日本興亜損保、付随的な保険金支払い漏れの調査結果と防止策を発表
付随的な保険金のお支払漏れについて
弊社におきましては、費用保険金等の付随的な保険金に係る再調査の状況が判明いたしましたのでご報告申し上げます。皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを改めて心からお詫び申し上げます。
付随的な保険金等のお支払漏れが多数生じましたことを真摯に受け止め、深く反省いたすとともに、内部管理態勢の強化・徹底に努め、皆様のご信頼を頂くべく全社をあげて再発防止に取り組んでまいります。
1.本件の概要と経緯
弊社は、自動車保険の事故対応システムの全面刷新を機に、2005年2月、保険金支払状況のサンプリング調査を実施しましたところ、費用保険金等の付随的な保険金が未払いとなっている事案が判明しました。その後の自主調査により、一部のお客様に対してお支払い漏れが生じていることが明らかになったものです。
2005年9月30日に金融庁から保険業法第128条に基づく付随的な保険金の支払漏れに関する調査命令を受け、10月14日に調査結果を報告いたしました。その後、11月25日に付随的な保険金の支払漏れに関し、保険業法第132条第1項に基づく業務改善命令を受けております。
この行政処分を厳粛に受け止め、業務改善計画を策定し、保険金支払に係る経営管理態勢、商品開発態勢および支払管理態勢の強化・徹底等の再発防止に努めております。
本年1月以降、業務改善計画の一環として、過去の保険金支払に遺漏がないか再度精緻に調査を行ってまいりました。データの抽出条件を検証するとともに、お支払対象外とした事案等について徹底した調査を行いました結果、付随的な保険金のお支払漏れは39,522件となり、前回報告済の29,384件から10,138件増加しました(「別紙1」ご参照)。
2.お支払漏れが増加した主な理由
(1)調査対象とすべき項目の検証
調査対象とすべき項目に漏れがないか再度精緻に検証した結果、128条に基づく報告時点で調査を実施していなかった項目において新たなお支払い漏れが判明いたしました。
当初の調査では、主たる保険金に付随する費用保険金等を中心に検証しており、それぞれの支払要件を満たす保険金相互間の組合せを調査対象としておりませんでした。
<主な事例>
・自動車保険において搭乗者傷害保険金のお支払いが完了した事案の一部で、自損事故保険金のお支払漏れが判明しました(2,834件)。
・自動車保険において対人賠償保険金または搭乗者傷害保険金のお支払いが完了した事案の一部で、人身傷害保険金のお支払漏れが判明しました(1,916件)。
(2)弊社がお支払い対象外と判断した事案の再調査
お客様から保険金受取り辞退のお申し出等により弊社がお支払い対象外と判断していた事案をリストアップし、「ご案内時の説明方法が適切であったか」、「誤ってお支払い対象外とした事案がないか」といった観点から再調査を実施した結果、新たなお支払漏れが判明いたしました(3,209件)。
調査実施要領の中で、お客様が受取りを辞退された場合の様々なケースを想定した判断基準の例示に具体性が欠けていたことや、早期完了を急ぐあまりお客様へのご説明が不十分となったり約款や実施要領の支払要件の確認が疎かになったことなどが主な原因です。
<主な事例>
・お見舞いや代車使用等の支出がない事案について、実際の支出の有無は問わずお受取りいただけることのご説明が不十分であったために受取り辞退を招いたケースなど、ご請求意思確認の際の説明不足によるもの。
・早期に全てのお客様にご連絡を取るべく急ぐあまり、約款や実施要領の支払要件の確認が疎かになり、調査担当者が約款解釈や支払要件を誤って判断したケースなど。
・お客様へご案内を出状した際、「保管期限切れ」で返送された事案がありましたが、継続管理すべきところをお支払い不要と見なしてしまうなど事務処理誤りによるもの。
・実際には保険金をお支払いしていたものの、128条調査時の社内報告において入力コードを誤ったため報告件数から漏れたケースなど報告誤りによるもの。
3.原因分析
付随的な保険金のお支払い漏れの発生原因につきまして、「商品開発時の社内連携」、「募集時・保険金請求受付時のお客様へのご説明」、「支払事務工程におけるシステム・チェック等の管理体制」、「支払部門における担当者教育」、「点検・内部監査」等に問題があったにもかかわらず、これらの態勢の整備に関する認識が不足していたものと考えております。
