NECエレクトロニクス、HDD搭載のセットトップボックス用LSIなどサンプル出荷開始
ハードディスク搭載に対応したセットトップボックス用LSIの発売について
~CPU処理性能を大幅に高速化したEMMA2SEを欧州/アジアへ市場投入~
NECエレクトロニクスはこのたび、ハードディスクドライブ(以下、HDD)を搭載したセットトップボックス(以下、STB)用システムLSIを開発し、「EMMA2SE(μPD61140)」の名称で本日からりサンプル出荷を開始いたしました。また当社は、EMMA2SEに不正防止機能を内蔵した「EMMA2SE/P(μPD61142)」のサンプル出荷を本年6月から開始いたします。
新製品2品種はいずれも、デジタル放送を受信・記録・再生するために必要な機能一式を1チップに集積した画像処理用システムLSIです。CPUの性能を当社従来品から40%向上となる284MIPS(注1)へ高速化させていること、外部メモリ容量を1Gビットまで接続可能としていること、およびUSB機能を内蔵していること、などが大きな特長となっております。
新製品を採用することにより、ユーザーは、MHEG(注2)やMHP(注3)などのミドルウェアによる画像表示の処理速度を向上させることが可能となる上、放送中の番組に対して、再生、早送り、巻戻しなどを行って視聴するタイムシフト機能を付加した高性能なSTBを実現できます。また、EMMA2SE/Pはこれらの機能に加え、不正使用防止機能を内蔵しているため、ユーザーは不正使用を認識した場合は稼動しないSTBを容易に構築できることになります。
サンプル価格は、EMMA2SEが3,000円/個、EMMA2SE/Pが3,500円/個となっており、量産規模としては、いずれも年内に量産を開始し、2008年度に月産30万個を計画しております。
当社は1998年にMPEG信号処理技術をコアとし、高品質で多彩な機能を内蔵した画像処理システムLSI「EMMA」を発売して以来、EMMAシリーズ製品をデジタルAV機器向け画像処理LSIの中心製品と位置づけております。STB、デジタルテレビ、およびDVDレコーダー/プレーヤーの分野のそれぞれにおいて、製品系列の拡充を図り、積極的に事業を展開しております。特にSTBの分野では、2001年2月にHDD接続機能を内蔵した「EMMA2」の販売開始に続き、コストパフォーマンスに優れたEMMA2L、EMMA2LLなど、これまでに8シリーズ13製品を製品化し、市場から好評を博しております。
当社はこれまで、欧州やアジアの、HDD機能を搭載したSTB市場において、EMMA2で市場を牽引してまいりました。このような中、CPU性能の向上、外部メモリの大容量化への対応、不正使用を防止する機能の追加、といった市場ニーズに応えるべく、EMMA2で培ったデジタル放送の記録再生技術およびEMMA2L、EMMA2LLなどのコストパフォーマンスに優れた製品開発の技術を融合させた新製品を市場投入することにしました。
新製品の主な特長は次の通りです。
1.CPU性能の向上と外部メモリの大容量化への対応
当社従来品であるEMMA2に比べて約40%高性能な284MIPSの演算性能を実現するCPU「MIPS32® 4KEcTM」を搭載している。また、EMMA2では動作周波数133MHz、512Mビットまで対応するシンクロナスDRAMインタフェースを、動作周波数266MHz、1Gビットまで対応するDDR SDRAMインタフェースへ置き換えている。これにより、欧州の地上デジタル放送用STBなどで標準として採用されているMHEG、MHPといったミドルウェアをスムーズに動作させることができる。
2.USB2.0ホストコントローラを内蔵
従来、外付けされていたUSB2.0ホストコントローラを内蔵している。これにより、フラッシュメモリ読み取り装置およびデジタルカメラ等を接続し、保存されている画像データを取り込み、テレビ画面に表示する機能をもつSTBの開発が低コストで可能となる。
3.従来品とのソフトウェアの互換性を維持
新製品は、従来品であるEMMA2の後継製品であり、ソフトウェア互換性を有している。これにより、EMMA2でシステムを構築していたユーザーは、既存のソフトウェア資産を容易に流用できるため、STBの開発期間短縮が可能となる。
EMMA2SE/Pには、さらに次の特長があります。
4.不正な使用を防止する機能を搭載
システム起動時に、STBに不正な細工がされていないかを識別し、不正を認識した場合は正常に稼動しないようにする回路を内蔵している。これにより、有料放送の不正受信および不正な模造STBの製造等を目的とした、STBの不正使用のための改造が困難となっている。
当社は、新製品が欧州およびアジアのHDD搭載モデルSTB向けに最適な製品であると考えており、これらを必要とする応用分野に対して積極的な販売活動を展開することにしております。また、2010年にEMMA製品の売上1,000億円を実現することを目指して積極的な製品開発を進め、事業を遂行する計画です。
なお、当社では、5月22日から5月24日、ドイツのケルンにて開催されるデジタルAVと放送関連の展示会「ANGA Cable 2007」において新製品の展示を行う予定であります。
新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
以 上
注1 MIPS:1MIPSは、1秒間に100万回の命令を処理する能力。
注2 MHEG:Multimedia and Hypermedia information coding Experts Groupの略。マルチメディアコンテンツを記述する言語の標準を策定するISOの委員会の名称であり、また同委員会によって策定された言語仕様。双方向性を持ったマルチメディアコンテンツの記述に必要な要素が盛り込まれている。
注3 MHP:Multimedia Home Platformの略。DVBに基づき定められた次世代双方向デジタルTV放送の規格。Javaベースの共通アプリケーションプログラムインタフェースで、デジタルTVのアプリケーションを実現する。
備考:「MIPS32」および「4KEc」は、MIPS Technologies, Inc.の登録商標もしくは商標です。その他の商標は全て各企業の商標もしくは登録商標です。
*主な仕様は、添付資料をご参照ください。