沖電気、産業画像機器向け3次元ノイズリダクション・高画像処理LSIの量産開始
沖電気、FIFOメモリ内蔵画像用3次元ノイズリダクションLSIを製品化
~今まで除去できなかった暗所で発生するCCDカメラノイズも強力除去~
沖電気工業株式会社(社長 篠塚勝正、以下沖電気)は、このたびTV・ビデオレコーダなどの民生画像機器、監視カメラ、ネットワークカメラなどの産業画像機器向けに、沖電気独自のFIFOメモリ(注1)と画像処理回路を1チップに集積した3.3V単一電源動作の3次元ノイズリダクション・高画像処理LSIを2種(商品名:ML87V2107、ML87V21071)量産開始いたしました。今まで除去できなかった暗所でのCCDカメラノイズも強力にカットします。
【開発の背景】
沖電気の画像処理用FIFOメモリは、国内はもとより世界各国のTV・放送機器をはじめ様々な画像機器に使用されており、TV用FIFOメモリの分野ではトップシェアを維持しています。これまで弊社は民生画像機器市場向けにFIFOメモリをフレームバッファとして使用し、3次元ノイズリダクション、フレームレート変換機能(注2)、プログレッシブ変換機能(注3)などを実現してきました。近年、産業画像機器市場、特に監視カメラ市場においても、暗所で発生するノイズを強力に除去するノイズリダクションなど、高画質な映像を実現する機能が期待されています。
従来これらの機能はFIFOメモリと画像処理専用ICとの2チップ構成で実現されていましたが、FIFOメモリの高機能化、実装面積、基板コストなどで課題があり、1チップ化による機能の実現が期待されていました。弊社では、DRAM-ロジック混載技術を採用し、独自のFIFOメモリと画像処理回路を1チップに集積させることで、民生画像機器だけでなく、より高度な画像処理が要求される産業画像機器にも高機能な3次元ノイズリダクションLSIを安価で提供することが可能になりました。
本LSIは、ディスプレイコントローラやMPEG4エンコーダなど弊社画像LSIのオプションICとして選択して頂くことで、より高機能なアプリケーションを実現いたします。
【製品の概要・特徴】
本LSIのノイズリダクション機能は、フレーム巡回型で動き補償を強化した適応型3次元ノイズリダクション方式を採用しており、残像が少なく解像度の高いノイズ除去を実現しています。このノイズリダクションオートモードは、アプリケーションや使用環境によりさまざまに変化する画像ノイズの状況に応じて最適なノイズリダクションを自動的に実現しますので、組み込みも容易です。
また、MPEG等の画像圧縮により発生するブロックノイズ(注4)の低減に効果のある適応型2次元ローパスフィルタノイズリダクションも搭載しています。3次元ノイズリダクションと2次元ノイズリダクションを併用することで、より高度なノイズ除去を実現しています。
2品種それぞれの特徴は以下の通り:
(1)ML87V2107は、上記ノイズリダクション機能に加え、画像信号の時間軸歪みと同期位相を補正するフレームシンクロナイザ機能を搭載しており、ノイズリダクションと同時動作可能です。DVRの用途において、入力画像信号の乱れによるMPEGエンコードの誤動作回避に有効です。
(2)ML87V21071は、上記ノイズリダクション機能に加え、デジタル画像信号において、輝度と色差が交じり合うデジタルクロスカラーの除去機能を搭載しており、ノイズリダクションと同時動作可能です。TVやCCDカメラなどの高画質化を実現いたします。
今後沖電気は、本LSIをベースにADC/DACを内蔵することにより機能向上を図り、さまざまなCCDカメラにも対応可能な新製品の開発を予定しています。
【主な仕様】
●フレームバッファ用7.8Mb FIFOを内蔵
●信号形式:NTSCおよびPAL
●データフォーマット:輝度信号8ビット、色差信号8ビット(4:2:2)
●フレーム巡回型3次元ノイズリダクション搭載:ノイズ検出ノイズ減算型
●ノイズリダクションオートモード
●適応型2次元ローパスフィルター
●フレーム静止画(メディアンフィルター)
●シリアルバス:I2C-busインターフェース準拠
●電源電圧:3.3V±0.3V(単一)
●パッケージ:100ピンプラスチックTQFP
【用途】
NTSC/PAL方式のTV、VTRの映像信号処理用で主なアプリケーションは、
・デジタル画像記録機
・FPD-TV
・PC用ビデオキャプチャカード
・セキュリティシステム
・その他各種産業用画像機器
【販売計画等】
●サンプル出荷時期:2006年4月
●サンプル価格:1000円 (税別)
●量産出荷予定:2006年8月
●販売予定数:5万個/月
【語句の説明】
(注1)FIFO;「First-In First-Out」、基本的に先に入力されたデータから先に読み出される機能を持っています。非同期動作、入力/出力端子分離が特長となっています。TV信号を1フィールド単位でデジタルデータとして記録し、各種の信号/画像処理に最適なメモリです。弊社のFIFOメモリはDRAMプロセスにより実現されています。
(注2)フレームレート変換:映像垂直周波数を変換する機能のこと。例えばNTSC方式の場合、50Hzから100Hzへ、PAL方式の場合、60Hzから120Hzへ変換します。
(注3)プログレッシブ変換;通常のTVでは、映像は走査線に沿ってスキャンされ、画面上に表示されます。NTSC方式の場合、1画面に相当するフレーム毎の総走査線数は525本あり、この走査線を1本目から525本目までを上から下へ順番に1/60秒で走査し1フレームとします。本変換方式は、垂直方向の走査線数を2倍にすることで走査線が目立たずチラツキの少ない高画質映像が得られます。
(注4)ブロックノイズ;MPEGやJPEGでの圧縮で生じる、ブロック状のノイズのこと。
*記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
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