横河電機、フルフレーム高速共焦点スキャナ「CSU-X1」を発売
撮影速度が世界最高で、明るさが2倍に向上
フルフレーム高速共焦点スキャナ「CSU-X1」開発・発売のお知らせ
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、生きた細胞内タンパク質等の動きを三次元的に高速かつ高感度で観察できる共焦点スキャナ「CSUシリーズ」を全面的に改良し、走査速度を従来比2倍の世界最高毎秒フルフレーム2000コマに高速化、明るさも同2倍に向上させたフルフレーム高速共焦点スキャナ「CSU-X1」を開発、4月12日から販売を開始します。
開発の背景
ライフサイエンス分野の研究者は、細胞の詳細な構造や立体像を生きたままリアルタイム(高速)、高感度、高精細に観察したいという強い要望を持っています。当社の共焦点スキャナCSUシリーズは、このニーズに答えることのできるフルフレーム(全視野)毎秒1000コマの高速性を持ち、なおかつ試料へのダメージが少なく長時間観察が可能という特長により、累計1100台以上の納入実績を積んできました。
近年、より高度な研究のため、研究者は更なる高速性、高感度、多波長観察、さまざまなアプリケーション対応性の向上を求めています。そのニーズに対応し、世界最高速で高感度の共焦点スキャナ「CSU-X1」を発売するものです。
新製品の特長
1.世界最高速の走査性能
分解能の高い鮮明な画質はそのままに、2000コマ/秒という世界最高速の走査性能を実現しました。これは、当社従来製品に比べ2倍の速度です。これにより、より高速な生体反応の観察が可能になります。
2.明るさも2倍
光学系の設計を一新し、励起効率(レーザ光の利用効率)2倍(*)を実現しました。背景光も3分1(*)まで軽減し、さらに微弱な蛍光も観察することができます。(*当社比)
3.豊富なオプション機能で使いやすさも向上
新開発の高速フィルタホイール(蛍光フィルター切替え装置)、カメラを2台接続して多波長観察を可能にするデュアルカメラポート、通常の顕微鏡観察画像を直接取り込めるブライトフィールド光路など様々なオプション機器をラインアップしました。これにより機能、操作性が大幅に向上し、応用範囲も広がりました。
【 主な市場 】
医学、生物学、薬学、農学等、創薬研究など細胞を扱う研究分野全般
【 用途 】
・生きた細胞内のたんぱく質の動きや生理反応のリアルタイム観察
・細胞や組織の2次元/3次元の構造、変化の観察
【 販売目標 】
2007年度 200台
2008年度 300台
共焦点スキャナとは
共焦点スキャナは、通常の光学顕微鏡に取りつけて共焦点顕微鏡システムにすることが出来る共焦点ユニットです。共焦点顕微鏡は、試料を切片にすることなく生きたまま断層(スライス)画像を得ることができます。さらに、スライス画像データを画像解析処理し3次元立体像を構築が出来ます。蛍光試薬等で染色した試料にレーザを照射し、蛍光を観察することで、きわめてコントラストの高い、鮮明な画像を選択的に得ることができます。
これらの特長により、共焦点スキャナは生きた細胞をリアルタイムで観察する有力なツールとして広くライフサイエンス研究者に利用されています。
共焦点スキャナを使って細胞の活動を撮影した写真が、世界的に有名な科学雑誌Natureの表紙にも採用されました。
この分野における当社の取り組み
当社では、1980年代にレーザ光を利用した共焦点スキャン技術の実用化に成功し、これを共焦点顕微鏡分野に応用すべく研究を重ねてきました。その成果として、ニポウディスクとマイクロレンズアレイを組み合わせた画期的な方式の開発に成功し、それを採用した共焦点スキャナ「CSU10」(フルフレーム秒30コマ)を1996年に、発売しました。2000年には秒1000コマのCSU21、そして更に性能を向上させたCSU22を2003年に発売し、常に継続的な製品開発を進めてまいりました。これらの製品は市場で高く評価を頂き既に納入累積台数1100台を越えるまでになり、ライフサイエンス分野では、もはや欠かせない道具となっています。
以上