大日本印刷、アニメーションのように動くホログラム「モーションイマージュ」を開発
大日本印刷 アニメーションのように動くホログラム『モーションイマージュ(TM)』を開発
模造品対策のセキュリティー用途に販売を開始
大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、リアルな立体画像がアニメーションのように動いて見える新型ホログラム『モーションイマージュ(TM)』を開発し、本年9月1日よりブランド商品の模倣品対策のセキュリティー向けに販売を開始します。
【 開発の背景 】
近年、金券類やクレジットカード、身分証明書などの偽造や、医薬品、自動車部品、アパレル、アクセサリー、化粧品、電機製品、雑貨などのブランド商品の模倣被害が拡大しており、各社ともその対策に力を入れています。ホログラムは、製造に特殊な装置・技術を必要とすることから、有効な偽造防止技術のひとつとして、クレジットカードや金券類、商品用ブランド保護シールなどに採用されています。
しかし、一般に使われているエンボスホログラム(*1)のうち、絵柄が単純なものについては、一部で偽造品が出回るようになってきました。こうした偽造ホログラムは、正規品と見比べれば真贋が判別できるものの、店頭などにおいては、見逃されてしまうケースもありました。
こうしたことから、従来品より偽造が困難であり、また、店頭などにおいて一目で真贋判定を行うことができ、かつ、正規品の特徴を店員などに言葉で伝えやすいホログラムが求められていました。
DNPは、こうした要望に応えるために、今回、モーションイマージュ(TM)を開発しました。
【 モーションイマージュ(TM)の特長 】
(1)瞬時に真贋判定ができる
これまでのエンボスホログラムに比べ、立体感に優れるリップマンホログラムの一種です。上下または左右に視点を移動させたときに、異なる画像に切り替えて表示することにより、リアルな3次元画像がアニメーションのように動いて見えるホログラムです。一目で偽造品との見分けを付けることができるため、偽造防止用途に最適です。
(2)偽造がきわめて困難
複数の模型を撮影し、その撮影データを一枚の特殊材料上に記録して製造するため、模型作製、撮影方法、露光作業など、通常のリップマンホログラムよりも、さらに高度な技術とノウハウが必要なことから、偽造が極めて困難です。
(3)低価格化と多品種対応が可能
画面切り替え型リップマンホログラムは、技術的な難易度が高く、多くの人手と時間を要するため、価格が高くなるとともに、多品種への対応が困難でした。今回、DNPは、模型の撮影から複製用ホログラム原版作製までを自動的に行える装置を、自社で新たに開発し、従来、手作業で行っていた工程を自動化することにより、コストを引き下げるとともに多品種の量産への対応を可能としました。
(4)多様な製品形状に対応
製品形状として、ラベルタイプ、転写箔タイプ、脆質タイプの3種類から選べます。
【 価格・販売目標 】
モーションイマージュ(TM)の価格は、形状:15×15ミリ、数量:200万枚、裏面粘着加工を行ったラベルタイプで、1枚約6円となります。
モーションイマージュ(TM)の売上は、金券、クレジットカード、身分証明書などの偽造防止用途や、製品の模倣品防止などのブランド保護用途で、今後3年間で10億円を見込んでいます。
また、模型だけでなく、映像やコンピュータグラフィックなどの動画を記録した、動くホログラムの開発も進めており、早期の製品化を目指しています。
(※1)エンボスホログラム
フィルム上に紫外線硬化型樹脂を塗布し、その表面に微細な凹凸加工を施し、光の干渉縞を記録したもので、リップマンホログラムに比べ、量産性とコストで優れている。クレジットカードや商品券、雑誌表紙のデザインなど、幅広く使われている。
(※2)リップマンホログラム
フィルム上に塗布した特殊なフォトポリマー層内部の密度を変化させることにより、サブミクロン単位で屈折率を変化させ、光の回折現象を起こすホログラム。立体感や遠近感のある表現が可能で、エンボスホログラムに比べ、意匠性が高く、模型作製、撮影、露光などに高度な技術が必要で、複製工程にも特殊設備が必要なことから偽造が極めて困難。
以 上