ワコム、米TouchKO社をコンポーネント事業拡大に向け買収
米企業買収によるコンポーネント事業の拡大について
当社は、この度、米国のタッチセンサーメーカーTouchscreen Konnection Oasis, Inc.(TouchKO社)(米国テキサス州、オースチン市、CEO:Troy Gray)を買収することといたしました。同社の買収を通して、当社独自の電磁誘導方式ペンセンサー技術に新たにTouchKO社の静電結合方式タッチセンサー技術を加えて技術統合を進めることで、ヒューマンインターフェイス・ソリューション分野における技術基盤の拡大とコンポーネント事業の成長を図ってまいります。
1.背景
当社は設立以来、独自の電磁誘導方式ペンセンサー技術を中核にペンタブレットビジネスを展開し、ペンタブレット市場において世界の80%以上のシェア(当社推定)を確保するまでに成長いたしました。またここ数年においては、自社ブランドによるタブレットビジネスに加え、タブレットPCなどのモバイル機器向けに電子ペンおよびセンサーを部品として供給するコンポーネントビジネスを展開し、当社技術は「Penabled Technology(ぺナブルテクノロジー)」として世界の主要PCメーカー各社に採用されています。
本年1月にマイクロソフト社が発売した新OS、Windows Vistaにおいて従来のキーボードとマウスに加えて、新たにペン入力とタッチ入力が標準的な入力方法としてサポートされたことなどから、今後は、ペン入力機能に加えてタッチ入力機能も備えたシステムが普及すると見込まれております。そのようなニーズの変化に対応し,当社は「Penabled DualTouch(ぺナブル・デュアルタッチ)」などペンセンサー技術に加えて複数のタッチセンサー技術との統合ソリューション化を進めてまいりました。そして、この度、当社のペンセンサー技術との統合性に優れた高性能タッチセンサー技術としてTouchKO社のタッチセンサー技術を新たに採用することにいたしました。
TouchKO社は高性能な静電結合方式のタッチセンサー技術(Spatial Capacitive 注1, Capacitive Plus 注2)と優秀な表面処理技術(Touch-Armor.注3 )を保持しており、当社はTouchKO社を買収し、両社の技術ベースの統合を進めることによって、ペンセンサー技術とタッチセンサー技術の両面における最適なソリューションを提供することが可能となります。
2.TouchKO社買収の目的
1)タブレットPCなどのパーソナル・コンピュータ市場に電磁誘導方式ペンセンサー技術と静電結合方式タッチセンサー技術を統合したソリューションを提供することにより、市場でのリーダーシップを強化し、コンポーネント事業の成長加速を図ります。
2)タッチセンサーおよびペンセンサー技術の統合、小型化を図り、携帯端末、ゲーム機、情報家電製品等の市場に当社技術の導入を推進し、新規ビジネスの拡大を図ります。
3)TouchKO 社が従来から持っている大型業務用タッチセンサー市場への参入を図ります。
4)当社のPenabled Technology(ぺナブルテクノロジー)の技術ベースを拡大し、更なる技術開発を進めることで、より自然で直感的なユーザーインターフェース・ソリューションの実現を目指します。
3.買収の業績予想への影響
TouchKO社の買収に伴い、平成20年3月期中間期および通期の連結業績予想に変更はございません。
以上
<参考> TouchKO社概要
設立:1996年にTroy Gray氏により設立
本社:米国テキサス州オースチン市
社員:7名
事業内容:抵抗膜方式タッチセンサー、静電結合方式タッチセンサーの設計、製造、販売
資本金:52.75千米ドル
(注1)Spatial Capacitive:指がパネルに接触していなくても、指の位置を検出できる技術であり、ユーザーインターフェースとして優れているとともに、高い耐久性、封印性が要求される用途に利用できる。
(注2) Capacitive Plus :手袋をつけた状態でも指の位置を検出できる技術であり、手術時の指タッチ入力、戸外作業時の指タッチ入力等の用途に利用できる。
(注3) Touch-Armor. :独自の表面処理技術で、防呟、防汚、化学強化、抗菌等に効果がある。