NECエレクトロニクスなど、トヨタの協力で車載向け画像認識用並列プロセッサーを製品化
高並列処理技術を導入した車載向け画像認識用並列プロセッサの発売について
~トヨタ自動車株式会社が採用~
NECエレクトロニクス株式会社(以下NECエレクトロニクス)および日本電気株式会社(以下NEC)は、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)および株式会社デンソー(以下デンソー)の協力を得て、車載向け画像認識用並列プロセッサを製品化し、「IMAPCAR」(アイマップカー;注1)の名称で本日よりサンプル出荷を開始いたしました。
「IMAPCAR」の主な特長は、(1)128個の演算ユニットで並列処理を行うことにより、現在市場で販売されている画像認識LSIに比べて約5倍高性能な100GOPS(1GOPSは毎秒10億回の演算を実行)を実現でき、白線、先行車、歩行者などの画像をリアルタイムに認識できること、(2)画像認識機能の全てをソフトウェアで構成したことにより、機能の追加や変更を容易に行えること、(3)車載向けでは先端となる0.13ミクロン(μm)の製造プロセスを採用したことにより、車載用途に適した2ワット(W)以下の低消費電力を実現したこと、などであります。
この「IMAPCAR」を用いると、白線、先行車、歩行者などをリアルタイムで認識することが可能となり、自動車メーカーは、衝突回避を支援するシステムなど予防安全システムを容易に実現できるようになります。
「IMAPCAR」のサンプル価格は2万円であります。NECエレクトロニクスではサンプル出荷の開始と同時に量産ができる体制を整えており、2007年度中には月産1万個規模での生産を実現する計画であります。
また、本新製品は、トヨタから今秋発売予定のレクサスブランドの新型車「LS460」に設定される「プリクラッシュセーフティ機能」(注2)を実現する画像認識LSIとして採用されました。
NECエレクトロニクスとNECは、画像認識技術をIT業界、電機業界及び自動車業界など幅広い分野で応用が見込まれる基幹技術と位置づけ、1990年よりNEC中央研究所の主要テーマの一つとして研究を重ねてまいりました。両社は、画像認識技術の中でも特に有用な動画像認識システムを構築するためには、高性能と柔軟性を併せ持つことが必要と判断し、プロセッサ並列処理技術を採用して、研究開発を進めてまいりました。その結果両社は、2003年02月に1チップLSIを開発し、以後現在までCEATEC(2003年)、ITS世界会議(2004年)、コンバージェンス(2004年)などの展示会にてその技術を世界に向けて紹介してまいりました。
NECエレクトロニクスとNECは、上記の技術をベースに、トヨタとデンソーの協力を得て、今回の新製品を開発いたしました。
NECエレクトロニクスとNECは、「IMAPCAR」が自動車メーカーや自動車電装メーカーの開発負荷を軽減し、予防安全システムの構築に大きく貢献できるものと考えているため、この画像認識用並列プロセッサを自動車分野に広く販売していく計画であります。また、今後も高性能化や低価格化など幅広いニーズに対応できる製品の開発を継続的に行い、予防安全システムの高度化や汎用化に対応すると同時に、セキュリティ、ゲーム、ロボット、FA等産業向けなどへの応用も実現させていく計画であります。
「IMAPCAR」の詳細については別紙をご参照下さい。また画像データは専用ページ http://www.necel.com/pressroom/index_j.html からダウンロードいただけます。
以上
(注1)IMAPCAR:
Integrated Memory Array Processor for Carの略。
全ての演算ユニットの一つ一つにメモリを配列した並列プロセッサであり、構造上からIMAPと称している。
IMAPCARはNECエレクトロニクスの日本における登録商標。
(注2)プリクラッシュセーフティ機能
ミリ波レーダーとステレオカメラのセンサフュージョン方式(複数のセンサの情報を組み合わせて処理する方式)により、先行車や歩行者を含む立体物の距離や速度を検知し、ドライバーへの警報や衝突被害軽減のための制御を行うことで安全性を高める機能のこと。
(備考)文中で言及した製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標。
< 本件に関するお客さまからの問い合わせ先 >
NECエレクトロニクス
半導体ホットライン
電話:(044)435-9494(直)
info@necel.com
NEC
中央研究所 研究企画部 企画戦略グループ
WEBからのお問い合わせ:
https://www.nec.co.jp/r_and_d/ja/cl/contact.html
< 別紙 >
「IMAPCAR」の特長
(1)リアルタイムで動画像認識可能な高い性能
128個の演算ユニットを動作周波数100メガヘルツ(MHz)で並列処理することで、毎秒30ビデオフレームの画像認識ができる高いパフォーマンスを持っている。
これにより、現在市場で販売されている画像認識LSIに比べて約5倍となる100GOPS(毎秒1000億回の演算を実行)の処理が可能となり、白線、先行車、歩行者等の画像をリアルタイムに認識できる。
(2)画像認識アプリケーションをオールソフトウエアで実現
画像認識アルゴリズムを拡張C言語で記述したソフトウェアで実現している。
これにより、ハードウェアで実現した場合に比べて、機能の追加、変更、改良を容易かつ柔軟に行うことが可能。
また、並列処理を効率的に動作させるコンパイラやデバッガ等の汎用的な開発環境も併せて提供しているため、開発が容易に行える。
(3)車載品質と低消費電力を実現
車載向けでは先端となる0.13μmプロセスの製造技術を採用して、2W以下の消費電力を実現している。 また、車載製品に求められる高い品質と信頼性を併せて実現している。
※製品画像は添付資料を参照