三菱電機、実用サイズの多結晶シリコン太陽電池セルで高変換効率18%を達成
独自の製法により高効率化を追求
実用サイズの多結晶シリコン太陽電池セルで世界最高の変換効率18.0%を達成
三菱電機株式会社(執行役社長:下村 節宏)は、実用的な150mm角サイズの多結晶シリコン太陽電池セルにおいて、受光面の低反射化など独自の製法により、世界最高※1の光電気変換効率※218.0%※3(当社従来比1.2ポイント向上)を達成しましたので、お知らせします。
※1:2007年5月31日現在、当社調べ
※2:太陽光の光エネルギーを電気エネルギー(直流)に変える効率
※3:変換効率の公的認証機関である産業技術総合研究所における評価結果
【 開発の背景と意義 】
世界的な環境保全意識の高まりにより、再生可能エネルギー源としての太陽光発電システムに注目が集まるとともに、太陽電池の生産量が拡大しています。一方、太陽電池の原料となるシリコンの需給が世界的に逼迫していることから、太陽電池を構成する太陽電池セルには、より少量のシリコンでより多く発電することが求められ、シリコンウエハーの薄肉化と、変換効率向上の研究が進められています。
当社は太陽電池セルの高効率化を追求し、今回、受光面の低反射化や、電気性能低下の少ない電極生成、集電用グリッド電極の細線化など、独自の技術により、世界最高の変換効率18.0%を達成しました。これにより、従来と同一面積で7%大きな発電量が得られ、狭小屋根など限られた設置スペースでも、発電量を確保できるようになります。
【 今回開発したセルの特長 】
1.ナノサイズのマスク材料を使ったRIE法※4により受光面の反射を抑え、光の取り込み量を増加※5
※4:Reactive Ion Etching(反応性イオンエッチング)。高周波エネルギーによりエッチングガスをプラズマ化し、この中に含まれるイオンを被処理物にぶつけて反応させることで、超微細なエッチング加工を行う。
※5:本技術はNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)委託の「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発プロジェクト」の開発成果を一部使用しています。
2.新材料の電極により電極焼成※6時間を従来比約半分とし、結晶の電気性能低下を抑制
※6:電極を高温でセルに焼き付けること。
3.集電用グリッド電極の細線化(従来比約40%)により、有効発電面積を拡大
【 今後の事業展開 】
2007年末以降、本技術を当社太陽電池モジュールのセルに順次導入し、製品化します。業界最高の電力変換効率を誇るパワーコンディショナ※7と組み合わせることにより、太陽光発電システムの高出力化を図ります。当社は、太陽光発電システムの普及に努め、地球環境保全と持続可能型社会の実現に貢献していきます。
※7:JIS C8961で規定する定格負荷効率において。PV-PN04F:95.5%、PV-PN06F:95.0%。2007年5月31日現在
【 特許件数 】
国内10件、海外10件出願中
【 学会発表予定 】
2007年12月に福岡で開催される「17th International Photovoltaic Science and Engineering Conference」にて本成果を発表する予定です。
【 お客様からのお問い合わせ先 】
三菱電機株式会社 中津川製作所 太陽光発電システム部 事業計画グループ
〒508-8666 岐阜県中津川市駒場町1番3号 TEL:0573-66-2153