NECエレクトロニクス、自動車のモーター制御システム向け32ビットマイコン3製品をサンプル出荷
自動車のモーター制御向け32ビットマイコンの発売について
NECエレクトロニクスは、自動車のモーター制御システム向け32ビットマイコン「V850E/PG2」3製品のサンプル出荷を本日から順次開始することにいたしました。
新製品は、当社の車載モーター制御用マイコンの最上位に位置付けられるもので、(1)従来の2倍となる64メガヘルツ(MHz)という高速のCPU処理を実現していること、(2)従来の4倍精度となる12ビットA/Dコンバータをはじめとして様々な機能を搭載しているため、高精度なモーター制御を実現できること、(3)CAN対応ポートを最大2つ内蔵しているため様々な車両内通信システムに対応できること、などが大きな特長となっております。
新製品のサンプル価格は搭載しているメモリサイズにより異なりますが、一例として、240Kバイトのフラッシュメモリ搭載品が3,000円/個となっており、量産は本年10月より順次立ち上げ、2008年度には3品種合わせて月産30万個の規模を予定しております。
当社は自動車向け半導体事業を戦略事業の一つと位置付け、自動車の基本性能に直結する制御系の半導体をはじめとして、オーディオやカーナビ向け半導体、エアバッグなどの安全性を向上するための半導体、そしてモーターを制御する半導体など、幅広い分野でユーザーにソリューションを提供しております。特に32ビットマイコンの分野では、これまでに総計5億5千万個の出荷実績を有する「V850シリーズ」を投入することで、ユーザーの要求に対応してまいりました。
「V850シリーズ」のうちモーター制御向けマイコンとして当社は、1999年8月に発表した「V850E/IA1」を市場投入して以来、ガソリンと電気モーターを併用するハイブリッドカーや、電気自動車、自動車のパワーステアリングなどの分野を中心にユーザーから好評を博してまいりました。しかしながら自動車の性能向上は著しく進み、市場からはより高精度にモーターを制御できるマイコンの早期製品化が求められています。新製品はこのような市場ニーズに応え開発されたもので、当社の車載マイコン向けのフラッシュメモリ技術では最新の150ナノメートル(nm)プロセスを用いて開発された製品であります。
新製品の主な特長は次の通りとなっております。
(1)従来品の2倍の高速化を実現
車載マイコン向けのフラッシュメモリとしては最新の150nm技術を用いることにより最高動作周波数64MHzと高速化を実現したCPUコア「V850E1」を搭載している。その結果、従来品に比べ約2倍の高速処理が可能となっている。さらに、125℃まで動作温度範囲を拡張したため、エンジンルーム内への搭載も可能となっている。
(2)従来品の4倍精度でモーター制御を可能とする周辺I/O機能を搭載
各11本のアナログ入力機能を有した2つの12ビットA/Dコンバータ、各種モーター制御に対応した2つの高精度モーター制御用タイマ、3相のホールセンサ入力および2相エンコーダ入力機能を搭載している。これらにより、各種センサーからの情報をより正確に計測することができ、高速回転のモーター制御や、高レスポンスの実現に欠かせないモーター制御を従来品に比べて4倍精度で実現可能としている。
(3)CANに対応したポートを最大2つ搭載
データの高速伝送ができる上に、ノイズなどに対する信頼性が高い業界標準の車載ネットワーク方式のCAN(注)に対応したポートを2つもしくは1つ搭載している。また、最大8MHzの転送レートで通信できるアシンクロナス・シリアル・インタフェース(UART)を3つ搭載している。これにより、他の電子制御ユニット(ECU)との車内LANや、他のICと容易に接続可能としている。
(4)様々なメモリサイズを提供
内蔵メモリおよびRAMは、フラッシュメモリ搭載品に加え、マスクROM搭載品も取り揃え、様々なサイズを準備しているため、ユーザーは高性能から普及版まで多様なシステムに応じて製品を選択することが可能となっている。
当社では、今回の新製品が特に、ブラシレスDCモーターを高精度にインバータ制御する用途や、2つのモーターを同時に制御する用途に最適な製品であると考えており、これらを中心とした応用分野に対して積極的な販売活動を展開することにしております。また、当社ではコンパクトで経済性に優れた32ビットマイコン「V850ES/Fx3」などの製品も提供しておりますが、今後もモーター制御マイコンの品種拡充を図ってまいります。
新製品のサンプル価格および仕様などについては別紙をご参照ください。
以上
(注)CAN:Controller Area Networkの略。ISOで国際的に標準化されたシリアル通信プロトコルのこと。主に車載ネットワークで使用され、FA、船舶、医療機器、産業機器などにも用いられている。省配線化、それに伴う重量及びコストの軽減、高いリアルタイム能力、また電気的干渉に強いことなどが特長。
(備考1)文中で言及した製品名やサービス名は全て、それぞれの所有者に属する商標または登録商標。
(備考2)新製品のフラッシュメモリ搭載品は、Silicon Storage Technology, Incからライセンスを受けたSuperFlash(R)技術を使用している。SuperFlash(R)は、米国Silicon Storage Technology, Incの米国、日本などの国における登録商標。