富士キメラ総研、半導体パッケージなど75品目の世界市場調査結果を発表
半導体パッケージとその材料、装置など75品目の世界市場を調査
◆2011年予測◆
半導体市場は世界的な大型イベントや新興市場のデジタル製品需要増で45兆円超(06年比158%)
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表 良吉 03-3664-5841)は、このほど半導体パッケージ及びプリント配線板と関連する主要材料、装置の市場を調査した。その結果を報告書「2007エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」にまとめた。
<注目品目の動向>
A.製品(半導体パッケージ、プリント配線板等関連製品)
●CSP(FP-BGA) 2006年 63億個 2011年予測 230億個(06年比365.1%)
※CSP(Chip Size Package)はリードフレームを用いず、インタポーザ(パッケージ基板)を用いるFP-BGA(Fine Pitch-Ball Grid Arrey)である。
CSPは携帯電話をはじめノートパソコンなど各種モバイル機器向けを中心に需要が急増し、06年の生産実績は前年比51.8%増となった。特にアナログ系デバイスやメモリでの需要が高まり、ピン数別実績で見ると51~100ピンクラスが伸びた。CSPはアナログからデジタル、メモリまで、また10~500ピンまで幅広く対応できるパッケージである。チップサイズで実装面積の小型化にも対応できるため、半導体パッケージでは最も市場拡大が見込まれる。量産技術も既に確立され実装コスト競争が激化している。開発面ではMCP/SiP/PoPのパッケージとしても採用が進んでいる。今後もモバイル機器向けを中心とするデバイスのチップサイズパッケージとして順調に拡大し、2011年には230億個の市場が予測される。
●MCP/SiP/PoP 2006年 8.3億個 2011年予測 29億個(06年比349.4%)
※MCP(Multi Chip Package)SiP(System In Package)PoP(Package On Package)
MCPは携帯電話におけるメモリ用パッケージとして市場が形成されている。メモリが高容量化、コストアップしていく状況において、低容量メモリを組み合わせ新型メモリと同等の容量とコストダウンを実現するものとして市場が拡大している。この技術を応用して特定のアプリケーション向けにマイコンなどのロジック及びアナログ系デバイスやディスクリート、受動部品も含めてSiPとしての開発も活発化している。また、MCPやSiPがベアチップを用いるのに対し、薄型のパッケージ化したデバイスを積層するPoPも需要が増加している。
06年のMCP/SiP/PoPの生産実績は8.3億個で、その内5億個がMCPとPoP、3.3億個がSiPである。MCP/SiP/PoPは開発済みのチップを組み合わせるため、開発TAT(システムに処理要求を送ってから、結果の出力が終了するまでの時間)が短くコストダウンが図れる。携帯電話の各機能をはじめ、他のモバイル機器やデジタル家電、パソコン、パソコン周辺機器、車載機器など幅広い分野でアプリケーションに応じて開発、製品化されるとみられ、今後も市場拡大が予測される。
●エンベデット基板(有機系) 2006年 260億円 2011年予測 846億円(06年比325.4%)
※エンベデッド基板は、能動部品、受動部品を内蔵する部品内蔵基板で、高密度化や高機能化、高周波特性(信号特性)、部品信頼の向上を目的とする。無機系と有機系に大別されるが耐久性や有機素材同士の馴染みの良さ、低コストなどの特長を持つ有機系を対象としている。
エンベデッド基板の用途は大型ネットワークサーバやメインフレームなどのインフラ向けがほとんどで、一部携帯電話向けなどに採用されている。06年の市場は、インフラ向け需要の増加により前年比15.6%増となった。その市場の85%を占めているのが北米を中心とした海外市場である。インフラ向け以外ではアプリケーションとして携帯電話用カメラモジュールとPLC(高速電力線通信)に採用され、06年に600万個、07年には携帯電話のワンセグ端末にも採用されたことで1,900万個(前年比317.8%)の販売が見込まれる。コスト面の問題を解消しメイン基板に採用されれば大きな市場拡大要因になるが、それまではインフラ分野が市場を牽引していくと予測される。
●ビルドアップ基板 2006年 7,823億円 2011年予測 1兆550億円(06年比134.9%)
