古河電工、ナノテクノロジーを応用した蛍光ナノシリカ粒子「QUARTZ DOT」を開発
ナノテクノロジーを応用した蛍光ナノシリカ粒子を開発
~バイオ分子検出用の高輝度蛍光標識試薬で生体分子サンプルが検出可能~
古河電気工業は、ナノテクノロジーを応用した日本初の蛍光ナノシリカ(二酸化ケイ素)粒子「QUARTZ DOT(TM)」を開発しました。バイオ・メディカル関連の研究開発分野で、DNA、たんぱく質、細胞等の生体分子サンプルを検出する目的で使用される蛍光標識色素として、高輝度で無害な蛍光標識試薬材料です。
今後、ナノテクノロジー技術を応用した新分野を開拓し、事業領域を拡大していきます。
なお、6月20日から東京ビッグサイトで開催される第6回国際バイオEXPOにて、本技術の発表並びに展示を行います。
■開発の背景
生体分子サンプルを光学的に検出し解析するには、生体分子を結合し、ランプやレーザー等の励起光源の照射によって蛍光を発する蛍光色素が使われています。従来は、有機分子である有機色素が使用されていましたが、蛍光が微弱である等、微量の生体分子の検出には適していませんでした。
当社はこれまで、バイオ・メディカル分野向け製品として、既に当社のコア技術である光通信技術を応用した波長488ナノメートルの青色レーザーや、その青色レーザーを搭載した世界最小サイズの細胞検出装置であるフローサイトメーターを製品化してきました。本技術は、光学検出装置で使用される蛍光試薬の開発及びさらに幅広い用途で使用される高輝度な蛍光染色材料としての試薬の開発を目的として、当社横浜研究所ナノテクセンターで進めてきたものです。
■製品の特長・データスペック
当社は光ファイバーの原材料であり、物性を熟知しているシリカをナノ粒子化(1nmは10億分の1m)し、その中に有機色素を高濃度に固定するナノ粒子化技術を用い、有機色素単体では得ることのできない、超高輝度の蛍光標識試薬材料を開発しました。
さらに、バイオ・メディカル分野で使用されることを前提として、生体サンプルを取り扱うには必須の緩衝溶液中でも、安定的に分散することが可能な当社オリジナルのナノ粒子表面修飾技術も開発しました。本技術によって高感度な診断機器への応用や、分子生物学研究のツールとしての応用など、広範囲な領域への利用も可能となります。
■備考
今後当社は、コア技術である光技術や金属素材技術、有機加工技術等の他に、新しい基盤技術として取り組んでいるナノテクノロジー技術を駆使した新製品の開発を行い、積極的に事業領域を拡大していきます。
なお、本技術は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による平成17年度大学発実用化研究開発事業として徳島大学で得られた成果を含んでいます。
(※参考画像あり)