ユビキタス研、UWB送受信機能を持つ10mm角の超小型アクティブタグを開発
世界初・世界最小UWB送受信機能を持つ10mm角のアクティブタグ
UWBアクティブタグII(仮称)の開発に成功
ユビキタス・コンピューティングの基盤研究所であるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(*1)は、UWB(ウルトラワイドバンド)通信方式による、送信機能および受信機能を実現した世界最小の双方向通信可能なアクティブタグ「UWBアクティブタグII」の開発に成功しました。
UWBアクティブタグIIは、超低電力・高精度測位・高速伝送を特長とする次世代無線方式UWB(ウルトラワイドバンド)送信回路に加えて受信回路を株式会社日立製作所中央研究所(*2)の半導体設計技術によりCMOS LSIで実装し、これによりマイコン、無線部、アンテナ込みで10mm角のサイコロ状に収めることができました。
10mm角で送受信可能なUWBアクティブタグは世界初となります。また、このLSIを利用した基地局は25mm×70mm×5mmと大幅な小型化を実現しました。
UWBアクティブタグIIは、インパルス型UWB方式を採用し、基地局3台および基準局を配置することにより、実環境で30cmの高精度測位を実現することができます。
また、超低消費電力(3ナノワット/bps:ナノは10億分の1)、1000ノード多重、日米欧法制化対応の帯域幅切替機能などセンサーネットワーク応用に有効な特長を備えています。これらの特長により、既存の無線方式では実現されなかった高機能なシステム運用が可能となり、例えばメインテナンスフリーの自動在庫管理システム、高精度な位置トレースなど、様々な新規応用の創生が可能となります。
【 UWB アクティブタグII のポイント 】
(1)UWB双方向通信
次世代のUWB 無線方式を使用することにより、超低電力・高精度測位・高速伝送の実現が可能となり、既存の無線システムでは実現が困難な機能を実現します。 本システムでは2ナノ秒という超短パルス列を伝送するインパルス型のUWB無線方式を採用しているため、測位精度30cmの高精度測位を実現しました。特に双方向通信が可能なUWBアクティブタグIIでは、基地局からアクティブタグに対する無線伝送が可能となるため、システムの高効率化・高信頼化が実現されます。
(2)実環境で30cmの高精度測位を実現する受信同期アルゴリズム
新規開発の受信同期アルゴリズム(ファーストパス検知アルゴリズム)により理想空間ではなく、居室などの実環境で測位精度30cmを実現いたしました。
このアルゴリズムは、多重反射が見込まれる現実の環境においても高精度な測位を実現することができます。
(3)日米欧法制化対応の帯域幅切替機能
各国の法規制に準拠しつつ、最大のパフォーマンスを得るため、日米欧対応の帯域幅切替機能を実装いたしました。特に日本では、法制化が先行している米国に比べ、利用条件や帯域幅の制限が厳しくなっています。これらの法規制に対応するため、UWBアクティブタグIIは各国のスペクトラムマスクに対応した切替機能を実装し、ワールドワイドでの利用を見込むことができます。
今後、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、UWBアクティブタグIIの更なる小型化と低消費電力化を図るとともに、センサネットワークの実用化を目指した実証実験を進めてまいります。
*1 東京都品川区、所長:坂村健・東京大学教授/T-Engineフォーラム会長/ユビキタスIDセンター代表
*2 東京都国分寺市、所長:福永 泰
※本研究開発には、総務省・委託研究「ユビキタスネットワーク技術の研究開発・超小型チップネットワーキング技術」の成果が含まれています。
以 上