米IBM、中堅企業向け統合ブレード・コンピューティング・システム開発意向を発表
IBM、統合ブレード・コンピューティング・システムを中堅・中小規模企業向けに凝縮
IBMが画期的な「ブレード」の枠組みを導入、IT要員の数が限られる企業に向けて
IT設置面積の最大80%の縮小、エネルギー使用の最小化、複雑性の低減を実現
[米国ニューヨーク州アーモンク 2007年6月13日(現地時間)発]
IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)は13日(現地時間)、中堅・中小規模企業の経営をシンプルにするための ブレード・コンピューティング・システムの開発意向を表明しました。このシステムはサーバーからネットワークおよびセキュリティ関連のアプリケーションに至るまで、中堅・中小企業のビジネスに必要なあらゆるテクノロジーを統合し一つの筐体にまとめてられています。このIBMの新製品「IBM (R) BladeCenter (R) S」は、中堅企業が利用している平均25台から45台のサーバーを最大で80%も削減でき、自ら多くのサーバーを抱えてしまっている“自社データセンター”のようなシステムに関わる管理や運用が削減できます。
「IBM BladeCenter S」は“机に置けるサイズ”であるうえ、ホーム・オフィスでも使えるよう標準の100ボルト電源コンセントに接続が可能であり、一般的なオフィス環境での稼働を想定した設計です。また、アンチウイルス/ファイアウォール、VoIP(Voice over Internet Protocol)、電子メール、コラボレーションツール、システムのバックアップおよび回復やファイル管理および印刷用アプリケーションといったビジネス用途で最も一般的に使われる機能を1台で統合できると同時に、ストレージと最大6台のブレード・サーバーを同時に管理することが可能です。
また、「IBM BladeCenter S」は、IT管理を最小限にできるように設計されています。システムの初期セットアップは、家庭用PCをセットアップするのと同様の手軽さで設定が可能です。「ウィザード」を利用した導入用のインターフェースに従って、ユーザーはブレード・サーバーを文字通りシステムに差し込み、システムの電源プラグをつなぎ、“エクスプレス”インストール機能による、かんたんな選択クリック方式で構成を設定できる管理ツールを利用できます。小売業や金融機関など支店を持つ企業においては、本社のIT管理者の数百にのぼる支店システムの事前設定作業を容易に行うことが出来ます。たとえば、支店の担当者が電源につなぐだけで利用できる状態にした上で、システムを各拠点に送り出すことが可能になります。
IT業界アナリスト企業のガートナーによると、中堅・中小企業はビジネスの生産性向上のために、平均25台から45台のサーバーを運用しており(*1)、そのうちおよそ10台はファイル・サーバー、セキュリティ、あるいはWebサーバー、といった単一目的に特化した機能のサーバーであると指摘されています(*2)。これらの機能をストレージとともに1台のブレード・システムに統合することで、企業は一般的なデータセンターにありがちなサーバーの無秩序な台数拡大を劇的に減らせるうえ、日常のビジネス機能に必要不可欠なアプリケーションを管理するためのIT担当者の削減も見込めます。
IBMのBladeCenter担当バイス・プレジデント兼ビジネス・ライン・エグゼクティブのアレックス・ヨースト(Alex Yost)は次のように語っています。「リソースに制約のある急成長中の企業は、テクノロジーの進歩をどのように活用すればコストを増加させずに競争優位を確立できるか、という課題に取り組んでいます。IBMが小規模オフィス環境や支店向けのBladeCenterの開発意向を表明したことで、中堅・中小企業はシステムの簡素化やサーバー統合といった、これまでは大企業のみが享受してきたブレードの恩恵を、企業規模に合わせて最適化された形で享受できるようになります。IBM BladeCenterは、オープンで環境にやさしく容易なIT統合を求めるお客様に最適です。」
転換点に至ったブレード・ベースのコンピューティングの経済性
サーバー、ストレージ、ネットワーク、およびアプリケーションを一つのシステムに統合したブレード・システムは、当初は大規模企業向けに、サーバーとそれらを管理する多くのIT担当者の増加ならびにエネルギー資源の浪費につながりかねない従来型のビジネス・コンピューティングから脱却するために作られたものでした。
IBMが初めてBladeCenterを市場に投入してから5年の間に、IT業界ではこの簡素化されたコンピューティング・プラットフォームは、フロントエンドのWebサーバーのような役割から、高性能スーパーコンピューティングを含むさまざまなアプリケーション領域における堂々たる主役へと、発展を遂げました。
ブレード・サーバー市場の拡大を徹底的に推し進めるこうしたIBMの取り組みは、いまやあらゆる規模のお客様が、ブレード・コンピューティングを導入し、市場での競争優位性を向上させるための統合、柔軟性や容易な管理を実行に移す機会があることを意味しています。この動きは、現在30億ドルの市場規模が2010年には110億ドルになる(*3)という成長予測に向け、これまでのサーバー市場の歴史で最も早い急成長に拍車をかけています。
