サントリー、「アラキドン酸負荷における赤血球膜リン脂質中の脂肪酸の変動」を発表
アラキドン酸負荷における赤血球膜リン脂質中の脂肪酸の変動について、日本栄養・食糧学会で発表
サントリー(株)健康科学研究所(所長:木曽良信、大阪府三島郡島本町)は、『必須脂肪酸と健康』に注目し、その栄養と機能について研究を進めていますが、昨年に引き続き、女子栄養大学(川端輝江 教授)との共同研究により得られた脂質栄養に関する新しい知見を、第61回日本栄養・食糧学会大会(2007年5月17日-20日、京都府)で発表しました。
今回の発表骨子は以下のとおりです。
▼発表演題:
「アラキドン酸負荷における赤血球膜リン脂質中脂肪酸の変動」
▼発 表 者:
女子栄養大学 松崎聡子、川端輝江 教授 ほか
サントリー(株)健康科学研究所 楠本晶、河島洋
●アラキドン酸(ARA)とは
ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)と同様に脳・肝臓・皮膚などの身体のあらゆる組織を構成する主要な多価不飽和脂肪酸のひとつです。肉、卵、魚などに多く含まれており、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸のひとつとして知られています。また、母乳にも含まれており、乳幼児の成長、発育には欠かせない栄養素であることが明らかにされていますが、最近では、アラキドン酸が高齢者の脳の働き(集中力・記憶力)にも重要な役割を果たすことが明らかにされ、注目を集めています。
【 研究の背景 】
アラキドン酸は、体内でアラキドン酸を合成するための原料となるリノール酸が食事から大量に摂取できること、また、リノール酸からアラキドン酸への合成は十分に行われていると考えられてきたことから、これまで、アラキドン酸を直接摂取することの重要性はあまり認識されておらず、食事からの摂取量と血中濃度などの体内レベルとの関連性についてはほとんど解明されていませんでした。
そこで、昨年の同学会では、食事調査を実施した結果、高年男性は若年女性に比べてアラキドン酸を多く摂取しているにも関わらず、体内レベルの指標の一つである赤血球膜リン脂質中のアラキドン酸濃度は少なくなっていることを発表しました。さらに、アラキドン酸をDHAやEPAと同時に食事から摂取した場合、DHAやEPA、特にEPAが優先的に赤血球膜リン脂質中に取り込まれることが明らかとなっています。
今回は若年女性を対象に、魚介類から摂取する必須脂肪酸(DHAやEPA)の量を一定範囲としたうえで、アラキドン酸をカプセルで摂取させ、体内レベルの指標として、血漿および赤血球膜リン脂質中のアラキドン酸濃度の変化を調べました。
<試験方法>
若年女性23名(19.5±1.3歳)を対象とし、「プラセボ対照・クロスオーバー二重盲検法」により行ないました。被験者を無作為に2群に分け、1つの群にはアラキドン酸カプセル(一日80mg分)を、もう1群にはプラセボ(オリーブオイル)カプセルを3週間摂取させました。試験期間中の魚介類の摂取量は一定※とし、カプセルは魚介類を摂取しない食事時に摂取することとし、その他の食事は自由としました。
また、各カプセル摂取期間の前後に採取した血液から、血漿と赤血球の膜をとり出し、リン脂質中の脂肪酸組成を分析しました。
※食事調査として、試験期間中毎日の食事記録とデジタル画像を提出してもらい、食品の重量を推定しました。さらに五訂増補日本食品標準成分表および脂肪酸成分表を用いて、摂取した脂肪酸やその他栄養素の量を算出しました。
その結果、試験期間中のDHA、EPA摂取量や食品群別摂取量の差はありませんでした。
*以下、詳細は添付資料をご参照ください。