ユーシステムズ、使用済み紙おむつを「水の力で燃やす」小型処理機を発売
東京都北区の準公立病院で運転開始、６月中旬本格販売へ
使用済み紙おむつを「水の力で燃やす」小型処理機
煙、有害物質の発生を抑えた環境配慮型
環境関連事業のユーシステムズ株式会社（東京都千代田区、浦沢宏社長）は病院や介護施設向けに、含水量の多い使用済み紙おむつを「水の力で燃やす」専用小型処理機（写真下、商品名：クリーン・オーゼロ）を開発、運用テストの結果、問題がないことが実証できたため、６月中旬から全国販売します。東京都北区の準公立病院に納入済みの同処理機が５月下旬、運用テストを経て本格運転を開始しました。販売価格は６００万～７００万になる予定です。初年度、６０台、３億６０００万円～４億２０００万円の売り上げを見込んでいます。
「水の力で燃やす」仕組みが環境保護への取り組みにもつながることが実証されました。本体寸法が幅１．６メートル、奥行１．５メートル、高さ（排煙塔を入れて）１．９メートルと小型であることに加え、数千万円の投資をしなくても、ダイオキシン類排ガス濃度をゼロに近づけたことの２点が大きな特徴です。
販売に関しては、当面関東地区はユーシステムズ本社が担当、本年１０月以降、西日本（関西、九州）に総販売代理店を置き、２００８年４月以降は直接ユーシステムズが全国に５ヶ所の支社を設置する予定です。さらに販売後は月一回のメンテナンスに訪問します。
ものを燃やすためには火をおこして高い温度で処理するのが一般的ですが、ダイオキシンを始め有害物質の排ガスを発生、公害問題に発展する可能性があります。さらに現在の紙おむつは、尿、便などに含まれる水分を内部に閉じ込め、肌に当たる部分をさらさらにしておくために吸水用の高分子ポリマーを使っております。
当社は「水の力で燃やす」仕組みに着目、温度設定装置付電気ヒーターで実験を重ねた結果、理想的な温度と無人化作業まで可能にしたフロー（処理手順）を創り、それを制御装置や灰の集塵器などと一体化させて完成させたのがこの「クリーン・オーゼロ」です
開発の出発点にもなった「水の力で燃やす」とは、水を沸騰させ、発生した水蒸気をさらに加熱させ、１００℃以上の高温状態にした無色透明の気体「加熱水蒸気」がダイオキシン発生を抑制し、熱を効率よく伝え「焼く能力」も高いという仕組みです。クリーン・オーゼロはこの加熱水蒸気を４００℃～６００℃の間でコントロールし、含水量の多い使用済み紙おむつを「蒸し焼き」状態で処理することに成功しました。炉内の高熱を利用し、内部のものを炭にする、すなわち「炭化」していく画期的な技術です。
【資料１：排ガス分析結果】（静岡県環境計量証明事業所エコアップ調べ）
※ 関連資料参照
処理能力も高く、１回あたりの処理時間が１０時間で、１日２回、合計３００枚の使用済み紙おむつ（含水量が多いもので約１００ｋｇ）を２４時間無人運転で処理し、最終的には灰２～３ｋｇにまで圧縮します。この灰を装置本体の横に取り付けてある集塵器に取り込めますので、後処理も簡単、衛生的です。この灰は、今後、人工ゼオライト化し、土壌改良剤などに利用、リサイクル活用します。
クリーン・オーゼロはランニングコストも安く、ダイオキシンの排出量（単位：ｎｇ－ＴＥＱ／ｍ２Ｎ）は排ガス分析結果で環境基準値５．０以下に対して０．０８８、灰分析結果で環境基準値３以下に対して０．００１８と、ほぼゼロと言っても良いクリーンなマシンであることを実証しており、病院、介護施設などでの使用に適しています。
また、加熱水蒸気と温度設定装置付電気ヒーターによる「低温度無公害燃焼システム」は、今回の紙おむつ専用処理ばかりではなく、今後、注射針、手術時に使用した手袋など病院で使用済みのほとんどすべてに適用、民間での高熱燃焼でのゴミ処理機への適用なども考えられ、開発準備を進めております。
一般的に病院、介護施設などは紙おむつを産業廃棄物として専門業者に処理を委託していますが、産業廃棄物処理場の適地が限られてきているなどの事情から、処理費用の高さと臭気が悩みの種になっています。クリーン・オーゼロはこうした問題解決に役立ち、今後需要が伸びると期待します。
※以下、詳細は添付資料をご参照下さい。