※ビルドアップ基板は、コア層を中心に銅張シートを重ねてプレスした構造のベースタイプと、全層で任意の場所にIVH(Interstitial Via Hole)が配置可能な全層タイプに大別される。
ビルドアップ基板は高密度実装が要求される携帯電話やDSC(デジタルスチルカメラ)/DVC(デジタルビデオカメラ)、ノートパソコンなどが主要アプリケーションとなっている。06年の市場7,823億円の内90%強がベースタイプである。ベースタイプの用途は携帯電話向けが60%を占めている。全層タイプの用途も携帯電話向けが85%以上を占めている。何れも携帯電話が最大の用途であり、今後も携帯電話端末市場の伸長とともに拡大すると予測される。日本の携帯電話端末台数が頭打ちであるため、特に海外市場が期待される。
B.材料(半導体パッケージ、プリント配線板等関連材料)
●はんだボール 2006年 394億円 2011年予測 1,220億円(06年比309.6%)
※BGA(Ball Grid Arrey)やCSPなどのパッケージの外部電極として使用されている。また、フリップチップ実装と呼ばれるパッケージ内でチップを縦方向にスタックする際のチップ同士の接続部にも使用される。
06年のはんだボール市場は、CSPやBGAの市場拡大に伴い、前年比54.4%増となった。今後もこの市場は確実に拡大すると予測される。技術開発のトレンドは小型化(小径化)と鉛フリー化で、小型化はφ20μmまでの製造技術が確立されている。また、鉛フリー化はリフロー温度上昇がチップ性能に影響を与えるため、それを考慮した開発が進められている。
●セラミック基板 2006年 60億円 2011年予測 109億円(06年比181.7%)
※セラミック基板は酸化アルミニウムの焼結体で、誘電率が高くマイクロ波対応に優れている。種類としてはアルミナ基板が圧倒的に多く、一部、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ基板などもあるが極めて少量である。
セラミック基板は放熱特性が良いことから、自動車のエンジン周りや電源用、一般産業機器用のハイブリッドIC向けに使用されている。各種機器の高出力化などによって、セラミック基板に対しても例外なく、大電流・高電圧対策ニーズが高まっているが、その方向に進んだ場合はLTCC基板(低温焼成積層セラミックス基板)やアルミ基板との競合となる。自動車の電子化が進んでいることで自動車向け用途が拡大し、年率10%以上の成長が見込まれ、2011年には109億円と予測される。
C.装置(実装関連装置)
●外観検査装置 2006年 312億円 2011年予測 460億円(06年比147.4%)
外観検査装置は、不良率の低減と実装情報の蓄積に用いられる。06年の市場は、高密度実装の増加に伴い装置需要が高まり前年比17.2%増となった。その構成はリフロー後外観検査装置が56%、印刷後外観検査装置が34%、実装後外観検査装置が10%である。リフロー後検査は、製品の不良に直接関わるため、重要な検査となっている。その為、リフロー後外観検査装置はEMS(プリント回路)メーカーなどの採用率も高く、他の外観検査装置に比べ市場も大きい。今後も多くの電子機器で採用が増加すると見られる。市場拡大に伴い価格競争が進む一方で性能に対する要求も厳しくなっている。印刷後外観検査装置は、はんだの印刷精度が製品の良品率に大きく関わり、印刷後検査に対する重要性の高まりから需要が拡大している。新規ユーザーが増加しており、今後も市場は拡大すると予測される。実装後外観検査装置は、実装後検査に対する需要は強くないため市場規模は小さい。しかし、徐々に需要が高まっており、今後は携帯電話向けが牽引し市場拡大すると予測される。
●マウンタ 2006年 3,110億円 2011年予測 3,315億円(06年比106.6%)
※マウンタはクリームはんだ印刷機によってペーストが塗布されたプリント配線板上に各種電子部品を実装していく装置である。
