ポルシェAG、パリオートサロンでレーシングカー「ニューRSスパイダー」を初公開
2007年シーズンのニューポルシェRSスパイダー
ポルシェ AG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.ヴェンデリン・ヴィーデキング)は、パリオートサロン(開催期間9月30日~10月15日)においてニューRSスパイダーを世界初公開いたします。ヴァイザッハで開発された最新のレーシングカーは、米国のペンスケ・レーシング・チームがアメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS) に投入、タイトル獲得に向けて疾走中のスポーツ プロトタイプの進化モデルです。来シーズンはさまざまなカスタマーチームが、数多くの国際レースにニューRSスパイダーでスタートラインに立つと予想されます。
オープントップのポルシェRSスパイダーは、フランスのオートモービル・クラブ・ド・ウエスト(A.C.O.)のレギュレーション「ル・マン・プロトタイプ 2」と呼ばれる車両クラスに属しています。したがって、アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)、欧州のル・マン・シリーズ(LMS)、そしてル・マン24時間耐久レースなど一連のレースにレーシング スポーツカーとして出場させることができます。4つあるA.C.O.の車両クラスの中で2番目に高いカテゴリーを選んだのは、高度の技術レベルを競うことができ、なおかつRSスパイダーでレースに参戦しようという将来のカスタマーのコスト負担を抑制できるからです。
来シーズン向けニューRSスパイダーは開発段階でコンピューターシミュレーションと風洞実験を駆使、その結果をもとにシャシーの改良が行われました。ウイングとリアディフューザーの最適化により、エアロダイナミクス効率が向上しただけでなく、それぞれ持ち味の異なるサーキットに合わせてチューニングする余地が広がりました。カーボンファイバーボディも整備性/取り付けの便を考慮して、さらに改善されました。ラジエターのエア取り入れ口と吹き出し口のデザインを改めるなど、RSスパイダーのサーモダイナミクスの見直しも行われました。
長距離レース用にポルシェが開発したシリンダーバンク角90?の2007年式V8レーシングエンジンは、排気量がレギュレーションの制限いっぱいの3.4リッター、最高出力は503PS(370kW)/10,300rpmと、先代モデルに比べ23PSパワーアップしました。ニューRSスパイダーの重量は775kgちょうど、これもA.C.O.のレギュレーションを満たしています。
シーケンシャル 6 速ドグ トランスミッションとトリプルプレートのカーボンファイバークラッチは縦位置に組み込まれ、負荷支持コンポーネントとしてシャシーの一部を構成しています。シフトアップ/ダウンはステアリングホイール上のパドルスイッチで行います。
来シーズン用のこのトランスミッションでは、シフト動作の信頼性の向上、コンポーネントの損耗の抑制、および動作の精密性の改善が図られています。
このスポーツカー プロトタイプは、カーボンファイバー製モノコックシャシーをベースとしています。高剛性、軽量を特徴とするこのシャシーにフロントサスペンション用にダブル ウィッシュボーン コントロール アームが取り付けられています。他方、リアのダブル ウィッシュボーン コントロール アームの方は、カーボンファイバー製エレメントを介してトランスミッションハウジングに取り付けられています。トーションスプリングとプッシュロッド操作の4ウェイガス封入式ショックアブソーバー、および調整式スタビライザーがニューRSスパイダーのシャシーの完成度を一段と高めています。
これにより2007年シーズンは、セッティングをこれまで以上にすばやく、精密に行えるようになります。車両のそれ以外の部分、たとえばエレクトリックシステムや油圧システム、パワーステアリングなどについても細心の注意をもってさらなる開発が行われました。
ブレーキシステムは、タンデムマスターシリンダー、可変ブレーキフォース ディストリビューション、ベンチレーテッドカーボンファイバーディスクという構成です。ブレーキディスク径はフロントが380mm、リアは355mmとなります。プロトタイプのレース用タイヤは、パートナーとして最初から開発プロジェクトに参加したミシュラン社から供給を受けます。