チッソ、PHGからライセンスを受け合成コラーゲンの実用化検討を開始
合成コラーゲンの実用化検討を開始
チッソ株式会社(社長:岡田俊一、本社:東京都千代田区)は、合成コラーゲンの製造特許(発明者:谷原正夫教授、奈良先端科学技術大学院大学)を持つ株式会社PHG(社長:古谷嘉章、本社:京都府精華町)から2007年1月1日にライセンスを受け、実用化の検討を開始しました。
天然コラーゲンは、繊維状のたんぱく質で、3重らせん構造をもち、動物の皮革・腱・軟骨などに力学的な強度を与えることが知られています。また、加熱すると変性し、ゼラチンになります。商業的には動物から採取したものが利用され、食品原料、化粧品の保湿成分として使用されています。医療用としては、体内に埋め込んで使用する薬剤を持続的に放出する担体材料や、事故や病気により失われた組織・機関を培養により復元させる再生医療の材料としても期待されていますが、近年、牛海綿状脳症(BSE)や抗原性等による安全性が問題視されており、特に牛由来のコラーゲンは敬遠される傾向にあります。
合成コラーゲンは、谷原教授により世界で初めて合成に成功したポリペプチドで、天然コラーゲンのアミノ酸配列を基にアミノ酸を化学的に重合したものであり、天然コラーゲンと同様の3重らせん構造を有しています。原料となるアミノ酸は非動物由来のため、BSEやアレルギーなどの危険性が少なく、天然コラーゲンに比べて無臭で熱安定性に優れるといった特長を持っておりますので、特に安全性が重要視される化粧品や医療用材料としての展開が期待されます。そのほか、様々な用途で必要とされるアミノ酸組成を選択するなど、任意の合成コラーゲンを設計することも可能です。
当社では、魚燐コラーゲンペプチド「マリンコラーゲンオリゴ」を、主に健康食品素材として既に販売しておりますが、今回の合成コラーゲンは、2008年度中の上市を目指しており、2007年6月20日から東京で開催される国際バイオエキスポに展示する予定です。