06年のマウンタ市場は、携帯電話やPCが世界的に販売好調で大手メーカーを中心に大型投資があり前年比14.3%増となった。ターレットタイプ(ロータリ方式で、XYロボットによる装着を行わないタイプ)のマウンタはモジュラータイプ(XYロボットによる装着を行うタイプ)のマウンタへの移行が急速に進んでおり、市場を縮小させているが、その他のマウンタは販売実績を伸ばしている。特に、速度6万CPH(単位面積あたりの実装能力を表す単位)以上のマウンタと4万5千未満のマウンタが市場拡大に貢献している。これらが伸びた理由は速度を重視する大手EMSメーカーの需要が、速度6万CPH以上のマウンタに集中し、中小規模のメーカーは4万5千未満のマウンタを採用したことによる。07年はこれらの投資が一段落したため、販売数量ベースでは3%台の伸びに止まり、金額ベースではマイナスに転じると見込まれる。今後は北京オリンピックなどの大型イベントの開催やインドを中心とした新興市場に向けて、デジタル製品の需要増が見込まれるため、マウンタ市場も再度伸長すると予測される。
<調査結果の概要> 2006年 2011年予測
半導体 28兆6,253億円 45兆2,400億円(06年比158.0%)
プリント配線板関連製品 4兆3,504億円 5兆1,595億円(06年比118.6%)
実装関連装置 6,523億円 7,097億円(06年比108.8%)
06年の半導体市場は、これまで好調なアジア地域に加え、北米での需要が2桁成長したことで前年比14.6%増の28兆6,253億円となった。デバイスとしてはアナログICやメモリ及びセンサ、オプトデバイスが何れも2桁成長となった。一方、CPUをはじめとするマイコンやロジック系のデバイスが低成長となった。業界的には、半導体の分業の流れとしてシリコンファンドリーやサブコンの台頭、ファブレスメーカーの成長が特に目立つ。また、45nmレベルまでプロセス技術が進むと半導体メーカー1社だけでの設備投資や技術開発が困難となり、各メーカーは戦略的に資源を集中させ始めている。そのため、アウトソーシングビジネスが活発化している。06年末から07年初にかけ、新型ゲーム機やWindows VISTAの市場投入と08年の北京オリンピックを控え、デジタル製品の需要が高まり07年には31兆円、08年には34兆円規模が予測される。
06年のプリント配線板関連製品の世界市場は、リジットプリント配線板(成型された樹脂に銅箔を張った銅張積層板をエッチングすることによって配線を施された状態の基板)が10%弱の成長に止まったが、携帯電話やDSC/DVC、薄型テレビなどのデジタル機器向け用途が大半のビルドアップ基板が20%近く成長をしたため、前年比9.7%の4兆3,504億円となった。今後もビルドアップ基板は海外市場を中心に携帯電話端末市場の伸長とともに拡大すると予測される。また、エンベデッド基板も現状ではインフラ分野が市場を牽引しているが、携帯電話向けのメイン基板に採用されれば更なる拡大が期待される。
実装関連装置は携帯電話やパソコン、テレビ、ゲーム機などのデジタル製品の好況に連動し、06年の市場は前年比8.5%増の6,523億円となった。特に市場拡大に貢献したのが、マウンタと外観検査装置である。マウンタは大手メーカーの工場増設や設備増強を目的とした投資が相次ぎ市場を大きく伸ばしたが、これらの投資は一段落したため市場の伸びは鈍化すると予測される。また、外観検査装置は携帯電話向けをはじめ、高密度実装が増加していることと、外観検査に対する重要性の高まりから急速に伸び、今後も引き続き市場拡大が予測される。伸び率的にはさほど多くはないものの、リフロー装置(大気型、窒素型)も多くの電子機器において、表面実装が進行していることで需要が増加しており、今後も堅調な市場拡大が予測される。
<調査対象>
A.製品 16品目
1.半導体パッケージ(7品目)
2.プリント配線板関連製品(9品目)
B.材料 39品目
1.半導体関連材料(14品目)
2.プリント配線板関連材料(12品目)
3.その他実装関連材料(13品目)
C.実装関連装置 20品目
<調査方法>
富士キメラ総研専門調査員による直接面接取材及び関連情報の収集・分析
<調査期間>
2007年3月~5月
以上
資料タイトル:「2007エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」
体裁 :A4判 304頁
価格 :97,000円 (税込み101,850円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5841 FAX:03-3661-7696
発行所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
TEL03-3664-5841(代) FAX 03-3661-7696 e-mail: koho@fuji-keizai.co.jp
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