弊社は「お客様第一」というスタンスでCSに真摯に取り組んできたつもりでおりましたが、保険金支払いという保険会社の業務の根幹でこのような問題を生じさせましたことを改めて深く反省し、お詫び申し上げます。
今後は商品開発から支払管理に至る一連の過程において、経営陣がより一層関与する態勢を構築するとともに、お客様の信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。
4.お客様への対応
再調査の結果、追加で保険金をお支払いすべき対象のお客様につきましては、順次ご連絡させていただき、お詫びを申し上げるとともに、すみやかにお支払いの手続きを取らせていただいております。
最終的に保険金のお受取りを放棄されたお客様には、弊社より直接確認文書を送付させていただき、照会窓口をご案内のうえ、お客様のご都合により後日ご請求される場合にも対応できる態勢とさせていただいております。
また、居所不明などで連絡の取れないお客様につきましては、本件に関する「お客様対応窓口」を引き続き設置し、お客様から照会があった場合にすみやかに対応できる態勢を継続いたします。
5.信頼回復に向けて
保険金支払という保険会社の根幹をなす業務において、このような多数の付随的な保険金のお支払漏れを発生させてしまいましたことを重く受け止め、全社をあげて再発防止に取り組み、経営管理態勢、内部管理態勢の強化・徹底に努め、お客様の信頼回復を図ってまいります。
【 主な改善策 】
(1)経営管理態勢の改善・強化
・経営陣が保険金支払状況・問題点を把握し、改善策を統括する態勢の整備を目的に、本年4月に「保険金適正支払委員会」を設置し、毎月開催しております。
・本年3月、保険金支払に係る管理態勢を一元的に定めた「保険金支払管理規程」の制定により、各部門間の連携を明確に定めるなど、業務運営態勢の整備に経営陣が関与する体制としました。
(2)支払管理態勢の検証・見直し
・弁護士、医師、学識経験者、消費者代表等の社外専門家を構成メンバーとする「保険金審査会(仮称)」を10月より設置し、保険金支払に関する高度な法的・医的判断を要する事案、お客様からの苦情申立てのうち審議を必要とする事案などについて審査を行います。
・保険金支払漏れの根絶を目指し、事案の適切性の点検・検証および支払査定の各プロセスにおける点検を強化するため、「保険金支払管理部(仮称)」を10月より新設します。
・付随的な保険金等の支払要件を満たしながら保険金をお支払いしていない場合などに警告を表示したりシステム的な制限を設けるなど、人為的ミスを補完するシステムを順次開発してまいりました。さらに、支払完了事案の中で付随的な保険金をお支払いしなかった事案を全件抽出し、支払わない理由の合理性を検証する仕組みとしました。
・付随的な保険金等に関する理解と損害認定、請求案内についての研修を行う「商品理解向上PT」を全国の損害調査拠点に設置し、全要員を対象に集合研修を実施するほか、「eラーニング」による理解度確認テストを実施しています。
(3)商品開発態勢の見直し・整備
・商品開発時における支払漏れを防止するため、本年3月、関連部門の連携体制および経営の関与・決裁などを定めた「保険商品の開発および改定に関する規程」を制定しました。
・本年4月に「商品レビュー会議」を新設し、商品開発の各段階において、支払事務担当部門、募集事務担当部門およびシステム部門に参加を義務づけるなど、関連部門間の連携・相互牽制を確保する体制としました。
(4)お客様対応態勢の整備
・お客様から保険金支払に関する苦情・ご照会・ご相談などを専門スタッフが受付ける窓口として、コンプライアンス部お客様相談室に「保険金相談コーナー(仮称)」を10月に設置し、保険金支払管理部と連携して適切なお客様対応を行います。
・パンフレットや重要事項説明書など保険募集に使用する資料につき、付随的な保険金をわかりやすく解説したものになっているかという観点から改定を行いました。
・社内で実施している「募集資料等のリーガルチェック」において、付随する保険金を含めた適正性確保の観点をチェック項目として追加しております。
・事故の際、お客様にお渡しする保険金請求書類につきましても、付随的な保険金の種類を分かりやすく記載し、ご案内しております。
以 上
* 関連資料 参照
別紙1 …「保険金追加支払の状況」
別紙2 …「業務改善計画の概要」
別紙3 …「業務改善計画スケジュール」
別紙4 …「費用保険金等のご説明」