さまざまな業界の中堅・中小企業のお客様はすでにブレード・コンピューティング・システムによる恩恵を受けており、ビジネス成長のための業務効率性の向上とITリソースの制約からの解放を実現しています。米国ペンシルバニア州フィラデルフィア郊外に本拠を置くDevon Health Services社は150人の従業員で、医療関係の請求処理を中心としたビジネスを展開しています。こうした医療請求処理において同社は、多様な様式の管理ファイルを交換する複数の医療パートナーと連携が必要なうえ、大量データの管理においてスピードが重要視されるといった、IT面での独特の課題を抱えていました。
Devon Healthでは長い間、自社のIT需要に追いつくためにサーバーを追加してきましたが、その結果、30台以上のデル製およびHP製ラック・サーバーを含む、マルチベンダー環境かつ1台につき1種のアプリケーションしか稼働していない場合が多いというIT環境が生じていました。Devon Health Services社長のチャールズ・ファルコーネ(Charles Falcone)氏は次のように語っています。「当社はこれまで、新しいアプリケーションを導入するたびに新しいサーバーも購入するという流れに巻き込まれていました。しかし、あるとき当社のITスタッフが、ビジネスに直結する基幹アプリケーションをアップグレードするプロジェクトの最中に、このアプリケーションをこのまま使い続けると、文字通り「電力が足りない」という憂慮すべき事実にぶつかりました。このアプリケーションは、当社のワークフローの8割を処理する診療報酬改定のソフトウェア製品でした。」
Devon Health ServicesのIT担当者は電気技術者から、同社が実際にはブレーカーの規定以上の電力を使用していると告げられ、同社のチームは新しいソリューションを導入すべき時が来たことを悟りました。Devon Health Servicesはシステム管理の複雑性を低減するとともに電力資源の決定的な不足に対処するために、中核となる企業アプリケーションをIBM BladeCenter 6台に移行しました。現在では1人のIT管理者が同社のファイル・サーバー、Webサーバー、プリント・サーバー、データベース・サーバー、CRMアプリケーション、バックアップのドメイン・コントローラーを管理しています。これらの機能は全て、一つに統合されたBladeCenterシステムに格納されていると同時に、同社のビジネスをより伸ばすために必要な他のテクノロジー・プロジェクトも、このシステム上で実行されています。
IBM BladeCenterについて
IBMは共通アーキテクチャーに基づいた5種類のブレード・シャーシ、5種類のブレード・サーバー、5種類のI/Oファブリックを含む、業界で最も幅広いブレード製品のポートフォリオを有しており、お客様はそれらを自由に組み合わせることができます。またIBMは、IBM BladeCenterハードウェア・アーキテクチャーの公開という独自のアプローチを取っており、ネットワークおよびストレージ、スイッチ、あるいはソフトウェアといった周辺製品を販売する数多くの企業に対して市場の創出と収益機会の提供を行っています。2004年にBladeCenterの仕様を公開して以来、仕様の無料ダウンロードを行った企業は500社にのぼります。
IBM BladeCenter Sは2007年度第4四半期に出荷を開始します。IBM BladeCenterの詳細は、 http://www.ibm.com/bladecenter をご覧ください。
IBMの将来の計画ならびに目的にもとづく内容は、あくまで目標であり、予告なく変更または中止になる可能性があります。
注:
*1、*2:ガートナー「User Survey Analysis: SMB PC and Server Plans, North America, 2006, by James A. Browning, John Enck and Mark A. Margevicius, November 9, 2006.」より
*3:IDC「 IDC: Worldwide and U.S. Blade Server 2006-2010 Forecast and 2005 Vendor Shares.」より
以上
当報道資料は2007年6月13日(現地時間)にIBM Corporationが発表したものの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/21712.wss
またプレス向け資料は下記URLで確認いただけます。
http://www.ibm.com/press/us/en/presskit/21704.wss
なお、記載されている発表製品および発表予定は、米国で適用されるものです。記載製品の日本における発表予定は本日時点では未定のため、決定し次第お知らせいたします。
IBM、BladeCenterは、IBM Corporationの商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
<お問い合わせ先>
ダイヤルIBM Tel: 0120-04-1992
<関連サイト>
IBM BladeCenterトップページ:
http://www.ibm.com/jp/servers/eserver/bladecenter/
<ホームページ>
日本IBMトップページ: http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース: http://www.ibm.com/press/jp/