していた。しかし、05年にコンタクトユーザーをターゲットとした人工涙液が脚光を浴び対前年比6%増と大きく伸びた。06年は、抗菌性点眼薬の突発的な拡大や、高機能目薬が健闘したが、花粉の飛散量の減少の影響が大きく全体として前年を下回った。人工涙液が06年に入って、参入製品数の多さから価格訴求が生じ、伸びが鈍化したことも影響した。ただ、新製品は相次いで発売されていることから、今後も市場性は高い。
一般用点眼薬は40歳以上の中高年用や、剤形を工夫した高機能・高付加価値製品の売れ行きが好調である一方、価格訴求による低価格帯の製品に二極化しつつある。高価格帯の製品の伸長により一般用点眼薬は持ち直しの傾向が見られ微増で推移すると見込まれる。洗眼薬は小林製薬の「アイボン」が市場を牽引している。ただ、洗眼薬全体でコンタクトレンズユーザーに洗眼の習慣が根付くには至っていないこと、06年の花粉飛散量の少なさから花粉症ユーザーを取り込むことが出来ず市場は減少した。アレルギー用点眼薬は、05年と比べて格段に花粉の飛散量が減ったことで06年は大幅に減少した。しかし、花粉症は現代病とも言われ潜在市場性は高い。
中高年用点眼薬は07年には49億円と06年比9%の伸びが見込まれる。従来から訴求されてきたドライアイや疲れ目改善の製品とは一線を画した、睡眠時使用や効き目の持続を訴求した製品が市場を牽引する。若年用は、07年には0前年並みの46億円で、20~30才代がさし心地に清涼感を求める傾向が強く、根強い人気に支えられ安定して推移すると見込まれる。
ロート製薬はこども用から中高年用、コンタクトレンズ用ケア製品まで幅広い製品ラインナップがあるため目薬市場では不動のトップメーカーである。
<調査の概要>
※ 関連資料参照
以上
資料タイトル:「一般用医薬品データブック 2007(No.1)」
体 裁 :A4判 235ページ
価 格 :90,000円(税込94,500円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第二事業部
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