三井造船、コンクリート構造物の新型非破壊検査機器を開発
コンクリート構造物の新型非破壊検査機器を開発
-コンクリートかぶり厚測定(=構造物の施工管理)が容易に-
三井造船株式会社(社長:元山 登雄)は、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)(会長:石田 孝氏、本社:大阪市北区)の協力でコンクリート構造物の鉄筋かぶり厚を高精度に測定するコンクリート被り厚測定装置を試作し、性能確認を続けてきましたが、このほど商品化し販売を開始します。
同測定装置はNEXCO西日本の現場検証終了後、7月1日より販売開始の予定です。
鉄筋かぶり厚とは、鉄筋コンクリート構造物の骨格である鉄筋を覆い保護するコンクリートの厚みのことで、構造物が要求する耐久性、耐火性、構造物の重要度、施工誤差などを考慮して定められています。
かぶり厚が足りない場合、コンクリートの中性化や塩化物イオンの侵入により、コンクリートの内部鉄筋に錆びが発生し易くなり、構造物の耐久性を著しく低下させます。したがって鉄筋コンクリート構造物において、かぶり厚は施工管理上の重要な基準になっています。
今回、開発された測定装置は、三井造船が保有している原理特許を使用し、NEXCO西日本の装置ユーザとしての経験と施工管理者としての管理原則を反映することで、専門知識をほとんど必要とせず測定者にとって使い易い機材となっており、現場での迅速・効率的な測定作業を可能としています。
【本装置の特長】
1.2つの経路の反射波から収束計算することによりかぶり厚を正確に求める。
2.検査対象コンクリートの比誘電率を自動的に測定する。
3.測定結果(かぶり厚計測値及び測定画面)をリアルタイムに表示する。
4.測定したかぶり厚と比誘電率をEXCELで扱えるファイル形式に出力する。
5.小型簡便化されており、大多数の測定条件下で測定が可能。
近年社会資本としてのコンクリート構造物の構造的欠陥を早期に精度良く測定し、限られた財源でその維持管理を行っていくことが求められており、非破壊検査のニーズが高まってきています。
本装置は、新設鉄筋コンクリート構造物の長期耐久性を確保するための施工精度検査のツールとして、また既設鉄筋コンクリート構造物の健全度を評価し劣化予測をすることで適正な補強・補修工事を行えるなど、社会資本の恒久的な維持管理に寄与できるものと期待されます。
三井造船では、昨年9月にコンクリート内部の状態を3次元表示することのできるマルチパスリニアアレイレーダMPLA-245Aを発売開始しており、各方面より高い評価を得ています。
本測定装置は、ユーザから寄せられた『鉄筋かぶり厚測定に特化した正確で安価な装置を』という要望に応えるものと期待されます。
三井造船では、大型コンクリート構造物の検査機器として多くの実績を有する標準機、建築物や縦向きの調査に対応した小型のMPLA-245Aを市場投入してきており、鉄筋かぶり厚測定に特化した本機の販売開始によりコンクリ-ト内部非破壊検査機器の充実したラインナップを構築しました。
三井造船は、非破壊検査システムの販売だけでなく、当社グループ会社の三造試験センターを主体とし、コンクリート構造物の点検業務なども行っており、今後のストックメンテナンス社会に向け貢献していきます。
■【検査機器の概要】
測定方式 FMCW方式ツインパスレーダ
測定深度 20~200mm
測定距離 5m(最大)にてスクロール
画面拡大機能 2倍(2.5m距離表示)、4倍(1.25m距離表示)
かぶり検出精度 ±5mm(標準)
連続使用時間 1時間(バッテリー1本の場合)
寸法 230mm(W)×110mm(H)×300mm(D)
重量 4.9kg(本体のみ)