NTTデータ、9月1日の総合防災訓練で「患者トラッキングシステム」の実証実験を実施
災害派遣医療チームの効率的なマネジメントと
被災患者の所在確認をITで支援
~9月1日 総合防災訓練において、実証実験を実施~
(株)NTTデータは、平成18年9月1日(金)に内閣府主導で実施される総合防災訓練において、災害医療派遣チーム(通称:DMAT)(*1)の活動状況をリアルタイムで把握し、適切かつ迅速な指揮やリソース配置を実現する『DMAT管理システム』の運用試験を実施するとともに、RFIDタグを用いて患者の搬送経路や所在を確認する『患者トラッキングシステム』の有効性を検証します。
【背 景】
昨年度、厚生労働省の政策のもと、災害時に被災地外の全国の病院から被災地支援のために参集し、患者の救助活動を実施する特別な医療支援チーム『DMAT』が発足しました。DMATは全国のDMAT指定病院の医師・看護師・調整員等で構成され、災害現場やSCU(*2)に全国から参集するため、指示系統の確立および各チームの動態管理が大きな課題となっています。
一方、被災現場から県外の医療機関等に広域搬送される患者について、容態や収容された医療機関等を把握する仕組みが確立されていないため、被災者の家族が患者の状況や居場所を迅速に知ることができません。
こうした課題を受け、NTTデータでは現行運用している厚生労働省の広域災害救急医療情報システム(通称:EMIS)(*3)のネットワークインフラをベースに、DMATの活動状況をリアルタイムで把握し、適切かつ迅速な指揮やリソース配置を実現する『DMAT管理システム』および、RFIDタグを用いて患者の搬送経路や所在を確認する『患者トラッキングシステム』の検証を行っています。
DMAT管理システムについては、昨年度のDMATの創設を契機とし、DMAT隊員の動きや関係機関の体制および運用に即し、EMISのサブシステム化という位置づけで検討を行ってきました。また、平成16年度の同総合防災訓練においては災害医療センターの指導のもとで患者トラッキングシステムの実証実験を実施し、その課題を踏まえ改良を加えた新システムを構築、実用化を見据えた取り組みを行っています。
(写真は平成16年度の訓練時の風景)
* 関連資料 参照
【実験の概要】
* 関連資料 参照
【今後について】
今後、DMAT管理システムの適用(支援側情報のIT化)により、効率的な情報伝達経路が確立されることで、災害時における適切な指揮および人員配置が実現されます。一方、患者トラッキングシステムの実用化(被災側情報のIT化)による迅速かつ適切な被災者の処置・搬送の実現を目指し、更なる改良を重ねてまいります。
さらに、上記の支援側と被災側の各情報を、全国の医療機関・搬送機関等を結んだEMISのネットワーク上で集約することで、災害医療関係者が統一的かつ効率的に利用できる災害時の総合的な情報基盤の確立を目指し、今後も継続して全国の災害医療を支える仕組みの拡充と安心して暮らせる社会の実現に取り組んでまいります。
(*1) DMAT(Disaster Medical Assistance Team)
DMATとは、『災害の急性期(48時間以内)に活動できる機動性をもった、トレーニングを受けた医療チーム』のことであり、全国のDMAT指定病院の医師・看護師・調整員等で構成される。
(*2) SCU(Staging Care Unit)
SCUとは、広域搬送拠点に設置する搬送患者待機のための臨時医療施設であり、症状安定化のための処置・広域搬送のトリアージ等が実施される。また、SCUの医療スタッフはDMAT等で構成される。
(*3) EMIS(Emergency Medical Information System)
EMISとは、災害発生時の関係者への一斉連絡、被災地内外の医療機関の患者受入情報の集約・提供を実現するシステムで、厚生労働省からNTTデータが受託しており、1996年より開発・運用を行っている。